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1章 最終話 引き篭もりを卒業した少年は家で(旅)をする

天界に災を齎す危険な存在になると思いボルグランはハルトを殺そうとする。

「少年よ…天界と世界の危機を救ってくれた事は感謝する」

「どういたしまして!礼には及びません…ですから…感謝に溢れるその拳を下ろして貰えませんかね…」

「………だが、お主は危機過ぎる…恨んでも構わん…」

「ひ、人でなし!!」

あっ!神様でしたね…もう!神なんかうんざりだぁぁ!

ボルグランは拳に凄まじ闘気を込めて構えた。

凄い気迫、これは…まずい!掠っても終わる!どうする?どうする?

ボルグランの闘気を見る限り、絶対敵わないし防げない事は目に見て分かる

…でも死ぬ訳にはいかない!

必死にこの危機を乗り越える方法を考えたが…方法はなし。

肉重な拳を僕に向けて突いて来た…避けれない…あーこれは死んだわ。

その時!ボルグランの拳を受け止めた人…いや神が居た!……芸の神、グランデだった。

「待ちたまえ!ボルグラン!」

えーーー!この人モブキャラじゃなかったの?

「ちょっとお待ちになって!」

「脳筋バカ、待機要求!」

「…お主ら…」

美と虚無の女神もボルグランの前に出て彼を止めてくれた。

「我々三大神がその少年の身元を保証する!」

「そうね…この坊やに借りがあるしね」

「手出し無用!越権行為!」

三馬鹿の言葉に素直に拳を下ろすボルグラン…信じられない!

「はぁ…三名の大神の保証なら…仕方ない」

息をする事すら辛かった殺気があっさり消えた。

ルル姉に怯える只の雑魚だと思ったが意外と大物だったよ!助かった!

「ボルグランよ!この少年を殺した後のことを考えての行動か?はぁ…」

「ルナファナリールカが、どう出るか!目に見える…ああああぁぁ考えるだけでシワが増えるわ!」

「火の海、死体の山……」

三馬鹿と周りの神々も顔が真っ青になった。

ボルグランは知らなかった…ハルトがどれだけルルに激愛されてるかを…。

「あのさぁーボルグランよ、あのルナファナリールカが…この少年の一言で…」

「我々に和解を受け入れてくれたよ…あの殲滅バカが…信じられる?アンタに出来る?出来る?」

「もう疲れた!平穏に暮らしたい!余計なことすんな脳筋バカ!」

おおぅ…いつも片言しか言わない虚無の女神がまともに喋った!

(あの破壊の女神が?嘘だろ…しかし、こいつらに好き勝手言われると……死にたくなる…)

三馬鹿に責められて落ち込むボルグラン…心に大きく傷付いたようだ。

「やっと穏やかに芸術に励むことができる…ああぁぁぁ!やっとこの日が来たのだ!」

「今まカサカサになった肌とストレス太りした体を全力でケア出来るわ…ううう…」

やっと平穏な日常に戻れると思い芸と美の神は嬉い涙を流していた…。

「へへへへ…これから私も暗い部屋で引きこもって…………うん、別に変わってないね…」

あっ!虚無の神様は昔の僕と同じような感じがする…ちょっと親近感を感じる。

「ひょっとして…キリシューさまは闇属性と無属性?」

「うん、なんで知ってるの?」

やっぱり!そうか…属性って…リア充になれば光属性付くかな?

「いや…何となくそんな気がしただけで…」

虚無の女神は僕に近づきジロジロ見た。

今までフードに隠れて分からなかったけど凄く可愛い顔だった!隠し美少女で人気出そう!

「ふーん?……クンガクンガ…あっ!君に同士の香りがしてる…ふふふ…」

あれ?バレた……えっ?同士の香り?何の匂い?引きこもりの匂いってどんな匂いですか?それに、僕はもう卒業してますから!

そして、主神は僕を呼び出して自室に連れて行かれた。

何か大事な話しがあるらしく付いて行った。

僕は主神様と色々語ってから戻った。

ルル姉の話しで盛り上がって…ちょっと仲良くなれた気がします…。

主神は神々の前に出て事の収拾をつけてくれた。

「この少年はルナの抑止力になる…故に手出し厳禁にする!後、この少年と邪神バルトゥールをこの世界の住人と認める…以上だ」

主神が宣言し、僕とバルトゥールは神々に認められてこの世界の住人に決定された。

「ありがとうございます!主神様!神様達!」

三馬鹿が契約を守ったお陰で危機を乗り越えてこの異世界の生活も認められた。

ああ!これから自由に生きる事が出来る!

