バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

7話

バルトゥールはテスラの後ろでニヤニヤしていた。

「妹様…何でしょう?」

「それがな…いい所見つけたからそこ寄こせ」

「……えっ?」

テスラは耳を疑がって魔王は聞き直した。

「何を…お求めに?」

「だから!ここからちょっと離れの場所にこの国で一番デッカイ山があるじゃん?そこ辺を寄越しな」

「巨山?…………そ、そこは!」

そこは魔王国の国境に近い場所でタグマイの領土だった。

「申し訳御座いませんが…そこはタグマイと言う領主の領土なので無理です」

捜索準備を終わらせて魔王を報告しに来た双子もそれを聞いて呆れた表情になった。

「あんた…めちゃくちゃだね…」

「頼みことに程がありますよ?もうアレになりました?せん妄…可哀想に…」

バルトゥールだけには容赦なく辛口になるリリヤだった。

「糞虫、毒虫…お前らな!お兄ちゃんとの約束さえ無ければ…」

「妹様!落ち着いて下さい!直轄地ならいくらでも…」

テスラは双子が怪我でもしたら国の威信ところがハルトに合わす顔が無くなると思い流血事態たけは避けたい思い直轄地を差出そうとした。

「ふん!あそこ以外は要らない」

「そうですか…残念です

諦めてくれたと思い安心した。

「だからあそこ貰うわ…許可なんか要らんし一応言って見たたげだ」

「え?」

はなから諦めるつもりは無かった見たいだ。

「なあ…糞虫、毒虫…お前らもお兄ちゃんが可哀想と思わない?」

ハルトの事を持ち出すと双子は食い付いて来た。

「どう言う事よ?可哀想って?」

「何が可哀想なんですか?意味が分かりません?」

「あのな?話し聞いてたけどよ…お兄ちゃんは今まで狭い宿で暮らしてたでしょ?」

「そうね」

「あ?それがどうしましたんですか?宿生活は冒険者には当たり前の事ですか?」

「無神経なやつだぜ…年頃のお兄ちゃんが可哀想だ」

「ん?何がだ」

「……」

「…ゴホン」

イリヤは意味が分からずキョトンとしたがリリヤとテスラは顔を赤くして黙り込んだ。

「まあ…寝処はいいとしてイビルゲートも無くなったその村にお兄ちゃんが戻る訳ないだろ?」

「そうだな…ギルドも解散して別の所に移転するし」

「イビルゲートは沢山あります!」

「そうた!」

双子はまた別の所に行けば良いと思っていた。

「また、攻略したら?あちそち転々と住所不確定な流れ者…他の冒険者はどうでもいいけど兄ちゃんはそうなって欲しくないわね」

「そ、それは!」

「くっ!悔しいが言い返す言葉がありません!」

双子もそれは同じ気持ちだった。

「それにあの性格のお兄ちゃんだ…このままだとどうなると思う?」

「酷い事言って悪かった!」

「ハルトさんなら…一生かけて全世界を隅々廻るでしょうね…」

双子は一生流浪する事を思うと心配でたまらなくなった。

「それでね…お兄ちゃんがちゃんと帰る場所を作ってあげたいと思った訳よ」

双子はショックで座り込んでしまう。

「そ、そんな!それは思いつかなかった!」

「帰れる場所!暖かいお家…完、完敗です」

馬鹿にしてたバルトゥールに完膚無きまで負かされた双子はしょんぼりして肩を落とした。

その時、魔王に謁見の要請が入った。

「魔王様、タグマイ様の使いで獣人将グラトニが謁見を求めて参りました」

「タグマイの猟犬グラトニか…何事だ?」

「よう!魔王様よ!久しいな」

一人の虎族が近衛をなぎ払い勝手に謁見の間に入った。

筋肉ムキムキに顔に二つの大きい切り傷がある猛将の風格だった。

「グラトニか…謁見を承知した覚えはないぞ?」

「固い事言うなよ…それにアンタには用はない」

魔王に対して目に余る態度であるがテスラは大領主タグマイの使いを罰する事が出来ないかった。

彼に反乱の火種になると思って

「女神様の使いってどいつよ?タグマイ様の命令で拝めに来たぜ!早く出せよ、あははははは!!」

