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24話 その2

「入る方法が分かりましたか?」

「ええ…ですがこの中は相当な広さです、入ったとしても探すのが難しいです」

「どれぐらい広いですか?」

「下界の…数百倍はあるでしょうね…」

……何それ?そんなのあり?もう常識捨てた方が精神的に良さそうだ。

広過ぎる空間に間違えた方向に進んでしまうと手遅れになる…。

レイラのアレが詰まった袋が激しく動いて来た

もう再生したの?元祖未知の生命体!

僕は縛ってある袋を解きレイラさんを出してあげた

「ああぁぁぁ!主様!なんでこんな事に!」

レイラは無の空間の前で切なく泣いた

「ああ!主様が!あの中であんなに辛そうに悲しんでいる!今私がお助けに参ります!!」

無の空間に飛び込んだレイラは弾き飛ばされてしまった。

「きゃっ!!痛たたた…なんだ?入れん…」

「レイラ…今なんと言いました?」

「ん?…きゃ?いやーん!…痛たたた?」

可愛く再現して見るレイラさんに殴ろうとするラズリックさん…。

「じゃなくて!その前です!あと、気持ち悪いからそれ、二度とやらないで……」

「ちぇ…」

「…また袋詰めに戻しましょう!」

「いやいや…そうだな!主様が辛そうに悲しんでる……と言った!」

「貴方…ルナ様がどこにいるかわかるんですか?」

「勿論だ!主様の事なら10万キロ先まで分かるぞ!もっと近い時は何をなさってるかまで分かる!えへん!」

ドヤ顔でストーカー宣言したレイラさん…。

「それだ!!それなら!!ハルトちゃん!!もしかしたら…」

「ラズリック姉さん!これで入れるですよね?」

「ええ、でも、危険です、失敗したら死ぬ可能性が高いです…」

このままじゃどの道終わだ

「覚悟は出来てます!」

その言葉を聞いたラズリックさんは何故か少し切ない表情になった。

(羨ましいな…ちょっと妬きますね…はぁ…)

ラズリックさんは主神にその方法を提案した。

「主神様…一つ方法が…」

「ラズリックよ…その方法とは?」

「シムラハルトとレイラに掛けます…」

「うむ…確かに二人は神ではないが…」

「レイラに力の解放を許して下さい!彼女の最大速度の超光速移動なら無の空間の入り口に弾けられず入れる可能性があると思います、そこにシムラハルトとレイラがルナ様を救うとの考えです」

打つ手がない主神と神々はその方法に賭けるしかなかった。

「分かった、それに賭けて見よう!我々は結界の維持に協力しよう…レイラよ!主神の名で力を解放を許す!」

「はっ!天翼解放…最大!!」

前より大きくなって銀色に輝く翼は少し羽ばたくだけで飛ばされそうな猛烈な風が吹いた。

心配な顔でレイラに話しかけるラズリックさん…やはり同僚だな。

「レイラ…いいの?死ぬかもしれないのよ?」

「はははは!主様と貴様に今まで何百万回殺されたと思う?もう一度死んだってどうて事はないわ!」

全言撤回しよう…

レイラさんは死に過ぎて死の感覚に麻痺していた。

(消滅するかも…との事なんだが言わんとこう…しぶといし…失敗したら困るし…)

大事な事を伝えないラズリック…。

「いい?レイラ…最初に接触した方が突入する可能性が高い…まずハルト君を先に送って欲しい…」

「……後に突入した方は?」

「運が悪かったら……ね?」

入れなかったら死ぬと…レイラもそれに気付いたようた。

「そうね…人間には危険過ぎるか…」

「だからお願いね…レイラ」

「分かった!奴が死ねば主様も悲しむ…」

レイラは後に飛び込む事にした。

「準備はいい?ルナ様のいる場所に全速で飛び込むのよ!レイラ!」

「了解!天翼!フルチャージ!」

天翼は凄い勢いで大気中のマナを吸い込んだ

「レイラ、ハルトちゃん!頼みます…」

「妹を頼んだ、少年、レイラよ」

「お兄ちゃん!必ず!無事に帰ってきてね!ツッ…あの女はどうでもいいけど…世界が滅んだらお兄ちゃんと一緒にいられないし」

…本音は隠せよ。

「皆んな!分かりました!ちょっとうちの女神様救いに行って参ります!」

ハルトは絶望的な状況にも関わらず怖気ない、必ずルルを戻して見せると言ってるような笑顔だった。

神々の期待と希望を背負って出発する二人。

「チャージ完了!フルパワーで発進する!いくーぞぉ!」

最大の力で無の空間に飛び込んたレイラとハルトの反対側は凄まじい衝撃波で主神の聖地半分が破壊された。

(死ね!ハルトめ!主様を救うのはこの私だ!!!!)

レイラはハルトを後ろにして先に入ろうとした。

ぺっちゃっ!

しかし、レイラは空間に入れず…

無の空間の入り口に超光速でぶつかり原子レベルまで分解された。

そして、主神の謁見の間は細かく赤いレイラ血肉の粉が蔓延した…。

(キャハハハ!ビンゴ!!そう来ると思いましたよ!ああ…ルナ様、残念です…こんな面白いレイラの残骸を見逃して…ぷっぷ…)

これを予想して逆に教えたラズリック…。

レイラの超光速移動で衝撃を与え空間の乱れの隙にハルトを送り込むとの計画だった。

彼女は笑いを抑えるのに必死だったが…周りの神々はドン引きしていた。

成功確率はかなり低い…一か八かの博打だったが、ハルトは中に進入できたようだ…。

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