「やっぱ!兄ちゃんが帰って来た!!」

「ハルトちゃん!!!」

「坊や!主様は?」

ラズリックさんとレイラさん、可愛い…年上の自称妹が真っ赤な姿で歩いて来た

「ば、ば、バルちゃん?どうしたの?その姿は…」

全身は血に染まっていた…何があった?

「ああ…これ?あのクソ生意気なやつ、ガラーウだったけ?ちょっと更生してあげたよ…」

一体どう更生したら血で染まるの?

「ああ…せっかく用意した道具もドラゴンちゃん達も連れて来たのに、無駄になって…残念ですね…」

「第2フェーズに移行する前に壊れたよ!あの女に歯向かって来るからどれほど根性座ってると思ったが、つまらんな……」

この人達…何をしたのか大体想像がつく…一緒にいたようなレイラさんは顔が真っ青にして震えてるしよ…。

そして、事の終わりを皆んなに報告した。

「あの…ルル姉は無事です…無の神ももう居ないです」

「ハルトちゃん!!私!信じてたよ!ありがとう!」

ラズリックさんは本当に嬉しそうな顔で抱きしめ出来た……いい香り、先と違う香水?…この人、凄いわ…こんな時まで!

「ああ!これで長年苦しんだ主様も穏やかにお過ごしになる…ううう…ありがとう坊や!ありがとう!」

「ツッ!」

バルちゃんは舌打ちしたが…レイラさんは心の底から僕に感謝した。

こんなに忠実な人をルル姉は…何故だろ?疑問が解けない!

これで天界にはやっと平和が訪れた。

そして、僕は与えられた無理ゲーのミッションをコンプリートした…。

やれば出来る!人間舐めるな!神々!
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そして、ハルト達は破壊の女神の聖地に行ってルルの器を玉座に置いた。

ルル姉、早く回復して会いに来て…待ってるから…。

頑張って笑っているが、離れたく無く泣きそうだった。

それに気づいたラズリックさんは僕の背中に寄り添ってそっと抱きしめてくれた。

「ハルトちゃん、こんなに辛そうに…私が慰めてあげる…前の続きしよ…うへへ」

…またやらしい指の動きをして来た。

ふむ…あの6時間か…あははは…一体、僕はどんな事される訳?正直、興味がない訳はない!

…でもなんか、踏み入れてはならない世界に行きそうなきがしたから遠慮して置きます!

「あっ!地上の仲間が待ってます!また今度で!バルちゃん!急げーー!!」

「は、ハルトちぁぁぁん!!」

ラズリックさんから逃げる為、急ぎそのまま聖地からバルちゃんと下界に飛び込んだ。
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「なぁ!バルちゃん!僕!ワクワクするよ!これから色々冒険や旅をしようと思ってる」

「お兄ちゃんと一緒なら!どこでも行くぅぅ!えへへへ」

良いけど…お願いだから大人しくしてくれよ…。

「んじゃ!これから宜しくね!バルちゃん!」

「不束者ですが宜しくお願い致します…きゃっは♡」

新たな世界に旅立つ事に興奮した僕は果てしなく高い空から落ちて…ずーっと落ちて…更に落ちまっくる……。

「ねぇ、バルちゃん…なんかずーっと落ちぱなしですけどいつ地上に着く?」

「うーん…天界から地上まで実質60万キロ?まだ大分かかるよ!」

「え?…そんなに?階段で登った時は60段位だったのに…ま、待てよ…60万?」

そうだ…ここは、人間の常識が通じるはずがない異世界だ。

それに気付く僕の頭から重力やニュートンの法則など様々な状況を判断し…結果を予測するまでもない。

あっ!死んだわ。

「バルちゃん!なんかシュッとばっしーとすぐ安全に地上に着く方法は無い?」

「うん?シュッと?ばっしーと?…意味が分からないが…早く瞬間移動する事は出来る」

「体が…ポッキっと折れたりバラバラにならない?」

「慣れない人はちょっと酔うけど…痛みは無いよ…」

よぉし!さすが邪神様。

「僕の愛しき妹よ…お願い出来るかな?その瞬間移動やらを…」

「(オゥ……愛しき妹…)わ、わかった!!」

僕をキュッと抱きしめて瞬間移動をした。

あっ!ふらっと目眩と吐き気が……おえぇ!

