5話
あの子を探してマムンティア大陸を飛び回るリヴァイアサン
「うーーん、この辺で気配がするんだけど…また、あの中で引き篭もってるかな?」
ある山の頂上に降りてあの子を呼び掛けた。
「やっほーぉ!ばーーちゃん!私だよ!、だよ、だよ、だょ~」
叫び出した声はその一帯に大きく鳴り響いた。
「……あれぇ?来ないや…何時も呼べばすぐ飛んで来るのに!んじゃもう一回!」
更に大きく息を吸ってもう一度叫ぼうとすると黒い影が飛んで来た。
「ばあぁーーーーげぶっ!」
その黒い影はリヴァイアサンの腹部に見事な肘打ちを決めた。
「レヴィ!それ、言うで無いと何回言ってる?あん?」
漆黒の髪に赤い瞳…派手なビキニアーマーを付けている女性が現れた。
「げほ、げほ……内臓に染み渡るエクセレントなエルボーバットだよ、ばーーちゃん!かはっ!」
強烈な踵落としを食らって倒れるリヴァイアサンの顔の左右に数十回のローキックコンボが炸裂した。
「次言ったら殺す…」
「うううう…あ、相変わらず容赦なく殴って来ますね…バルちゃんと互角ですわ!」
大量に出た鼻血を拭き取るリヴァイアサン…。
「バルトゥール?そいつと会ったか?」
「ええ、凄く元気でしたよ!」
「ツッ!…まだ生きてやがったか…しばらく話し聞かないから逝ったかと思ったのに」
バルトゥールとは仲間が宜しく無さそうだ。
「レヴィ、陸は私の領分だ…何故来た?」
「ちょっとばーーっ!」
殺気を込めてを構えるばーーちゃん。
「もう!名前が多過ぎだよ!今は何と呼ばれてます?バハムート!」
「その名は言うでない!…今はビヒモスとかに言わられてるらしい」
バハムートの正体はビヒモス、ベヒモス、ベヘモスと色々言われてる、三体最強生物の一つだった。
「へぇ……なら!びっちゃん?げっふ!」
何故かまた殴るバハムート…。
「げぼ、げほ…な、なんで殴るのよ!」
「それ…なんかビッチぽく聞こえるからムカつく、やめろ!」
「うううう…なら真名を教えてくださいよ!」
「ふん…誰にも教えるつもりはない!我が真名は主様のみ知ってる、二人だけの秘密だ」
「ケチ臭いですぅ!プンプンだ!」
可愛いく拗ねる天災指定生物…。
「ちょっとバハムートに頼みたい事があってですね」
「私に?何処かの神や邪神でも葬るつもりか?」
「物騒な!平和一番ですよ!」
その言葉に彼女は凄くイラっとした。
「…………お前が言うなぁぁ!いつも問題起こすのは貴様だぁ!今までその後始末で主様と私がどれだけ苦労したか!この問題児!」
「あれぇぇ?なんの事かしら?きゃっは♪」
バハムートは惚けた姿にマジ切れした。
「殺す殺す殺す!!今回はまじ殺す!その腐った頭の中身ごとかち割ってやる!」
「待って待って!!大事な事だよ!」
「死んでから聞こうじゃないか?ククク!」
「死んだら話せないよ!!」
バハムートは殺気全開の本気モードに突入した。
「主様の事です!!ふん!もういいですぅ!プンプン!私一人で探して愛でてもらいますぅ!独占ですよ!えへへ♪」
その言葉にイラついた顔が一気に激怒の表情に変わった。
「今…何と言った?貴様、私の前で…それも主様の事で戯言と言うとは!」
バハムートの背中から漆黒の巨大な翼が生えて来た
それを広げた影だけでその一帯を全て負う程大きくて凄まじい突風が発生した。
「あら?なんで怒ってます?」
「今は消滅されて無き存在になられたが、忠誠を誓った主様の事でふざけるとは…あの毛皮らしい神々の儀式…また続けようか?レヴィよ」
