14話
何百、何千年掛けても返せない借金を背負う事になった僕は…頭をフル回転しても返済の目処が立った無かった。
無理!無理!!無理!!!この額は利息が膨れ上がるだけだよ!やっと自由になって異世界を満喫出来ると思ったのに…借金返済で人生終わるなんて…冗談キツ過ぎる!
どう考えても無理だと判断した僕は返済方法を考える事を諦めて踏み倒すと決断した!
奥義発動!!さらばー借金!
「あの…お姉さん!僕もこれから…頑張って返済したいけど…方法が分からないんだ…お願い、お姉さん…何とかしてくれない?」
メディアの隣にくっ付き少し悲し気の笑顔と愛くるしくお願いしてみた。
「ああぁぁ!こんな少年に…私は、なんて事を…うわぁーーん」
泣きながら自分を責める姿に申し訳ないがホッとした…。
イヤーフ♪効いてるぅ!良かった!訳わからない借金なと…こめんだよ!!
僕って善人ではないようだ…なるつもりもないがな…。
彼女は辛そうな表情からキョロっと普通の表情に変わって絶望的な言葉を言い渡した。
「息が止まるほど辛いですが…すみません!お金の事にはどうにもならないです!全額払って下さい」
一歩も引いてくれなかった…。
神すら落としたこの技が…姉キラーモードお金に破れた。
お金って…神様より偉大だった…神の威厳すら超えるお金の力を実感した。
「あの…主様…」
「ちょっと宜しいでしょうか?主様」
「はい……なんてしょう?」
「弁償の件ですが……」
「解決法が見つかりましたので、ちょっとだけおひまを頂きたいですよ♪」
人生諦める瞬前だったが二人に言葉に僅かな希望を抱いて見た。
「分かりましたよ…お願いします…」
許可をもらった二匹の害獣は何処かのに飛んで行った。
逃げるつもりじゃ無いよね?もう、どうでもいいけど…。
「なぁ?二人に付いて行かなくていいか?」
「返済元はこの方なので!大丈夫です…それに馬鹿じゃあるまいし、付いて行ったら殺されるに決まってます!」
間違いなく殺される…この人は賢い。
「ツッ…」
それを狙ったバルちゃんだった。
「ん?ここは?……」
何かの違和感を感じて周りを眺めた。
「どうしたの?お兄ちゃん?」
「ここ…見た事ない場所だよ!それにこんな綺麗で自然豊かな場所…この一帯になかったはず…」
「ああ…これね…バハムートの義体だよ?…ビヒモスと言うのよ」
「…………ぎ、義体?」
バルちゃんはビヒモスの由来を詳しく説明をしてくれた。
僕だけには天使のように親切だ。
「やはり…そういう事か」
僕の世界でもビヒモスがバハムートと同じとの説があった…なるほどって感じだ。
「最初はここまで大きくなかったげとね、狭いと言い出して…増築の増築を重ねてこうなったよ…」
バハムートさん…どんたけセレブですか?
「お陰で飛べなくなったらしいよ♪バカバカ♪」
…こんなのが飛んだら…怖いわ!落ちたらメテオどころじゃないだろう…。
ビヒモスの背中一帯を回ってみた…そこは長い時、人が踏み入れてなかったため自然豊かでとても綺麗な場所だった。
ここなら…ラプス族やダークエルフ達の生活に目処が立つ!!
