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22話 昨日敵は今日のおかず

ガランディア聖王国

国王の謁見の間に国王と重臣達は暗い雰囲気で包まれている

「ラーズ王国に遠征に向かった我が軍は壊滅…状態での報告が…届いて居ります…」

「……」

「盟約違反により各周辺諸国から、同盟や経済連携、貿易条約を破棄するとの書状が届いて居ります…」

「……」

「今回の件で国民の不安が広がる一歩で貴族達の抗議が相次ぎ…」

「もうよい!!!」

この敗戦で大国ガランディアはレガリア大陸から孤立し国が傾く事になった

数日後、宰相が独断で軍を動かしたと発表し処刑されたが信用されず…その後、相次ぐ内乱でガランディア国はバラバラになってしまった。

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主神の謁見の間に着いた僕達は待機室で謁見の順番を待っている。

「ここでお待ち下さい、ルナファナリールカ様…謁見は順番通り行います、その時…お迎えに上がります」

「分かった、待つとしよう…」

主様の使徒が去ってからルル姉は待機室のソファに寝転がった。

「ここは相変わらず堅苦しくてたまらん!」

相変わらず自由奔放…それでこそルル姉だ。

いつもと変わらないルル姉を見てホッとした。

「ルル姉、主神ってどんな方?」

これから会う神の頂点に立つ存在に気にならない訳がない。

「あの鬼?一言で…むっつりヤロ?それにめっちゃ器が小さい!なんでも禁忌禁忌!っと縛り付けて…うるさくてたまらん!」

ソファに顔を突っ込み主神と会う事が憂鬱そうなルル姉。

(はっ?何言ってる?そうしなかったらこの世界はもう…アンタの手によって滅亡してるわ!!)

苦笑いをするバルトゥール。

「厳しそうなお兄さんですね…」

そう…2000年ぶりに帰って来た妹に天地改変級の爆発を食らわせた人だ…怖い。

「全くだ!でも、たまにだが…ちょっと派手にやらかした時…本当にやばいと思って覚悟してたが…以外とあっさり許して貰った時もあったね…」

「へぇ?どんな時でした?」

「うーーん……………てへっ!昔過ぎて忘れちゃったよ!」

冷や汗をかきながら惚けた。

(ぷっ!お兄ちゃんの前には言えないだろよ…この女の数々の横暴…悪行、自分の事以外は興味もない邪神達すら、年中この女の話で盛り上がってたわ!アンタは一部の過激派邪神達のスター!アイドル扱いされてたわ…笑えるぜ…)

必死に笑いを耐えるバルトゥール。

「うーん…ではその時という感じで許して貰いました?」

(なに?なんか…私…尋問されてる?もしや!こいつにチクられた?)

ルルはバルトゥールがバラしたと思い睨んで来た。

ブルブルっと首を横に激しく全力で振り否定するバルトゥール。

「な、なんで?そのような事を聞いて来るんだい?ハルト君?」

ルル姉は少し緊張した表情で質問して来た。

「いや…ちょっと主神様の情報が欲しいなと思って…もしもの事に対処出来るかもと…」

凄ーく安心した顔で話してくれた。

「なるほど…そうね…何をやったかは忘れたけど……その時、そうね、ちょっと可愛いくお兄ちゃん…と呼びながら…ふざけた感じで許してっと言ったわ!しばらく黙っていたから…やばっと思ったけど、あっさり許して貰ったよ…」

もしかしたら……。

「バルちゃんみたいに?」

「これと一緒にされるとカチンと来るが、うん…まぁ、近いね」

謎は全て解けた!ふふふ

「ルル姉!バルちゃん!作戦会議を始まります!」

「うん?どうしたの…お兄ちゃん?」

「作戦って何?」

「いざって時の為です…」

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主神の謁見の間の正門の廊下に絶望のオーラが漂った。

「……ねぇ、グランデ…うちらいつまでここに居ればいいの?」

「…聞くな…メルディア…虚しくなって来る」

「ここ安全……そこ、ちょっと詰めて…狭い」

「お、おう…しかし、我々の聖地もいつか燃やされるだろな……ふあ…私のコレクション達が…」

「イヤーーーー!私の美容グッズが!」

聖地と気に入りの品も燃やされると思う芸と美の神は涙をポタポタ落とした。

「へへ…うちはなんも無いや……」

何も持てないと喜ぶ虚無の神…。

「…放火魔…許さん…妾の聖地…ぅぅ」

ルルの復讐に怯えて主神の聖地に逃げて来た三馬鹿神と既に聖地を燃やされた創造の女神がいた。

「ん?なんだお主らここで何やってる…まるで浮浪者みたいに…」

黒づくめの氷のような美貌の女性が四神を見ていた。

「冥界の女神メタファール!!冥界に住まわせてよ!!ルナファナリールカに目つけられたよ!助けてよ!」

メルディアは冥界の女神にしがみ付き助けを求めた。

「………悪いが!他当たれ…奴に絡まれたらろくな事ないわ…」

あっさり断るメタファール、彼女もルルを警戒してるが無謀な事はしない賢い神だった。

「そんな!!薄情な…お願い!メタファール!行く当てがないわ…ぅぅ」

「……あれほど奴と関わるなと忠告したはずだったが?…はぁ…うちも奴のせいで番犬ケルベロスが絶滅瞬前まで行ったが…最近やっと数が増えた所だ!すまん…許せ…」

「……ああ、これからどうしよう?」

益々絶望する三馬鹿…

「主神に頼んで和解の席を設けて貰え…それしか手が無かろう?」

「はっ?和解?あれがそんな生温い奴か?無駄無駄無駄!」

「そうよ!あれは神を名乗る悪魔よ!」

「救助要求!温情希望!」

その時、メタファールの使徒が緊迫な様子で走って来た。

「なぁにぃーー!ラズリックが冥界の入り口に、また不法投棄して去ったと?」

「はい…ケルベロスが狂ったようにその方向に走って行きました!!」

「まさか!!まさか!!また、アレか!!レイラミンチ!!!……いかん!それを食べたら…またケルベロス達が!!ああああぁぁぁ!おのれ!ルナファナリールカ!!ラズリック!!ウギャァァァァル」

