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 人気のない場所っていったらここだよなと、俺は自分のロケーション選択の良さに拍手した。
 なんで屋上の出入り口に連行されたのかわからない、という顔のソラの胸倉を握りしめて怒鳴る。
「何だよ今の!」
「何って……。成仏させただけだろ」
「物騒なんだよ!」
「世の中?」
「お前!」
 成仏させたってなんだよ、お前天使なんじゃないのかよ、やり方が天使と言うより悪魔だよ!
「あぁ、はいはい。なるほどな。ちゃんと説明するから」
 どうどう、と言い始める天然パーマを見ていると、荒げていた息も落ち着いてきたので、胸倉の手の力を緩めた。
「アレ、強制成仏って言って、名前のまんま、無理やり成仏させるやり方なんだけど、地獄にしか行かせることができないから、普段は絶対やっちゃいけないことで」
 ごそごそとズボンのポケットからさっきぶっ放したハンドガンを取りだした。本物の銃を生で見るの初めてだ。
「一応最終手段なんだけど、幽霊が問題を起こした時に限っては使うことが許されるんだ。やり方は人それぞれでさ、俺の場合は銃だけど友達の美人になると花渡して成仏させる奴とかいる」
 どうせ仕事手伝うならその人がよかった。
「だが男だ」
 なんだ、美人とか言うから期待したのに。
「しかもオレ銃使うの苦手でさ。あれくらい至近距離にいないと当たらないんだよな。だから最初は肉弾戦に勝つことからなのさ」
 苦手ならもっと穏やかな解決方法にしてくれ。
「いや、でもほら、銃って、かっこいいだろ?」
 当たらなきゃ意味ないだろ。
「そうなんだけどな」
 わずかに苦笑うソラにため息しかでない。
「まぁまた何かあったら笛吹けよ。すぐとんで行って、さっきみたいに成仏させるから」
 俺の頭をポンと撫でてから、ソラは階段を下りて行った。
 さっきみたいな成仏って……。
心臓に悪い上に、やられる幽霊が可哀そう過ぎてめちゃくちゃ笛吹きにくいんだけど……。
 どうしよう、と肩を落としながら教室に戻ると、野球拳を続けていたらしい仲間が、ワイシャツのボタンを閉めながら、五時限目の準備をしていた。

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