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19話 正義って?見方を変えれば悪に見える

復活するはずがないルル姉が出て来た。

「よう、久しいな…三馬鹿とまな板よ!」

「な、な、なぜだ!そんな!バカな!一体!どうやって回復出来た?ルナファナリールカ!」

「何…あれ?どうなってる?」

「何かの間違いよ!きゃーーーシワが!!」

「脈拍上昇!呼吸混乱!!エマージェンシーエマージェンシー!」

予想もしてない破壊の女神の登場で創造の女神と三馬鹿神は取り乱した。

玉座の間に神の器を置かないと回復はできるはずがない…だが、ハルトにはルルのアストラルラインが移植されている。

そのマナ共有効果でルルは短い間で現存するまで力を溜める事が出来た。

「ふふふ…ラズリック良くやった!君ならやってくれると信じていたぞ」

「はい!見事に引っかかってくれましたね…ふふふ」

これは全てラズリックの計略の内…。

わざと神の器の情報を漏らし、戦争を誘発させ、ガランディア軍に神の業火を放ったのも、ドルゥガにやられたのも三馬鹿神と創造の女神を引っ張り出す為だった。

「ああ!ルル姉…だよね?本当に?」

本当にルル姉だ…ルル姉が僕の前にいる…。

「ハルト君!こんなに逞ましくなって…よく頑張ったね……」

「ううああぁぁぁ!!ルル姉!」

「また…泣く…仕方がない子ね…」

テレビでやってた長年の生き別れた肉親と出会えて号泣きする画面…その時は分からなかったけど…今ならその気持ちが分かる…。

抱きついて泣いている僕に黙々と頭を撫でくれるルル姉…。

「おおぉぉ!主様ぁぁぁ!」

歓喜に満ちたレイラさんはルル姉の元に走って来た。

「……シッシッ!邪魔だ」

レイラさんに少しも振り向かず僕を見つめて頭を撫で続けてる…

「……はぃ…(おのれぇ!ハルトめぇぇ!)」

また睨まれた…その目には血の涙が流れていた…その目!こ、怖すぎる!

そして、呆然とハルトとルルを見つめる双子

二人の詳しい関係や事情が分からないが、感動の再会に空気を読んで黙って待っていた。

(なんだ!あの傲慢な胸は!!け、けしからん!!)

(あ、あんな…無秩序なボディライン!カオスです!!)

しかし、彼女達の心の中は空気を読んでないようだ。

「わ、我らの女神様がお戻りになられ我らの前に降臨なさった!皆の者!腹の底から歓声を捧げろー!」

「ルナファナリルカ様!!!うおおおおおおぉぉぉぉ!!!」

魔王のルル姉の降臨宣言に魔王軍は戦場全てに響く大歓声を上げた。

「あらまあ~盛り上がって来ましたね…ルナ様…」

「そうだな、そろそろ始めよう!ハルト君…ここからは私達の戦いだから危険に巻き込まないように、下がっててね!」

「僕も!手伝うよ!」

「まあまあ、ハルトちゃん、心配しないで!私達を信じて、ハルトちゃんはお友達を守ってあげてね」

余裕のあるラズリックさん、血涙の目で睨みつけて来るレイラさん?それに威風堂々なルル姉…。

出番はなさそうだ…邪魔にならないように隅に行こう…。

僕は頷いてイリヤ達に戻った。

あれ?そういえば、バルちゃんが先から見当たらない!

どこを見てもバルトゥールの姿は見えなく双子に聞いて見た。

「バルちゃん見てない?」

「先…なんか慌てて走って行ったの見たの」

「ええ、まるで逃げるような感じでした…」

はっ?あのバルちゃんが慌てて逃げる?どいう事だ?

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