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第98話

 完璧だった。完璧な動きとタイミングだった。

 他のアーティナル・レイスを上回る、経験と連携が生み出したナオ達の攻撃は、確実にルシーナ達に直撃した。一発も外すことなく。だが……

「ふふふ」
「……!?」

 ルシーナも、他の二翼のアーティナル・レイス達も、全員空に浮かんだまま。撃墜されたものは一人もいなかった。

 そう。ルシーナ達は密集した状態でA.E.バリアを展開して、ナオ達のエネルギー系の攻撃をすべて無効にしたのだ。しかしそれは、ナオもある程度想定していた。

 エネルギー弾で足止めし、バリアで防ぐことができない、25と32の実弾兵器でダメージを与える。それがナオ達のプランだった。けれど、その実弾によるダメージを受けた形跡が、ルシーナ達には見られない。

 なぜまだ浮いていられるのか?
 
 ナオは、ルシーナの体や武装を注意深く見る。すると、ルシーナの装翼の一部に、焦げ跡があるのを発見した。

「……翼で実弾を防いだのですか」
「そうですよ。驚きました?」

 ルシーナの自慢してくるような表情に、ナオは思わず歯ぎしりをする。

 ルシーナ達の装翼は、その体を覆うことが可能なぐらいの大きさがある。しかし、ナオはそれで防げるとは思っていなかった。

 武装で防いでもし破壊された場合、空を飛べなくなるか、戦闘に支障が出る。

 仮に防ぐことが可能なほどの装甲を有していたとしても、機動性も運動性も落ちるし、戦闘可能時間も短くなる。

 だが……ルシーナ達は、その装翼で防いだ。そこから導き出されるのは、ルシーナ達の武装に使われている材質は、ナオ達が知らない――新開発されたものであるということだ。

 実弾でダメージを与えるというナオ達の作戦は、脆くも崩れることになった。

「さぁ、どうします? まだ戦うか……潔く敗北を認めて、私達に壊されるか」

 わずか数分のうちに見せつけられた、圧倒的な差。

 06と13の身が、後ろに下がりそうになるのを見たナオは、通信で怒鳴った。

「(まだ――! まだ、勝ち目がなくなったわけではありません!)」
「(ですが、ナオ……)」
「(私達の武器は通用しないのですよ?)」
「(……確かに、A.E.バリアとあの装甲は強固です。しかし、弱点がないわけではありません。A.E.バリアはその性質上、エネルギー兵器で攻撃を行う場合、展開することができません。そして、あの装翼に関しても、本来の役割はシールドではなく、姿勢制御用バインダーです)」
「(つまり、敵が高速で動いて攻撃を行う時が、チャンスというわけか)」
「(そうです、32。あの装翼も、それを支え可動させているアーム部分は脆い。そこを破壊すれば、運動性も低下するはずです)」
「(それを狙うとなると、敵を分散させる必要がありますね。固まった状態では、一人に隙きを作ったとしても、別の者達がそれをフォローして、こちらの攻撃を防ぐでしょうし……それに、あの機動性と運動性に追いつく必要もあります)」
「(04の言う通りです。だから……私達の切り札を使って、一対一の戦いに持ち込みます。もし、それも通用しなかった場合は……)」

 ナオの言うことに、全員が頷いた。

「ご相談は終わったようですね。あなたの考えはわかっています。私達と一対一で戦うつもりでしょう? リミッターを解除して。ふふふ……望み通りに、そうしてあげましょう。そういう戦いもするようにと、命令を受けていますし……私も、あなたと一対一で戦いたいと思っていましたから」

 ルシーナが言うと、二翼のアーティナル・レイス達は横並びに整列し、ナオ達も構える。そして――

「リミッター解除!」
「リミッター……解除」

 ナオとルシーナの声と共に、一四人の造られしモノ達は、己の限界を外した。

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