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14話 人間は飛べば落ちるのがオチ…

ガランディア聖王国

「…………まずいな…」

「……申し訳御座いません」

「過ぎた事は良い……無能過ぎるのう…ヘリトリめ…」

(相手を侮り過ぎた?いや…あの物量戦全力バカヘリトリだ…何かある)

「……多少無理矢理だが…この方法でラーズもその少年の件も片付けよう…」

「はっ!承りました…」

まだガランディアにはハルトの事は伝わってない…

何があったか誰にも言わないよう傭兵達に口止めしてあるからだ…

言うと呪いが発動して代々不幸な死が訪れると…もちろん嘘だがあの大魔法を目にした者は信じないはずがない…

これはフィリアの策略であり…この口止めでガランディアは以後国が傾く程の危機に落ちる…

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聖都、破壊の女神の大神殿には司祭二人と訪問客の亜人まで頭を地面につけてそのまま動かない。

「……………」

この居心地悪い雰囲気、勘弁して欲しい。

「えっと…楽にする事と発言を許します!聴きたい事があったら聞いて下さい!」

「ああ!寛大なお心遣い感謝至極に存じます…使徒様自ら神殿にお越しくださった理由を教えて頂いても宜しいでしょうか?」

イッセリナの質問に出来るだけは答えた。

異界の事は面倒だから言わなかったがここに来た経由と、これからイビルゲートを攻略して主神に資格を得て、ルル姉の器を玉座の間に届けるよう主神に命じられた事を伝えた。

「ああ…ルナファナリールカ様!やっとお戻りになられたのにまたその様な事に…」

その時、天の柱を繋ぐ球体から光が増して亀裂が発生した。

前ルル姉と飛び込んだ時空の亀裂とは違ったが何かのゲートのようで…光の中から人らしき姿が見えた。

「いやーーーん!!ハルトぉちゃゃん!」

「うわー!びっくりした!」

ゲートから女性が飛び込んで来た。

「威厳を持って!ラズリック!下界だ!主様の使徒としてなんたる醜態か!」

レイラさんも姿を現わした。

また睨まれた…やっぱ、僕の事が嫌いのようだ。

「あら?レイラ、ここで第3録音記録公開するわよ!」

「す、すみません、勘弁して下さい…」

レイラさんは、何か弱みを握られてるように急にしおらしくなった。

「ああ!生ハルトちゃんだ!おぉ!実物よ!生きてる!温かい!オゥ!イェース!」

レイラさんがラズリックと言った女性は、僕からグルグル回りながら眺めて、触ったり、抱きついたり、顔を擦り付けた…。

ちょっとうっとしい…なにこの人?

「あの…レイラさんこの方は?」

「……謀略のラズリック…私と同じく主様に仕える者だ」

「ルナファナリールカ様の右腕のあのラズリック様?天界に轟くあの謀略の神…あっ!あまりも驚き…ご無礼をお許し下さい…」

謀略の神?何か…腹黒そう!