瞬時に地上に降りた。

あ、あれ?気持ち悪いや……。

瞬間移動に慣れてないせいか目眩がして座り込んでしまった。

「お、お兄ちゃん!大丈夫?」

「大丈夫、バルちゃん…ちょっと目眩がしただけだよ」

「目眩には酸素共給したらすぐ治るよ♪♪」

体にしがみ付き唇を近づけるバルトゥール

「待ってい!帰って早々何してる!」

イリヤがバルトゥールに向けて槍を投げるが軽く弾いた…その槍は僕の股間の下に落ちた。

うおー!あっぷねぇー!切り落とされるところだったよ!……むXこも分離合体できるか?

「また!お前らか!兄弟の愛のコミニケーションを邪魔すんな!」

「ハルトさん…早く離れないと切り落としますよ?」

股間がびっくとして激しく震えた。

来ましたぁぁぁ!僕のむすこの天敵!リリヤ様!ああ…1日ぐらいしか経って無いのになんと懐かしいやり取り…。

「お帰り!バカハルト…」

「お帰りなさい!ハルトさん…10日間ずっと待ってました…心配しましたよ…うう…」

イリヤとリリヤは抱きついてワンワン泣いた。

「え?10日?うっそ!」

「ああ…ハルト殿…天界と地上の時間の流れは違うのだ…」

魔王テスラが詳しく説明してくれた。

天界は地上より10倍ほどゆっくりと時間が流れるらしい…。

「10日も待ってたの?みんな…あれ?フィリア姉さんは帰りましたか?」

フィリア姉さんとラーズ国軍は見当たらなかった。

「フィリア女王は王位に就いて間もなく、政務と内乱防止の為王都に戻られました。あと、出来るだけ早く王都に来訪して欲しいと伝言も頼まれた…ちゃんと伝えましたぞ…」

「はい…魔王様伝言ありがとうございます」

「あと…魔王ではなく…テスラと呼んでもらえないでしょうか?」

ま、魔王様を…呼び捨てか!何かステータスがぐんっと上がった気がする!

「……分かったよ、テスラ姉さん?」

「オーフ…フ…は、は、ハルト殿さえ宜しければ!我が魔王国にご国費として招待させて頂きたいですが、ぜひ!来てください!」

魔王テスラはちょっと鼻息荒くなりモジモジしながら魔王国に誘ってくれた。

モフモフ天国か……行きたい!行く!行くしかない!

「い、いいの?」

「はい!ぜひ!」

「行きます!行きます!」

「オー!では早速!全軍!魔都べヘイゼルに帰還する!」

テスラは喜びながら魔王軍に帰還命令を出した。

「おおおおおおう!!」

レイラに飛ばされた兵も全員救出出来たらしく、聖魔戦争に勝利した魔王と亜人達の顔は生き生きした表情だった。

「ハルト…」

「ハルトさん…私達も…」

イリヤとリリヤは魔王に招待されてなかった為、魔王国に行けない…行っても人間と敵対してる亜人によって危険に晒される。

「何やってる?イリヤ、リリヤ…僕達、パーティーだよ!一緒に行くに決まってる!ねぇ?テスラ姉さん?」

「うむ!イリヤ殿とリリヤ殿も国賓として歓迎しよ……皆この二方に無礼が無いように!」

「はっ!」

嬉しそうにに双子も付いて来てくれた。

「なぁ?なぁ?魔王よ、私は?まぁ…招待なんかどうでもいいけど…戯れて来る奴が居たら国ごと潰せばいいし…」

バルトゥールの言葉にテスラさんは顔が真っ青になった。

「ハルト殿の妹様も!大歓迎であります!皆んな!この方には特に無礼が無いようにしろ!下手したら我が国が滅ぶからな!妾以上敬意を払え!」

「……はい」

バルちゃん、君に称号を与えよう…天災指定幼女バルトゥール…ん?…なんか格好いいな?

ハルト、イリヤ、リリヤ、バルトゥールは魔王国に向けて出発した。

いざ!出発!モフモフ天国へ!冒険の始まりですよ~!

これから未知なる生命体ハルトの魔王国を始めとして、ゆらりとした異世界の冒険や旅が始まる…
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第一幕 うちの女神様救いにちょっと行って参ります! [完]

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