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4話

海辺に流れ着いたパジャマ姿のハルトはグウグウ爆睡していた。

「い、生きてるの?ヤバイよ…逃げるわよ!ラシュトル二!」

レーイミはハルトから離れようとするがラシュトル二は躊躇した。

「でも、このままじゃ…魔獣達に食べられてしまうよ!」

「何言ってるのよ!人族だよ?人族に捕まると、どうなるか分かるでしょう?」

「……でも、まだ少年…だよ?」

「もう!!…ラシュトル二!もし、魔獣が来たとして…私達でどうにか出来ると思う?」

「う、う、うん…そうだね」

二人の話し声で目が覚めたハルト。

見慣れてる空…うん、空はどこも同じたよね…僕、船にいたよね…?皆んなは?

「ここは…とこだ!」

船でリヴァイアサンに遭遇したから記憶が無い!

今の状況を飲み込めずに周りをあっちそっち振り向くと、二人の女性が見えた。

警戒してる感じの二人は僕から逃げるように距離を取った。

「ら、ラシュトルニ…と、どうしよう!起きてしまったよ!」

「お、落ち着いてレーイミ…」

……う、嘘だろ!これは!

「う、う、う、う!」

僕は二人を見て驚きと感激に上手く言葉が出なかった。

「う?」

「??」

「う、う、ウサミミだぁぁぁ!!いやっほー♪♪」

「きゃぁーー!!」

二人は奇声を上げて怯えた…。

この可愛いウサミミちゃん達はなぜか…僕を怖がっていた。

それたけは死ぬほど嫌だった。

し、仕方ない!あれを使うか。

起きて早々辛いが…僕は深く深呼吸してから二人にアレを使おうとした。

「驚かせてごめんなさい、僕、船から落ちて流された見たい…」

「く、来るな!怪しい人間!」

ウサミミ子に攻撃された…。

ぽんぽんぽんぽん!

叔母さんに肩叩きをするような攻撃…力無さすぎだろ?…しかし、あー肩こりがほぐれていくぅぅ♪気持ちいいなー♪

ラプス族は亜人の中で一番戦闘に向かない種族で早足と聴力で危機を察知して逃げるだけが得意の種族だった。

僕は重大な問題に気付いた。

神すら落とした奥義が効いて無い事を!

姉キラーモードが効かないようで凄く焦った。

「はぁはぁ…こ、こいつ出来る!…ラシュトルニ、どうしよう?もう、逃げられないよ…うう」

「レーイミ…うちらでは人間の少年すら倒せないよ…」

僕は怯えてる二人を見て絶望した。

「レーイミ…まだ少年だから私達を捕まえに来た訳じゃないと思うの…話しして見ようよ?

「バカ!あの変な顔…絶対怪しいよ!」

ちょ待って?今聞き捨てならない事言った?僕の顔が変な顔てすと?

その言葉に違和感に気付いた。

頭にワカメらしきものを被って顔は砂だらけ…鼻に何故か枝が刺さっていた。

誰だ!僕の顔にイタズラしたやつは!

ワカメもどきを取り外し顔を洗ってもう一度アレをやり直した。

「驚かせて、ごめんなさい!僕、船から落ちて流れ着いた見たい…気を失った僕を守ってくれて本当にありがとう」

照れながら精一杯の感謝の気持ちで微笑む!よっしこいや!

「……うう、いきなり殴ってごめんね!ああ…私、この子になんて事したんだぁぁぁ!」

自分の行いに悔いるように地面を叩き続けていた。

「う、うん…た、大変だったね…ぶ、無事で良かったよ…」

もう一人は赤くなった顔を逸らした。

うんうん!これよ!これ!この反応!良かった良かった!びっくりしたよ!

自慢の奥義、姉キラーモードの健在を確認出来て凄く安心した。

その時、二人の耳がビックと動き、凄く緊張した表情になった…それに二人は僕を何かに隠すように前と後ろに立った。

「ら、ラシュトルニ!」

「ああ!囲まれているよ…逃げられない!」

12匹の2メートル近い猪ような魔物に僕とウサミミ達は囲まれた。

「と、トロイント…」

「ラシュトルニ、ごめん…先、私が大声を出したせいで…」

「ううん…私が集中してなかったせいだよ、本当にごめんね…それより、少年さん!私達が囮になる隙に逃げて…」

逃げられないと判断した二人は目を閉じだ。

震える体を互いに抱き合って必死に恐怖に耐えていた。

餌になる隙に逃げてっと…こんな優しいウサミミ子達を害する者は…僕は神でも許さない!

襲って来るトロイントに僕は怒りを込めて正拳突きをした。

パッシャーっ!

破裂したトロイントの肉片が飛び散り返り血で僕は真っ赤に染まった…。

血生臭い!

