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12話 目には目潰し!倍返し上等!

ヘリトリ、ラーズ公爵家では殺伐な雰囲気になっていた。

「えい!姫がまだ生きてるとはどいう事だ!」

怒った公爵はワイングラスを家来に投げつけた。

「申し訳ございません…あの用心棒の冒険者が想定以上のようで…」

「聖都まで後少しだ…着いてしまったら全て失う……どんな手を使っても殺せ!」

「はっ!必ずや…」

「…くそ……奴らの口車に乗るんじゃなかった……」

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僕達は魔物や刺客達に襲われながらグングンと聖都に近づきあと丸一日で到着予定になった。

「随分と露骨になって来たね…」

「ああ…後1日で着くからな…」

「あれほど戦って軽傷2人とは…」

「あいつのお陰だな…」

「気を引き締めていこう…次は奴らも出し惜しみなしで襲って来るからな…」

「ああ…」

馬車の中でハルトはウトウトしていた。

相次ぐ襲撃に休む暇もなかった為かなりの睡眠不足状態のようだ。

「ハルト様、お労しい…こんなに疲れて…」

依頼主のラーズの姫はハルトの頭をそっと自分の膝に置いて髪を撫でながら寝顔を眺めていた。

(なんて!破壊的な愛らしさ!私の理想のお顔!たまりません!ああ…手が勝手に…)

姫の周りの男はヒゲにマッチョ、不愛想な人ばかりで精神的にかなり参っていた。

その姫の前に現れたハルトに一目惚れしていた。

それにこの世界にはハルトのような愛らしい顔の男の子は珍しいらしい。

彼女の手はハルトの顔にオデコから鼻筋を辿りくちびるまで着いた。

間違いなくラズリックは妬いて暴れてるに違いない。

「来たぞ!!総員戦闘体勢!」

パッと眼が覚めるハルト。

「あれ?フィリア姉さん?」

(あっ!目が覚めてしまった…もう!)

フィリア姉さんは何故か顔が膨らんでいた。

「ごめんなさい、ちょっと寝てしまったよ、フィリア姉さん」

「も、もう一度呼んで下さい…」

「ん?フィリア姉さん?」

(ああ!!たまりません!)

ん?なに?顔を赤くして嬉しそうに身持たれていた。

出発し2日立って姫達は正体を明かして僕達に謝罪した。

だれも不満に思う人はなかった最初からバレてたからだ…隠したがる彼女達の為に僕達はわざと合わせてあげていた。

そしてフィリア姉さんは王になると親しく名前を呼んでくれる人が居なくなる立場になるので僕には名前で呼んで欲しいと言われてそれを受け入れた。

「ん…また懲りずに来たようですね…」

膝枕から起きようとしたがフィリア姉さんに止められた…。

「ハルト様…す、少しこのままお休みになられては?」

恥ずかしそうな顔だが…うん!柔らかい…膝枕!最高!疲労感がぶっ飛ぶ♪

急に馬車が止まった…外が騒がしい。

ちっ…これは出るしかないな!おのれ!

先頭に立っていたクイル兄達とマリーヌは呆れた顔で止まっていた。

「最後の襲撃だと覚悟してたが…こりゃ…」

「なりふり構わずも程がある…」

傭兵総勢3000と私兵と見られる騎馬兵200が僕達の道を阻んでいた。

「どうしたらいいものかね…」

「呆れたね…」

傭兵達は拍子抜けたように笑ってる者や武器でふざけてる者もいた。

僕は馬車から出て周りを見た。

「…………ねぇ、クイル兄さん…」

「ああ、なんだ…」

「あれ、なぁに?」

「敵だ…」

「ウザウザ居るね…」

「ああ…」

「もう…うっとしくなってきたね…」

「だな…早くフカフカなベットで永眠したいぐらいた…」

お、永眠っと来たか…。

「もう…潰していい?」

「ん?ん?…いいけと…どうやって?」

「ウヒヒヒ……」

その笑い顔にクイル、ネイビー、マリーヌはゾックとした表情だった。

これは生物の本能で感じる恐怖…。

「次から次へと休む暇も食事もロクに出来ずに…腐って捨てた食材に恨み晴らしてくれる……」

それより…気持ちいいフィリア姉さんの膝枕を邪魔されたのが一番腹が立った。

「闇の魔神よ…我が身に纏え」

魔神、それは精霊より高位な存在、別名として精霊王とも呼ばれてる。

猛烈な闇のオーラを身に纏われ始まり、復唱を初めてた。

「汝…全ての破滅を導く!偉大として、悍ましく漆黒の闇の魔神よ…」

上空を埋め尽くす程の巨大な魔法陣が現れた。

「………ネイビー!マリーヌ!なんかこれヤバイ気がする!」

「なんか知らんが…あの傭兵達を相手するのがマシかも…」

「ひぃ!!全員退避!!」

クイル兄達と近衛は全速で僕から離れた。

「我は求む…慈悲なき舞い落ちれ闇の魔神の鉄槌! 燃やし砕け!我に仇なす全てを滅せよ メテオ ストライク!」

強風が吹き出し雷と竜巻が発生した…自分が使った魔法だが…ちょっと怖くなった。でもドキドキが止まらない!

