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アルバム

「いつも遅いのね?」
 今日は11時を回っている。ぽろんの女は積み上がった皿を洗っている。
「多かったようだね?」
「いつもいつも閑古鳥が鳴いていたら。そうそう」
と言いながらガラスコップにポールウインナーを投げ込む。それからぶつぶつ言いながら戸棚の中からアルバムを出してくる。
「3期生だって言ってたね。クラス憶えてる?」
「3-2だったかなあ」
「じゃあ文系だね。このクラスは昔から不良が多かった。あれあれこれね?」
 10数年ぶりのご対面だ。もうアルバムさえどこにあるのか覚えていない。
「3期のアルバムがあるわけ?」
「お客が持って来てくれる。去年のまで全部揃っている」
「ママのが見たいな?」
「ダメ。もっと親しくなってからね。同じクラスの石田君憶えている?」
と言って写真を見せる。
「一度大ゲンカしたな。彼もここに来る?」
「一時は毎日来てたわ。今は電気工事で各地に出張してる」
 バタンとドアが閉まる音がして、鍵をかける音がする。次の瞬間ピンク色のセーターからぽろんと形の良いおっぱいが飛び出して押し付けられる。
「今日はたくさん出るからまんべんなく吸ってね」
 いつの間にか造花の赤いカーネンションがガラスコップに刺さっている。

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