バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

8話

スヴァルトアールヴ。

通称ダークエルフと呼ばれてる彼らは地下に住むかなり希少族で元は神族だった。

森を住処にしている自然を司るリィヨースアールヴ。

光のエルフと呼ばれる彼らとは相容れない関係らしく長年争いを続けて来たとラシュトルニが説明してくれた。

「へぇ…亜人達には荷が重い相手だね」

「いいえ…亜人を敵視したりはしませんが…」

「しませんが?」

「彼らはマムンティア大陸の者ではありません…最近、この大陸に来ました…その詳しい事情までは分からないと叔父さんが…」

「そうか…」

亜人を敵視しないと聞いて少しホッとして少し警戒を緩めた。

そして、僕とラプス族の前に十人のダークエルフ達が現れた。

「私はスヴァルトの族長エムライだ!ここ一帯は我々の領域になった…ラプス族よ!二度と無許可で足を踏み入れる事は許さん!ここから去れ!」

ダークエルフの族長は殺気はないが厳重に警告した。

しかし、死活問題のラプス族を助けると決めたには…はいそうですか!っと引き退る訳には行かないので僕はダークエルフの族長に抗議した。

「あの?すみませんが…貴方達よりずっと先にラプス族の皆さんはここに住んで居ましたよ?」

それにあとから来て無許可で住み着いたダークエルフ達の警告には筋違いで納得出来なかった。

「ん?人族の少年?…ラプス族よ!いつから人族と連むようになった?」

僕を見たダークエルフ達は急に敵対の目をして武器を取り構えた。

「待って下さい!この方は違います…ょ?人族ような…違うような…何でしたっけ?」

ラシュトルニーはどう説明すればいいか戸惑い僕に聞いて来た。

僕も僕がなんなのか知りたい…このままではダークエルフ達と戦う事になるのは確実だ

仕方ないと思い僕は虚しい顔でダークエルフ達の前に出た。

「レーーツ!!ぱー、う、ぷ、ぷーー」

またあの悲劇の必殺技を使おとしたが僕の口をラシュトルニが塞ぎ止めた。

「お、お願いです!やめて下さい!!」

ラシュトルニーは下半身に追い回されたせいで下半身トラウマになったようだ……責任重大だ。

「信じて下さい!それに、この方は破壊の女神様の使いです!」

「噂は本当だったか…」

破壊の女神の帰還と魔王と共にその使いがマムンティア大陸に来たと噂が広がってるとエムラい族長は言った。

それで、魔王テスラと一緒マムンティア大陸に渡る最中にリヴァイアサンと遭遇してここに流されたとダークエルフ達に説明した。

「だが信じ難いな…こんな少年が」

「嘘ではありません!」

ラシュトルニーの力強い言葉にエムライ族長は武器を収めてくれた。

でも…他のラプス族達は何故か不安そうな表情だった。

「ふむ…それが本当なら力で示せ!女神の使いよ!」

またのこの展開…予想はしたけど!

「どうすればいいてす?」

「ヴィゼー!」

エムライ族長の後ろから一人のダークエルフが出て来た。

「……………」

薄く輝く金髪…やや黒肌…大人の魅力が漂うクールビューティの女性だった。

「この子は我々が誇る魔法使い、近接戦闘も中々の腕前だ!彼女に勝ったら認めてもいい」

彼女はしばらく黙って僕を見つめてから口を割った。

「族長…無茶言ってくれるわ…多分私達が束にかかっても敵う相手ではないわよ?」

ヴィゼーは僕の事を見抜いた見たいだ。

「怖気ついたかヴィゼーよ?」

「うふふ…もちろん怖いですが…でも楽しみだわ!」

戦う気満々のヴィゼーは槍のような杖を振り回して構えだ。

魔法戦か…また言うが僕は強化魔法以外はカッコいいと思って派手な広範囲殲滅魔法しか覚えてない。

メテオストライクを一発ぶっ放して早く終わらせたが…僕の人生も終わりそうなのでやめた。

「行きます!闇の精霊よ、我が身に纏え!」

ヴイゼは闇の精霊と同調した。

同じ闇属性…どんな魔法を使って来るか興味深々でワクワクして来た。

「影を止める闇の杭よ、ウンブラコンペジバス!」

影のような黒杭が僕の影の脚に刺さった。

足が動かなかった…これはまずい!

「奮い立つ!鉄壁の守り、テトラへドロンプロテクト!」

足が動かず避けられなくなったから防御を強化した。

「えっ?そんな!人族が高位強化魔法を?…なら!空間を切り取る闇の刃よ!ラティオーファルセム!追跡する影の矢敵を貫け ウンブラサジッタ!」

真っ赤なオーラを纏う黒影のような鎌と七本の矢が飛んで来た。

明らかにやばそうな感じだった。

殺す気かよ!ど、とうしよう…そうだ!同じ属性だとダメージは半減する!なら強化魔法と闇属性ならなんとか防げるはずだ。

焦った僕は急ぎ闇属性を発動した。

「や、闇の魔神さん!助けて!」

魔神が身に降りて猛烈な闇属性のオーラが発生した。

焦ったと言え…こんな呼び声にも同調出来た事にちょっと複雑な気分になった。

闇の魔神と同調すると影に刺さった杭が破壊されて、飛んで来た矢と鎌もパジャマを少し切っただけで全て弾かれた。

「魔神同調まで…そんな!あり得ない!」

驚いたヴィゼー最大に魔力増幅してまた構えた。

まだ諦めてないようだ。

「ああ…僕のお気に入りのパジャマが!…ちょっと待て!」

これ以上パジャマを損傷させたくないから脱ぎ綺麗に畳み、トランクス一丁の姿になった。

ウサギと猫の絵柄のパジャマ…これはナーズラ村で寝巻きが欲しくて自分で作った

これを見た双子も可愛いから作って貰いたいと言われたぐらい僕の傑作だ。

その姿をみて目を隠したラシュトルニとヴィゼー。

…だが、何故か目の部分だけ指の隙間が大きい!

