9話
神々にも古い太古の時代から現在まで色々な歴史があった。
原始の神時代…万物が誕生する前に存在していた始めの神達が居た太古の時代…余りにも古くてほとんどどんな事があったのか分からない謎の時代。
混沌の時代…原始の神から生まれた様々の神々が争う時代…ここで神々と邪神達に分かれて戦いを始めた。
そして、神々が作り出した数々の種族が神の名の元にもしくは利や欲に争い始めた滅びの時代とも言える…。
天地開闢の時代…長き争いが終わり、万物が再誕生した時代…様々な生き物が誕生して空に海に地上も誕生した。
生命体の進化が活発になり、様々な動物、植物で世界に溢れ出した。
創世の時代…地上が活発に動き出す時代…神々の信仰や様々の国々が誕生した。
この時代から知性が高い人間が地上の頂点に立ち文化も発達させた。
だが…ある事件により生命の起源地始まりの世界アールゥケーミュス以外の全ての神界が滅んでしまった。
そして今、現世の時代となる。
天地開闢の時代から下界に生きていた三つの生物が居た。
空帝、ジズ…空を支配した巨鳥
陸帝、ビヒモス…陸の頂点に君臨した巨大陸竜
海帝、リヴァイアサン…海で自由に気ままに生きていた巨大海龍
その三の最強生物は互いの領域を守り侵さず力の均衡を保ち生きていた。
特にリヴァイアサンとジズは姉妹と呼ぶ程仲が良かった。
だが…邪神達が地上を支配しようと魔物達を使ってイビルゲートを作り出した。
混沌の時代の過ちを繰り返さない為に邪神達と直接争いを避けたい神々はある計画を立てた。
それは、三の最強生物を戦わせ最後に生き残りの血肉で地上を管理する人造神…神々の代行を誕生させる計画だった。
その代理を使って邪神達に牽制しようと企んだ。
神々は三つの生物に戦うように命じたが…拒否された。
力で言う事聞かせようとしたが嫌がって抵抗するその三の生物は神々すら手に負えないほど強かった。
特にビヒモスには神々が返り討ちになって数多くの神が器に戻る大参事までなった。
意地になった神々はビヒモスになんとか禁忌の呪いをかけて戦わせる事に成功した。
まずジズとビヒモスを戦わせたが予想外の事が起きてしまった。
陸のビヒモスが空も飛べる事に神々は驚いた。
そして、空も飛べてあまりも強力なビヒモスにジズはなす術なしにあっさり負けて食われてしまった。
神々は何故陸のビヒモスが飛べるか、何故あれほど強いのか…戦いの痕跡からビヒモスを調べた結果、神々はとんでもない事を知った。
ビヒモスは原始の時代から天界を支える為作られた最古の最強神獣バハムートだと分かった…。
此れ
時が流れ安定した天界は自力で維持できるようになり、放置されたバハムートは下界に降りてから長い時が過ぎ神々にも忘れられていた。
それを後から知った神々はこれ以上バハムートが強くなると完全に手に負えない存在になると慌てて計画を変更しようとするが何者によって邪魔され人造神計画は完全破棄することになった。
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巨大な陸帝ビヒモスが魔王国に向かって前進した。
「ねぇーバムちゃん…ジズちゃんの最後は…どうだった?」
「…嫌味か?」
「うううん、じゃなくて…」
「わかってる…奴は死ぬ前まで、お前の事を心配してた、お前と戦わないで…とな…」
「そうか………」
リヴァイアサンは黙々と空を見上げていた。
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マムンティア大陸の中央に位置するアラミティア帝国は今大騒ぎだ。
「皇帝陛下!緊急事態で御座います!ビ、ビヒモスが我が帝都に向かって真っ直ぐに移動中に御座います!」
「あ?ビヒモス?誰だそれ?…え?…何ぃ!!!!」
皇帝は驚き過ぎて金で出来た盃を落としてしまった。
「あの規格外の化け物が…2000年以上ビッグとも動かなかったのが…何故今になって…」
「皇帝陛下…後数時間で帝都はビヒモスに踏まれ跡形もなくなります!避難するべきだと思います」
臣下達も対策が思い付かないようだ…
規格外の化け物に挑もうとする愚かな人は居なさそうだ。
皇帝は何か思い付いたように玉座から立ち上がった。
「そうだ!今までビヒモスを祭り上げた聖女なら…聖女に使いを出せ!何としてもビヒモスを帝都に近づけさせるなと!」
「はっ!」
使いは大聖堂に至急に向かった。
そして皇帝も避難の準備に急ぎ始めた。