「へぇ?私の前でそれを口に出すとはね…私はいいけど?主様はきっと悲しむですよっ!」
ずっと目を閉じていたリヴァイアサンが目をバッチリ開けた。
その瞳は紫のアメジストのようで瞳で中には電流が激しく飛び散ってるように流れていた。
神々の儀式…。
その言葉を聞いたリヴァイアサンも激怒して元の姿に変わった。
銀色に輝く水龍のようなリヴァイアサン、鱗一つ一つ名剣のように鋭く硬い。
バハムートもまた元の姿に戻った。
頭は恐竜のようで体はまるでクジラのような姿に手足も生えた。
その手に付いてるその爪はと全て切り裂き切れないものは無いと言われた神の剣と言われた。
「久しぶりですね!!その姿を見たのは…」
「この姿を見るのが最後になるだろう…レヴィ!」
バハムートの翼が羽ばたくと二つの巨大な炎の竜巻がリヴァイアサンを挟み削り始めた。
「あれ?私?舐められてるの?あら気持ちいいそよ風♪♪」
そよ風って言ってるが、その一帯はその竜巻に何もかもが吸い込まれ、焼けて廃になった。
そして、その辺の地はなにも無い廃地に変わった。
リヴァイアサンも反撃を始めた。
鱗を立て振動して、超音波を発生させて竜巻を粉砕した。
そして巨体から高圧の電流が発生し空に打放し、数千の落雷が発生してバハムートに落ちた。
その雷一つ一つが戦略級魔法以上の威力だった。
「準備運動は終わったか?レヴィ?」
「ええ、体がちょっと解れて来ましたよ」
「んじゃ、始まるとしようか…」
「はい、死合いを!ふふふ」
二匹の怪獣のちょっとしたストレッチに地上の生き物達は大騒ぎになった。
凄い数の動物達の群れが逃げて、人々は避難をするがどこに行っても安全と思えないと絶望していた。
「待てい!バカ共!やっぱこうなると思ったわ!」
二人を止めたのはバルトゥールだった。
「あ?バルトゥールか…そこを退け!主様の妹でもこれは君が口出しする事でない!」
「なぁなぁ…二人が殺し合うのは大賛成だ♪でもな…そのせいでうちのお兄ちゃんに何かあれば……今ここで二人とも消しておくぞ?」
現在、どこにいるか分からないハルトが怪獣達の戦いに巻き込まれるんじゃないかと心配で止めに来た兄想いのバルトゥールだった。
「今、何と言った!兄だと!今君の兄と言った?」
「あ?そう言ったが?」
「主様は消滅されたはず…君と私の目の前で!!」
「そうだったな…でも、理由は私も分からないが、お兄ちゃんは戻って来てる」
「信じられない!そうだ!主様に頂いた主従の指輪が!」
人の姿に変わったバハムートは胸からネックレスにした指輪を取り出した。
その指輪の宝石の中から黒い渦のような物が蠢いていた。
ハルトの魔力の渦とそっくりだった。
「ほ、本当だ!消えた魔力の渦が…再生している!最後に言い残した、あの約束を守って下さった……」
バハムートは嬉しくて涙をポタポタ泣がした。
「ツッ…辛気臭い!!お前らにお兄ちゃんを合わせたくないけど…仕方ない、サッサとお兄ちゃんを探しに行け!見つけたら魔都まで連れて来て」
と言ってそのまま何処かに行った。
「ねぇ…バハムート、続きはどうするの?」
「………あれぇ?何の事かな?」
「……真似しないでよ!」
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ラプス族の里に着いたハルトは大歓迎を受けていた。
数十のラプス族の戦士に武器を突き立てられ囲まれていた。
「あの……こんなに歓迎して下さらなくてもいいですが」
里の位置がバレてしまったと思い大混乱になったラプス族だった。