(プニプニです…可愛い)

(………コックリ)

隠す意味あるのか問いたいが我慢して戦いに集中した。

あやふやに終わらせたら今後もラプス族とダークエルフ達は揉める事になると思って力を行使する必要があると判断したさて…あまりやりたくないが…反撃開始だ。

「…避けないと死にますよ!流れ込め、龍の血脈…ドラゴニアパワー」

拳程の石を拾いヴィゼーに向けて全力投球した。

かーーーーん!!

投げられた方向は地面が大きく抉り取られ、石が当たった山には見事なトンネルが出来た。

まだ、バルちゃんのようには出来なかったが…まあまあ上出来だ。

「族長…私は降参しますが…交代して下さい」

「いやた…死にとうない!」

降参してくれたヴィゼー以外ダークエルフ達は全員土下座した。

「今までの無礼をお許しください」

ルル姉の使いと認めて貰った見たい…。

何故かラシュトルニ以外ラプス達も土下座していた。

うん、まだ信用してなかったんだ…ちょっと傷付くな…。

そして、ダークエルフの族長に事情を聞いた。

「皆さんはどうしてここに来ました?別の大陸で住んでいたと聞きましたが…」

ダークエルフの族長は悲しそうな表情で語り始めた。

「私達はレガリア大陸から来ました…訳があって里を捨てこの大陸に……」

族長の話しによるとリィヨース族と長年争いで数が減りすぎて絶滅の危機に落ちたズヴァールトとリィヨースは休戦する事に同意した。

それで国々の争いに巻き込まれない為どの国にも属さない未開拓地の地下で隠れ里を作り住んでいたと言った。

「だが…天災が起きたんです…深い地下に住んでいたお陰で全員無事でしたが、里は崩壊瞬前、地上一帯は死の地になり住める環境では無くなったので他の住処を探す事にしました」

「へぇ…大変でしたね…」

「食料も尽きて絶望した時…やっとここに辿り着きました…でも、この大陸は今どこも食料不足で…」

「なるほど…食料の確保の為だったですね…」

同じく死活問題のダークエルフ達を同情したが…ラプス族は力が無さ過ぎるから優先して貰いたいと思った。

「今すぐとは言えませんが…別の場所を探して貰いたいですが…」

「そうですか…出来るだけ早く探します…」

ダークエルフ達は素直に受け入れてくれた…ちょっと気の毒で後味が悪い感じだが…仕方ない。

「はぁ…あの忌々しい星振りが無かったら…天災に文句を言っても虚しいだけですが…」

…………………ンー?

星振りの話しに何が引っかかる…。

ちょっと待て!レガリア大陸?あっ!あれか!フィリア姉さんの護衛の時の…またやっちゃった。

………ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!

自分のせいで住処を失ったダークエルフ達を知らんぷり出来なくなった。

「あの?ラプス族さんと一緒共存しませんが?」

「……ラプス族と…ですか?」

ダークエルフの族長は気がのらないようだ

確かに戦闘能力が高い彼らにとってラプス族は足手纏いになるだけだ…だが!

「彼らはこの地に詳しいです、協力すれば食料確保が捗ると思いますよ?それにダークエルフさんは人数が少ないでしょう?」

「……た、確かに、私達全員九十人で狩や一人で動ける者は三十人程ですね…」

「ラプス族は総数412人、彼らは食料採取してその護衛にダークエルフさんが協力すれば何とか飢える事は無くなると思いますが…いかがでしょう?僕も出来るだけ協力したいと思ってます!」

「そうですね、今現状…私もそれが一番いいと思います」

僕の提案でダークエルフとラプス族の協力関係を結ぶようにした。

二人の族長は話し合い食料調達のルートと危険な魔物の位置を共有して、必要な食料と資材に関して話し合い、協力関係が成立した。

これで、ラプスさんやダークエルフさんも食料問題は何とかなるだろう……はぁ、今後から、魔法は気をつけて使おう…。

尊敬の眼差しでダークエルフの族長に感謝された。

ああ…後ろめたい気持ちで顔を逸らしたくなったが…頑張って耐えた。

.
.
.
.

どーーん!!!!!どーーん!!!!

地上が激しく揺れてる…凄い数の生き物達が狂ったように逃げ出していた。

その理由は巨大と言っても足りない程の広い陸地そのものが動いているからだ。

その動く大地は超巨体生命体ビビモスだった。

その上に寝っ転がっている人が居た。

リヴァイアサンだった。

「ねぇーばーーちゃん?そのまま行くと人族の都市…踏み潰す事になるよ?」

「知るか…ってその呼び方すんなーー!」

足一つが一国の都市より大きい。

その図体は国そのまま…動く国だった。

「昔みたいに飛べないの?ばーー…ムちゃん」

「…いくらジズの力を取り込んだとしてもこの図体は無理だ…後先考えずにちょっと大きくなり過ぎたな…」

「ジズちゃん……」

リヴァイアサンは悲しそうにビヒモスの体を眺めていた。

しおり