奇声を挙げながら急ぎ冥界に戻るメタファールだった。

「………あっちも大変ね…」

「ふふふ…こうなった以上…天界から離れよう…もう聖地も無い…」

下界に根を下ろす決心をする創造の女神

「………本気かよ!」

「落ち着けよ!ラグレシア…聖地は時間かかるが…自動修復する…あの状態じゃ…900年はかかるが……」

理性を失いかけ始まる虚無の女神は美の神を噛み付く

「腹減った!腹減った!その駄肉……うまそう…」

「きゃーーーとこ齧ってる!痛い痛い!!駄肉じゃない!ピッチピッチよ!あっ!辞めろ!この狂犬!神に空腹を感じる訳ないじゃん!離れろ!」

痛みの中でも駄肉は無いと言い張る美の女神…

「もういい!!下界に新たな聖地を築く!……ドルゥーガ!付いて来てくれる?」

下界に新たな聖地は築く事は天界の全て破棄するとの事になり、主従関係すら無くなる

一から神の地位をやり直す事で最下位神に落ち全て無かった事にする為、ルルも手を出す事は出来なくなる天界のルールだ。

「はっ!仰せのままに…」

ドルゥーガは創造の神に忠実にだった

「ぅぅ……ありがとう…」

泣きながら下界に去るラグレシア、黙々と後ろについて行くドルゥーガ

「ああ…いっちゃったよ…」

「強く生きるのよ…ラグレシア」

(カジカジ…肉汁美味…)

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待機室で作戦会議を終えた僕達は気を引き締めた。

「うむ…分かった!緊急時にはそうしよう」

「ありがとう!ルル姉!」

「お兄ちゃん!私も頑張るよ!」

「バルちゃんも頼んだよ」

しかし、主神の相手にまだ心細い…もう一手が欲しい所だ…。

トントン!

「失礼します…順番なのでお迎えに上がりました」

「うむ…以外と早く来たな…」

時間切れだ…仕方ないなんとかなるだろう。

「…すみません…メタファール様が急に冥界にお戻りになった為…」

「(あぁ………ラズリックか……)あははは!仕方ないな……行こう!行こう!」

また冷や汗をかきながら謁見の間に急ぐルル姉…。

謁見の間の正門に向かう道中、浮浪者三人組と出会った。

「きゃーーーーー!ルナファナリールカ!」

「落ち着け!ここは主神の聖地!いくらイカれたこいつでも…」

「あん?今なんつった?グランデ…」

芸の神に顔を近づけて睨むルル姉…その火花が飛び散るような目は本当に怖かった。

「そ、その美貌…イカしてます…と…」

おー上手いな!

「エマージェンシーエマージェンシー!」

「ルル姉?この方は達は?」

「三馬鹿だ、後でじっくり締め上げてやるわ…楽しみだな、クククっ!」

これがあの三馬鹿か!恐怖で昇天しそうな表情だ…かなり怯えて可愛そうになった。

「ちょっと、ルル姉…話があるけど…」

「なんだい?」

僕は三馬鹿を許してあげるようにお願いした。

その見返りに僕達の味方にしてくれる条件を付けるとルル姉に話した…。

「な、な、だめだ!私のアイデンティティが許さん!敵は殲滅!滅殺!殴殺!絞殺?撲殺!!!!許すなと生温いわ!!」

断固拒否するルル姉だった。

うわー!なんと!無駄にバイオレンス的なアイデンティティでしょう!仕方ないな、やるか!最終奥義!姉キラーゴットバスターモードフルパワー!リミッター解除!

僕のアレを発動した。

「ルル姉…僕のね…世界で一番大切な人を守るたいよ…ルル姉に何かあったら…僕…もう…生きる意味が…生きたって地獄だよ……うううう」

偽涙と共に切ない表情で愛おしい彼女を見るような眼差しを送った。

(はぁはぁ…落ち着け私…ふぅはぁふぅはぁふぅはぁ……)

くっ……不発か?

「もう…ハルト君の好きにしてーー♡♡♡♡」

ふふふ…ゴットスレイヤーになり申した!この世が……虚しいぜ!

「うわぁぁぁぁぁぁぁん!お兄ちゃんが女たらしのジゴロになってるよ!」

「ば、ば、バルちゃん!!」

童貞でヘタレのジゴロあるかいな!…納得がいかない!

そのジゴロは三馬鹿に向かい交渉を始めた。

「ほ、本当か?う、嘘じゃないよな?それで許してくれる?ルナファナリールカ!」

「あん?様をつけろや…」

「…はい…ルカ…様」

僕の頼みに渋々、和解を受け入れるルル姉だった。

「分かったわ!それでチャラになるなら!」

「交渉成立!!契約完了!!」

三馬鹿は僕をメシアのように見えてらしく…しがみ付き感謝の言葉を連発した。

神の威厳は微塵も見えなかった……。

よし!残りは、ラストボス!主神のみ!いざ参ります!

主神の謁見の間の巨大な門が開いた。

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