20話 女の過去は聞かないように…死亡フラグ立つ
ルル姉を指差して青ざめた顔のバルトゥール…
「ルナファナリールカ…あの女が何でここに居るの?…ここから離れないないと…」
逃げられる道を必死に探してる…。
「あの…バルちゃん?何かの間違いだよ!あの人?悪い人じゃないよ?とても優しくていい人だよ?」
たまに怒るとまじ怖いけど…僕には優しい。
バルトゥールはドン引きした顔で口を開けたまま僕を見ていた。
「えっ?…お、お、お兄ちゃん!し、知らないの?」
「ん?何を?」
「うちの邪神界まで噂さが絶えなかったあの女の数々の悪…うっぷ、ぷ!」
「はぁはぁ…ハルト君!ここにいたのか!さ、さ、探してたぞ?」
ルル姉は、何故か汗をかいて、バルトゥールの口を手で塞いでいた…ああ!続きが凄く気になる…。
「ごめん、ルル姉…この子を探していたんだ」
ルル姉はオドオドして落ち着きがない感じ…そして、口と鼻を塞がれたバルトゥールは死にそうな顔だった。
(ディシーポネーのバルトゥール!ラズリックの報告通りだな…しかし、こやつが何故ハルト君と?…)
じっとバルトゥールを見ているルル姉…何が考えて込んでいる…バルトゥールはもうちょっとで昇天しそう…。
「ルル姉…手…離してあげて欲しいけど…」
「あっ!」
やっと気づいたルル姉は手を離した…。
「プハァっ!ふはふはふは…長い時を生きて来てこんなに空気が美味しいと感じたのは初めてだ……」
思い切り空気を吸い始めているバルトゥール。
「ルル姉!紹介するよ!なんだかんだで仲間になったバルちゃんだよ!それと、あそこにいる双子も仲間だよ!あとで紹介するね!」
「バルちゃん?…ってお前は!!あら!まあまぁ!バルトゥールじゃない!久しぶりじゃなー!元気にしてたかい?」
「ヒィー!!」
急に旧友に会ったようにルル姉が近づくと僕の背後にバルトゥールは隠れた。
「どうしたの?バルちゃん?…ルル姉?バルちゃんと知り合い?」
ルル姉は顔を引き攣っていた。
「え、え、そうそう!!昔、ちょっと戯れてきてね…そう!仲良く!楽しく!一緒に遊んだ仲なのよ!しかし、遊んでるの最中に急に居なくなるなんて、酷いわ…寂しかったぞ?バルトゥールよ…」
バルちゃんはポカンと無言でルル姉を見つめていた…。
(ほぇ?はっ!何言ってるの?この女!仲良く?楽しく?遊ぶ?…巫山戯てんの?喧嘩売ったのは私だから半日間…ボコられたのは、まぁ、いいとして…でも!降参した人の関節をあり得ない方向に曲げながら弄んで…水拷問たぁ!っとか言って溶岩に顔を突っ込まれて…仕上げた!っとギャラギャラ笑って、ドラゴン4匹連れてきて、私の手足を八つ裂きにしようとしたのが遊び?…あはは…クレイジー過ぎんだろ?この女はよ……あのリリヤって奴が可愛く感じるくらいだぜ!)
苦笑いして拳を握って震えていた。
「まあー懐かしいわ!バルトゥール!」
ルル姉はバルトゥールを抱きつき、耳に向けて何か静かに囁いた。
「おい…ハルト君に昔の事バラしたらどうなるかわかるよな?…今度は逃がさないからね…ふふふ」
「わ、わかったよ…(くっそ!さっそく本性出た!この女!!)
「まさか、ルル姉の知り合いと思わなかったよ…良かったね!」
でも、何故かバルトゥールは泣きそうな表情だ…。
(よくないよっ!天地開闢以来の超最悪の出会いだよっ!!心臓バクバクして吐き気と目眩までして来たよ!!)
ルル姉はバルトゥールはどうでもいいように放置して…僕を優しい目で見つめていた。
「ハルト君…良く頑張った」
「ルル姉…うううう」
ルル姉の感動の再会。
「ハイ!ストップ!あの…お兄ちゃん?このおん…じゃなくて…ルナファナリールカとどいう関係なの?」
バルトゥールによってぶち壊された。
それにいきなりのその質問…心の準備が出来てないのに…。
「ルル姉?えへへ…僕の…大切な人?何だたりして…へへ…」
歯切れが悪いが僕としては上出来だった。
「もう…♪ハルト君たら……♡そこは…男らしくシャキンと言わないと!うふふ」
嬉しそうにもじもじするルル姉…可愛い!