目を光らせ回り続けた…案内役でバルトゥール…そして取り立て屋の彼女も付いて来た。
「うわぁ…どれだけ広いの?」
「前のラーズ国?だった?それの3倍はあるよ?」
「…………検討がつかないよ!!」
「それがどうしたの?お兄ちゃん?」
「知り合いをここに住まわせてあげたいけど…だめかな?」
「バムはお兄ちゃんの頼みなら喜んで受け入れると思うよ?」
「本当?まあ…こんなに広いしね…返って来たら頼んで見るか」
しかし…二人を思い出すと気が重くなった。
本当にあの額…何とかできるかな?どうにかなる訳ない。
憂鬱な気持ちで探索を続けたが、ラプス族とダークエルフ達が住めそうな場所を見つけて少し嬉しくなった。
「ねぇ、バルちゃん」
「なぁに?お兄ちゃん」
「連れてて欲しい場所があるんだけど」
「お兄ちゃんの頼みならなんだってやるよ♪あいつ、やっちゃう?」
無邪気な笑顔でメディアさんを見つめた。
「ヒィ!!…な、何んですか!」
彼女は怯えて岩に隠れた…しかし逃げなかった。
中々の根性だ。
「………………やめて」
一瞬悩んでしまったが…バルちゃんを止めた。
「分かった!!えへへ♪♪」
僕はラプス族の里に瞬間移動をした。
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ラプス族の里は暗い雰囲気で族長の家の前に全員集まっていた。
ダークエルフ達も全員ここに避難に来た様子だった。
「離してよ!!ハルト様を探しに行かないと!」
「この縄解いてよ!!なんなのよ!」
ラシュトルニとレーイミは縄に縛られて身動きが取れない状態になっていた。
「そうでもしないと足が速い君達を止められないからよ…ハルト様の所まで行くつもりでしょ?」
二人を縛ったのはヴィゼーだった。
「当たり前です!!」
「愚問だな!!早く解いて!」
「私はハルト様に貴方達を頼まれています…私も今すぐ助けに行きたいです…分かって下さい……」
頭を下に向け震えるヴィゼーの前に二人は大人しくなった。
「うおおおおう!!!!」
ヴィゼーは外から騒がしくなって確認に出た。
「今の騒ぎは何の事ですか?」
ラプス族とダークエルフ達に囲まれているハルトが見えた。
「ハルト様!」
一緒に来たバルトゥールの後ろに何故かメディアも居た。
彼女は聖剣の能力を使いバルトゥールが瞬間移動する時ハルトにくっ付いて一緒に来た。
執念深い取り立て屋メディア…正にプロだ。
「え?今ハルト様の声が聞こえたよ!」
「本当か!」
縄に縛られて居た二人は急ぎ家から出て来た。
「………何やってるの二人?」
「うううう…ハルト様!!」
「本当にハルト様だよね?幽霊じゃないよね?」
二人は芋虫のような動きで僕に向かって泣きながら見つめていた…。
「みんな!バーグリサールは居なくなりました!もう安全です!!」
その言葉に両種族は大喜び踊り出す人も居た。
「ウホホッ…さすがハルト様!あのバーグリサールを倒すとは」
「一生付いて行きますよハルト様!」
両種族は神を目にしたような顔で見つめられた。
倒したのら僕ではないが…説明が面倒だからそういう事にしておいた。
「おい!ウサギもどき…お兄ちゃんから離れろ」
僕にくっ付き離れようとしないラシュトルニとレーイミを見てバルトゥールが怒り出した。
「はい?お兄ちゃん?……ハルト様の妹?」
「はっ?全然似てないけど…本当かな?」
二人はウサギもどきと言われたのが不愉快だったか言葉が刺々しかった。
「うん…そ、そうだよ」
何百倍か何千倍か分からない程年上ですが…一応な…。
僕の言葉を聞いた二人は瞬間…態度がコロッと変わった。
「まぁまぁ!何と愛らしい方!!さすがハルト様の妹様!可愛いです!」
「本当可愛いよ!肛門入れても痛くない程可愛いよ!!」
はっ?肛門って……こっちは目じゃないの?汚いよ!!おい…変態かよ!レーイミ!
「そ、そう、でしょー♪」
褒められて喜んでるバルちゃん…しかし肛門だ…そこ!喜んちゃう?
僕は異世界の異文化に引いてしまった。
その時、聞き覚えがある声が聞こえて来た。
[テス、テス!聞こえてるかな?]
[聞こえて無くてもいいじゃない?]
[………それもそうだな…あははは!!]
[んじゃ、始めるよ♪♪]
その迷惑な害獣達の声だった。
「ん?広域思念術?何をやってるのかな?」
何故か不安な予感がしかしない。
「バルちゃん…二人は今どこにいる?」
「見てみる?」
「見れるの?」
「待てて…我に見せよう…万里を映す鏡よ!」
バルちゃんの前に大きいな鏡が現れてその中に二匹の害獣が映って居た。