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ぽろんの女

 カウンターの中からぬ~とショートカットの女性の顔が上がってくる。つい後ずさりして、
「もう閉めるならいいですよ」
「ここはお客さんがいたら閉めません。でも今日はポールウインナーしかないけど?」
「好物です。ビールは?」
「小瓶でラッパ飲みを」
「それも慣れています」
「始めて見るね?」
「ええ、東京から来ました。始めてこの駅の近くの店に入ってみようと」
 小瓶が出てポールウインナーが無造作にガラスコップに5本もさされる。ママも小瓶を飲んで止めていた音楽を流す。
「カラオケは?」
「いいです。先ほど気が付いたのですが、ここは古本屋があったのですね?」
「よく知ってるね?1階にね」
「ビルじゃなかったかと?」
「このビルは昔からあった。記憶ってあやふやなのよ」
「でも古本屋の黒縁眼鏡の親父さんは覚えてる」
「それは父よ。高校は?」
「A高校だよ」
「じゃあ、何期生?」
「3期生」
「2つ下ね」
 何を話したのかいつの間にか氷雨も止んで、窓が薄明るくなっている。上半身に毛布が被されて、サンドイッチとコーヒーが湯気を上げている。
「私のおっぱいのミルクどうだった?」

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