「うわああああああああああ!!!(お兄ちゃん!その女だけはせぇぇたい!ダメェェェェェェ!!)」
急に泣き出して座り込み、肩を落とすバルトゥール。
「お、お、お兄ちゃん…今なら間に合う……考え直して…人生棒に振る事になるよぉーうううう」
「ど、どうしたの?バルちゃん?」
その、一片の曇りが無い切実な願いの顔にルル姉はブッチと切れた表情になった。
「ねぇ…バルトゥールよ…ちょっと二人で話そう……あそこに静かな場所がある」
バルトゥールを引き摺り洞窟のような暗い場所に連れて行った。
「ああぁぁぁぁぁぁ!!お兄ちゃん!お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
まるで怪獣に捕まり、食糧としてその巣にひきつられて行くような恐怖に満ちた顔だ…。
本気で怒ってる…どうしよう…?
止めようかとうか迷ったが…お兄ちゃんという言葉の魅力にひきつけられ、ルル姉を止める事にした。
いざ!姉キラーモード!マックシマム!萌え萌えフルドライブ!
「ルル姉…怒らないで!僕が大好きなルル姉の綺麗な顔が台無しになるよ……それはいやだよぉー」
僕は下腹にぐっと力を入れて顔を赤くしてルル姉に抱きつき顔をそっと触った。
「………………ふ、ふーーん、命拾いしたな…バルトゥール」
顔を赤くしてちょっとツンデレ的に照れるルル姉はバルトゥールを離してあげた。
よっしゃー!!僕の今!森羅万象の頂点に立ったぁぁぁ!!
怪獣の手から逃げたような顔でバルトゥールはまた僕の背後に隠れた。
「しかし、バルトゥールよ…何故ハルト君を兄と呼ぶ?」
「お、お兄ちゃんはお兄ちゃんだもん…ヒクヒク…」
(邪神は魂を感じ取る不思議な力を持っている…しかし、ハルトは人の子…それに別世界の住民だ!よく分からんな…)
考え込み始めるルル姉の前にラズリックさんとレイラさんが来た。
「探しましたよ…ルナ様!一つ報告し忘れた事が…」
ラズリックさんがルル姉の耳元でコソコソささやいた。
「……大丈夫ですか?あまりに多く加護や祝福を与えたら…その反動で良くない副作用の恐れが……」
「その事は私も知ってる!おかしい!私が与えたのは悲願と破壊の加護のみだぞ?という事だ?」
「えっ?そんな…」
「ハルト君!ちょっとこっちへ来てくれるかな?大事な事だ」
シクシク泣いているバルトゥールを慰めていた僕はルル姉に呼ばれてに戻った。
「大事な事ってなに?」
「ちょっと調べたい事がある…邪眼を使うからじっとしてて…」
「ええーー!あれ…使うの?いやだな…あの感じ…」
邪眼はマジ苦手だ…思い出すだけで鳥肌が立つ!
「すぐ済む!万物を見極める邪眼よ…究明せよ!」
問答無用で邪眼を発動した…またその悪感に襲われて意識が朦朧として来た。
「くっ!!なに!!」
ルルは後に一歩引き邪眼を閉じた。
「ルナ様!大丈夫ですか?」
「ああ…大丈夫、ちょっと邪眼が弾かれただけだ…邪眼を弾くとはどいう事だ…?」
「邪眼を?なら…」
「ああ…深淵の目を使うしか無いが…今の私には発動出来ない…だが一つは究明出来た!」
ルルは解明した内容を読み始めた。
(どれどれ…うわぁーなにこれ?悲願と加護は私が与えたが…女神の愛ってなんだ?まぁまぁ…ちょっと照れるじゃんか!うふふ…ひゃー!!ハルト君…[人間卒業]おめでとう!!これで末永く一緒に居られる!きゃー♪♪)
目先の欲望に忠実なルル…罪悪感など微塵もなさそうだった。
(来たか!これかな?……ん?あ…………)
究明された一つの内容は…
[[[ 超 extra ユニーク 呪い ]]]
華麗なる色男の女難の相
……………………………解除不可
(……へぇ…呪いにもあるんだ…超とかエキストラとかユニークとかが…うん、そうね…2万年ほど生きて初めて見たわ……はは…)