おー!この伝説の魔法を間近にする時が来るとは!日本の全厨二の方々が知れば羨むだろう!ふふふ。

敵も何か危険だと感じで乱れて来た。

「ひ、ひ、怯むな!敵はだったの12人だ!子供もいるぞ?ハッタリだ!奴らを殺せ!」

ヘリトリ公爵の使いが傭兵達に攻撃命令を出すが動揺して動かない。

(そのだったの12人にこの数揃えて何を言う?)

(その子供が一番ヤバそうなんですけど?)

傭兵は皆んなそう思った。

昼になる前なのにそらが暗くなって来た。

敵、味方戦う事すら忘れて全員空を見上げた。

その瞬間、彼等の顔は恐怖そのものだった。

それに同じく…僕もだ!

「た、た、助けてくれーー!!」

「死にたくない!!!」

「あぁー悪夢よ、悪夢に違いない…」

魔法陣から闇の魔神が空間をこじ開け赤く燃える巨大な隕石を空の果てから落とした。

おぅおぅ…予想より、デカ過ぎんだろ!!!ヤベヤベヤベ!ちょっとちょっと闇の魔神さん!あなた容赦ないですね!僕達まで巻き込むよ!!ヤバイヤバイ!」

予想よりどんでない魔法だった。

「ちょーおま!これじゃうちらまであの世行きだぞ!!」

全力で逃げるクイル兄達も顔が真っ青だ。

傭兵達は必死に逃げる者も諦めて祈りをする者も許しを請う者もいった。

「ああ……そうだ!術式介入!」

無属性魔法で自分の魔法陣を無理矢理改変出来る…それで魔法陣の向きを変えて落とす目標を未開拓地に変更した。

くがががぁぁぁんー

数百キロ離れた場所からの爆発なのにここまでその熱風が伝わった。

傭兵達は戦う意思をへし折られ解散した。

あーー暖かい風たな…凄い花火だったよ、ううう…生態系全滅だろうな…どうしよう?

以後その地は恐怖の大悪魔により破壊され開拓は永久に不可能になったと言い伝わる事になる。

僕は傭兵を雇った人を尋問しヘリトリ公爵の者を捉えた。

マリーヌが真相を知る為、尋問を始まるが僕に怯えたその使いはガランディアにそそ抜かれた事も洗いざらい吐き出した。

「そうですか……黒幕はガランディアですか…」

「明らかな盟約違反です姫さま!」

「しかし…証拠がありません…」

二人の会話に口を挟むクイル兄

「今は聖都に着く事が先決だ…まだ油断出来んぞ?」

急ぎ聖都に向かう僕達は1人も犠牲を出さず無事に聖都に入った。

一件落着!依頼終了!自爆しそうでやばかったが何とかなった。

「本当にありがとうございます…皆様が居なかったらきっとこの聖地にたどり着くことも出来ず死んでいったでしょう…」

フィリア姉さんと近衛達も僕達に礼を尽くした。

「帰りは大丈夫ですか?」

「ええ…聖地に着いた時点で正式な女王と認められて騎士団の向かいが来るのです」

あら?それは良かった!ゆっくり観光出来る!いやっほー♪

「それに王位の儀を終えて王の帰還中害すれば神々の誓約を破る事になり、全大陸の国々の敵と見なされます」

「なら、安心です!」

「女王様…そろそろ…」

「……時間ですか、ハルト様、クイル様、ネイビー様…またお会いしまたく存じます」

「いずれまたな…」

「はい…」

「フィリア姉さん頑張ってね!」

「はい!ハルト様!…行きましょう…」

フィリア達は主神の大神殿に向かう。

「ハルト…俺達はしばらくこの聖地に残るがお前は?」

「イリヤ達が待ってるからナズーラ村に帰るよ、僕はそこで頑張る」

「…そうか、これ以上頑張らなくていいんじゃないのか?」

……バカ言わないで、イビルゲート最深部攻略にはまだまだですぜ。

クイル兄とネイビー姉は超高難易度で有名な聖地のイビルゲートで修業する事にした。

「ハルトぉ!寂しくなるな、あぁ…舌と胃袋が泣いてるよ…」

「お前が居なくなったら俺は…栄養失調になってしまう!やっぱ、残るのやめる!」

……どっか生えてる草でも食っとけ…

抱きつくクイル兄とネイビー姉の涙と口から出る透明な液が僕の頭にポタポタ落ちた。

き、汚いよ!ヨダレと胃液に塗れた別れって人生初…いや…人類初かも。

「保存食と焼肉タレあけるから…離れて貰いません?」

「ハルト様!!!!!」

料理は偉大なり…。

「そうだ…姫、いや女王様からだ…ほぃー」

重い袋…ちゃりちゃりと金属の音がした。

追加報酬ってところかな?流石女王様!

クイル兄とネイビー姉はこれからいっぱい飲みに行くと…僕はせっかく来た聖都なのでちょっと観光してからナズーラ村に帰ると決めた。

あの二人、また会えるかな…?ちょっと寂しい…。

帰りに双子とギルドのみんなのお土産を買って行こう…。

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