「グラトニ!無礼であろう!自国を滅すつもりか!」

「はっ?何馬鹿な事言ってる?」

国が滅ぶより反乱の方がマシだと思ったテスラは玉座から立ち上がりグラトニを捉えて罰せようとしたがバルトゥールが無邪気な笑顔で止めた。

「なぁなぁ…魔王ー私に任せて」

その口調に…不安になるテスラ。

「其方、わたくしがその使いで御座います」

「はっ?」

「ご用件を伺いましょう!祈りを捧げたいならまず渡す物があるでしょう?」

聖女のように振る舞いながら…金銭を要求した。

グラトニはバカにされたと思い不愉快になった。

「こんなチンケな幼女が神の使い?あははははは…ふざけってんのかぁぁぁ!!」

怒り出したグラトニは拳を握り大理石で出来た太くて固い柱を素手一撃で叩き割った。

(噂通り、凄まじい力だ…)

テスラはその腕力に少し感心した。

「オホホホ!ニャンコ風情が戯れて来るとは…ふざけってんのか!コォラァーー!」

怒り出したバルトゥールはその小さくて丸い拳一振りで大理石で出来た太くて固い数百本の柱と鉄筋で作られた頑丈な魔王城を半壊した。

(もう…なんと言えばいいか分からない怪力!)

テスラは壊れた魔王城を見て虚しく穴が空いたソラを見上げていた。

グラトニ破壊された魔王城を見て固まってしばらく動けなかった。

「…こ、こいつは…何者だ…」

「グラトニ貴様!なんと許し難い無礼を!この方は神様だぞ!(邪…を抜いたが…)」

「はっ?か、神だと?」

「神を冒涜するとは!(邪…を付ける訳にはいかんからな…)それは、タグマイの意思が!!」

テスラは目先の火を消す為タグマイに全ての罪を押し付けた

(あのクソじじい!神相手とは聞いてないぞ!神相手にどうしろって?俺、どんだけ過大評価されてるのぉ?しかし、神様…初めて見たわ…御利益あるかな?)

グラトニは馬鹿だった。

「其方?覚悟は出来てますか?出来てますよね?出来て無いと困るよ!ウヘヘへへ」

聖女から悪女に変わった。

「いや…ちょ、あの…く、くるなぁぁ!!」

バルトゥールは逃げるグラトニを押し倒して全ての毛をを毟り取った…爪や牙を根本まで抜き取り、オマケに全ての関節をある得ない方向に曲げた。

「うわーあーなりたく無いわ…ゴホン!王と神に不敬を働いたグラトニを投獄させろ!」

グラトニはテスラの命によって地下監獄に連行された。

「ちっ!…つまんない!遊びにもならん…」

「一人廃人にさせて遊びにもならないって」

「あ?なんか言った?」

「いいえ!なんでもありません!」

さすかの双子も毛一つもないあられもないグラトニの全裸の姿に目をそらした。

「なぁなぁ…魔王ータグマイってやつにオトシマイ…分かるよね?イヒヒ〜」

無礼を働いたお詫びにその領土を渡せっと言ってるようだ。

(もう…どうにもなれよ…ああ…魔王引退しよかな?)

.
.
.
.

この頃ハルトはラプス族の生活を改善の為まず食材集めをすると決めてラプス族二十人を連れて食材採取に出た。

道案内はラシュトルニとレーイミが立候補したが…ラシュトルニに任命された。

理由は族長の孫娘だからだった…。

「ハルト様!この辺りは魔物も多いですが…薬草や木の実が多いですよ」

「へぇ…なら!収穫だぁ!取り尽くせ!」

「はい!!」

ラプス族が食材を取る間に僕は警護に当たった。

ラシュトルニは耳を澄まして魔物の位置を的確に把握して僕に伝えた…そして採取してるラプス族に来る前に排除する事が出来た。

「ハルト様…2キロメートル先に何が近づいて来ます……」

ラプス族の耳はは人の何十倍程も聴覚がいいと聞いた。

それにラシュトルニはラプス族の中でも別格に耳がいいらしい。

「魔物か?数は?」

「いいえ…魔物ではなさそうです、数は10…人のような足音ですが速すぎます!これは?」

「魔物じゃないなら人族じゃないの?」

「この身のこなし…間違いなく、スヴァルトアールヴです!」

おお!来ました!メージャ種…ダークエルフ!






しおり