イッセリナさんとラネースさん…あと、亜人の皆さんも更に息を潜めてビックとも動かなくなった。

それに、先からずっと僕を睨むレイラさんは不満そうな表情だ…理由は分かってる…。

「あの…ごめんなさいレイラさん…まだ攻略出来ずに…」

「ふん!!なんたる怠慢か!死に物狂いで攻略して、くぇーー!!」

閃光のようにラズリックさんの見事なウエスタンラリアットがレイラさんの首に炸裂した。

すーげー迫力だった。!その技だけで世界チャンプ取れると思った。

「ほぅー!ハルトちゃんに怒鳴るとは…死にたい?あら?忘れてたわ、中々死なない事で有名でしたね!」

ラズリックさんは一本の剣を取り出してレイラさんに向けた。

「ちょ…まって!その剣で刺されたら!ただで済まない!やめろ!やめて…ごめんなさいごめんなさい!!」

ラズリックさんは本気でレイラさんを刺す勢いだった…

その殺伐な流血事態を避けるため僕はラズリックさんを阻止した。

「あの…ラズリックお姉さん?喧嘩は嫌だよ!だから…お願い、ねぇ?」

そっとラズリックさんの横にくっ付いて軽く上目遣いで止めるようお願いして見た。

「(ああ!可愛い過ぎる!)い、いいえ…私達よく戯れるのよ!喧嘩してないよ!仲良いよ!ねぇ?レイラちゃん?」

「うんうんうんうん!」

涙目で顔真っ青にして必死に頷いても…全く説得力がない!…まぁ、流血事態にはならなかったからよしとしよう…。

「その事なんだが…急に悪いけどちょっと急いで貰いたいのよ……」

ラズリックさんの申し訳なさそうな顔の催促が何を意味するかすぐ気付いた。

「はい、すぐナーズラ村に向かいます」

攻略催促が来た…僕の人生のクライマックスが来てしまった。

せめて好きな人と出会って童貞だけは卒業したかったのに…無念だ。

「ハルトちゃんは賢いね!賢い子は大好きだよ!なのでプレゼントをあ、け、る!」

ラズリックさんは先の剣と白く輝く鎧と盾を僕の前に出した。

「奈落剣オゥカスよ!これに切られたらめっちゃ痛いのよ!切られたらところボーーンと破裂するし…」

エゲツな…でも形は僕好みだ!格好いい!欲しい!

「神格の鎧ナーウァ…これ着るとめっちゃ能力が上がるらしいよ?でも全部着用しないと只の丈夫な鎧だからつけ忘れないようにね!」

なに…そのセット効果みたいな設定!しかし、この鎧、壊した同士の鎧と同じ…いやそれより格好いい…欲しい!欲しい!

「最後に意思の盾リガールね…使い手の意思で形を変えれる見たい!めっちゃ丈夫だけと……はっ?そんな機能、意味あるの?って感じ?」

それがいいんだよ!!全く分かってないな!絶対欲しい!あーあー!

「それでね…この中一つ…」

この先の展開は読めた!行くぜ!必殺の!姉キラーモードマックシマム!最大出力だぁぁ!

「あのね…ラズリックお姉さん……」

「はい?なんでしょう?ハルトちゃん?」

「それよりね…えっと…ラズリックお姉さんとお話しがしたいな…色々教えて貰いたいの……ダメ?」

モジモジ、上目遣い、照れ照れの微笑み、全て全力全開の姉キラーモードは水爆級の破壊力を誇る!

前にナーズラ村で試しに使って見た…実験された村のお姉さんはそのまま倒れてびっくりした…。

次の日に婚姻届け持って来てギルドの中でずっと待ってて、一週間換金出来ずに困った苦い記憶が思い浮かんだ…。

それで封印してしまったが…この装備を手に入れる為なら!

「オゥO!マィM!ガッGー!!い、い、…いいでしょう…」

ラズリックさんが指をを鳴らすと、周りは華やかなピンク色の照明と豪華なクーインサイズのベットが現れた。

「はぁはぁ…ハルトちゃん!この私が手取り、足取り、マタ取りから隅々まで責任持って教えて差し上げましょう!!」

え?この人?何を教えてくれるつもり?

「ラズリック!貴様ぁぁ!!主様の大神殿で一体何をするつもりなんだぁぁー!」

やらしい指の動きをしながら近づいて来くるラズリックさんの腕を掴み止めようとしたレイラさん…。

だが蹴られて凄い勢いで飛ばされた……。

つ、強い!このお姉さん。

「ムムム…ハルトぉぉちゃゃゃん!!もう一生離さない!ルナファナリールカ様の事忘れて駆け落ちしよ!これ全部あげる!本当は一つしか持ち込み禁止だけど私の権限でいいわよ!バァバァ~可愛いすぎる♡さあ、さあ!楽にして~お姉さんに全て任せてー♡」

ヨォォシャー!姉キラーモードは神にも通じた!

あっ、でも僕の貞操の危機が…。

「うう…我に戻れ!!主様の神殿だそ…やめろラズリック…」

血塗れなレイラさんが必死に止めていた…本当にルル姉に忠実だ。

正気に戻ったラズリックさんは身の嗜みを整うフリをした。

さすが神…効果切れか!助かった。

「ふむふむ!!そうね、ほんの6時間でも今は無駄にできない時だでね…ハルトちゃん!今からナズーラ村のイビルゲート攻略してくれる?この装備なら確実に攻略出来ると思うよ」

何とか貞操の危機は去った!

ん………6時間!?一体全体6時間もかけて何をするのーー!ラズリックさん…怖っ!怖っ!要注意人物決定!

素早くその装備を受け取り距離を取った。

ああーー♪格好いいな♪

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