今までどんでも無いレベルの方々と一緒だったから忘れてたよ…力加減しないとね。

残りの11頭のトロイントには力を加減してとても優しく蹂躙した。

「イヒヒ!こいや!ウサミミさん達に手を出そうとするとは!許さん許さん許さん!」

優しく蹴り飛ばし、優しく頭を握り潰し、優しく手で首に穴を開け、持ち上げるなど……僕は楽しい虐殺血祭りに夢中になった。

トロイントを全部倒した僕は、もう危険は無いと二人を安心させようとした。

「ふぅ…二人共!もう大丈夫だよ!安心して」

逆にすんご〜く怯えていた…震えていた…。

予想外の展開に手にしたトロイントの頭を無意識的に力が入ってタマゴのように握り潰してしまった。

それを見た二人は…顔が青ざめになった…。

「先…殴って本当にすんません!許してください…殺さないで下さい…見逃して下さい」

土下座して許しを請う姿…もう一人は木の後ろに隠れた…。

魔獣より恐ろしく強い人間の前でもっと不安になった見たいだ。

「……うん、本当に何もしないよ、だから安心してよ…お願いだから怖がらないでよ…」

僕の切ない気持ちを込めた言葉を信じて安心したように僕の前に出て来てくれた。

「凄く強いですね…トロイントは本当に危険な魔獣なのに、こんなに簡単に倒すなんて…」

大きい図体に鋭い牙、ノコギリのような歯を見ると人間の冒険者にも脅威になるに違いない魔獣だった。

二人はそれを勿体ないような目で見ていた。

「ん?これ、持って行く?」

「トロイントの肉…これぐらいあれば里の皆んなが助かるけど……」

………えっ?兎が肉食べるんだ。

ショックを受けた!…だが可愛いから構わない!気にしない!生肉食べても大丈夫♪

「でも、大き過ぎるから、私達では持ってません…」

非力なラプス族、二人は死力を尽くしても動かす事も出来なかった。

「僕が運ぼうか?」

「え?いいの?」

「でも……里に人間を…」

人間と魔獣に怯えて暮らしているラプス族には里の位置がバレるのは大問題だと断れた。

そんな!ウサミミのパラダイスが…泣きそう。

……人間で生まれなきゃ良かった。

「なら、里の近くまで運ぶよ…それならいいの?」

「何故そこまでしてくれるの?」

警戒心が強いラプス族は…まだ完全信用してないようだ。

「うーん、それはね…」

僕は二人の姿に心を痛めていた。

今でも倒れそうな痩せ細い手足に、ただの布切れを被ったようなボロボロの衣服…素足で傷だらけの足…それを見て、なにか力になってあげたいと思ってるが…そのまま言えない。

「そ、そう!僕!魔王テスラ姉さんに招待されてここに来たんだよ!」

「…魔王様が人族を?」

益々怪しまれた。

「本当だよ!!それにルル姉…じゃなく!ルナファナリールカ様の使いでもあるから亜人さんの味方だよ」

微妙に違うが嘘ではない!

「嘘言うなよ…破壊の女神は……」

「レーイミ……」

二人はまだルル姉の帰還と聖魔戦争の終戦の事を知らないようでそれを説明した。

「本当に?お戻りになられたの?」

「うん!そうだよー!」

人助けって大変だな……。

「ルナ様の使い様なら里に連れて行っても問題ないね!」

「そうね!食料が尽きた里にトロイントを持って行けば皆さんも助かるしね」

二人は僕を信じて里まで連れて行く事にしてくれた。

信用してくれたのは嬉しいが…無防備過ぎで心配だ…。

「あっ!自己紹介が遅れました…私はラシュトルニ」

「レーイミです!宜しくお願いします」

おっとりして優しそうなラシュトルニと元気なレーイミ。

「僕は志村晴人、ハルトっと呼んでよー♪ラシュトルニ、レーイミ」

自己紹介を済ませてトロイントを運ぶ準備をした。

「何してます?ハルト様?」

「何を作ってるの?ハルト様」

女神の使いと信じた二人は僕に様をつけた。

一応神の使いと認めさせるためその呼び方を受け入れたが…擽ったい!だが!なんか…偉い人になった感じで新鮮な気分だ!

「ロープを作ってる、こんな数、全部持ち切れないから…引っ張って行く為だよ!」

一頭…破裂させてしまった!勿体ない…肉片でも搔き集めるか?

「全部?11頭を?」

「どうやってですか?」

カラムシのような植物でロープを作り11頭のトロイントの足に結び終わった。

「んじゃ、行きますか!」

二人は軽々しく引っ張って行く僕の姿を見て口を開けたまま固まって見ていた。

「ハルト様、本当に…ひ、人族なの?」

「れ、レーイミ!失礼だよ…」

「んー、一応人間?でも…違うような?あっ!未知の生命体?なんっちて…」

「?」

「なにそれ?」

トロイントを持って、沢山のラプス族に会えると思った僕は嬉しくて口がニヤけた。

いざ!参ります!ウサミミのパラダイスへ。



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