8話 その4
「凄い!こんなやり方もあるわね…あんた本当に昨日まで私達と同じ見習いだったの?信じられないわ…」
よくあるMMORPGのごく基本的なレベリングベースまとめ狩り法だ。
無職、引き篭もりの僕はゲームにハマって極めた時があった。
時間もお金も心配ないほどあったのでやりたい放題!ん百万の課金したり、様々なソフトを買ってそれなりの研究をした。
お陰でダンジョン狩の基本や金策の知識は豊富だった。
お父さん、お母さん…ごめんなさい!でもそれのお陰で何とかこの世界で生きて行けそうです。
「それにハルトさん凄く強いから心強いです!」
「えへへ」
恥ずかしいな…これは多分、ルル姉の加護によるものだ、人の並みより非力だったそんな僕がこのような事が出来るはずがない。
間違いなく僕が心配でルル姉が何かやってくれたと確信した。
「昨日の自信満々な物言いは伊達では無かった訳ね…」
「イリヤとリリヤの腕もセンスも良くて順調にいけそうだよ!」
「あら?嬉しい事言ってくれるじゃん」
「なので!これから12階層に行くつもりだけど…」
「……」
「……」
双子は急に黙り込んだ。
「調子に乗ってごめん…」
何故か謝れた。
「いや…冗談何かじゃないよ?」
「はぁ?12だよ!いきなり飛ばし過ぎじゃない?」
「私達…大丈夫でしょうか?足手纏いになりそうな…」
二人は不安そうった。
「大丈夫…12階層はトロールが主類だったが…」
「トロール!大丈夫じゃ無いわよ!あれはオークと比べ物にならないほど強いのよ!特に再生するから中級冒険者パーティーもあまり関わりたく無い魔物よ!そんなの私達が相手出来る訳ないでしょ!死にたいの?」
うわ…早口すごい!
「だったが…って…ハルトさん12階層に行ったんですか?」
鋭いなリリヤは察しがいい、きっと頭も良さそう。
「うん…実はね、昨日夜中に下調べでちょいっとな…」
寝坊の原因は下調べのせいだった。
「一人で下調べって…あんたバカなの?頭おかしいんじゃの?なんかあったらどうすんのよ!」
「こ、ごめん」
心配してくれてる見たいだけど、辛口だな…泣きそうだよ。
「何故そこまで無茶して私達を…」
「乗りかかった船って感じ?後…自分の為にもあるんだよ…こっちもちょっと事情があってね。」
「それにしても何故トロールですか?」
「そうよ…あんな厄介な魔物…」
退治が混乱なトロールを狙う意図が分からない双子に説明した。
「レア魔核トロールの赤核、それが狙いでね…ギルドのおじさんに聞いたけと…それ一つで金貨20枚するらしい」
普通の魔核はほぼ同じ紫だ…高質の魔核は黒いのもあるらしいがお目にかかるのが難しいシロモノらしい。
「金貨20枚!!」
イリヤの顔色が変わった。
「すーーんごい!高価の薬の材料らしくてギルドに出せば即買い取りしてくれるって」
「さっさと行くわよ!なにモタモタしてるのよ!」
イリヤはテンションが上がり腕をブンブン回しながら僕に催促した。
釣られたな…分かりやすい。
「お姉ちゃん…ぅ」
姉のその姿が恥ずかしいかリリヤ両手で顔を隠した。
12階層の目的地までちょっと危ない目にもあったが何とか無事に着いた。
「倒したトロールは再生する前にイリヤが素早く魔核を取って欲しい」
「わかったわ」
「んじゃ始めるよ」
「おう!しっかり釣って来なさいよ!」
「はいはい」
エサはは魚を釣りに走り去った。
しばらくして見事に成功した。
リリヤの矢はトロール目を狙い撃ち、イリヤはトロールの足を攻撃した。
それを僕がトドメを刺す…中々いい連携だった。
これを繰り返し2時間が経過した。
「中々出ないね…赤い核…」
「一応レアだよ…お姉ちゃん」
「だよね…ぽんぽん出たらそんな高値がつかないしね…」
中々お目にかからない赤い魔核に痺れ切らしたイリヤ。
「焦らず地道にやりましょうね…普通の魔核もかなり貯まったしね」
「だな…」
トロールを倒し終わった僕も魔核を回収し始めた。
「ヒヒヒ…お前の魔核は何色だぁー?クク」
あっ!つい癖でアレをやってしまった。
「ぷっ!あんたバカなの?うけるわ」
「ふふふ!ハルトさん面白いです…」
「…あはは…ちょっと癖で…あっ!赤だ…」
「ええええーー!」
血で見間違いじゃないかと思って綺麗に拭きもう一度確認した。
「本当…赤いですね!」
「………」
何時もなら一番燥ぐイリヤが黙り込み僕をじっと見た。
どうしたんだろ?
「よぉし!さあ!気を取り直して頑張ろ!行ってくるよ!」
「はい!頑張ります!」
僕は働くトロールワゴン!ハルト!どんどん運んで参ります!
レア魔核が出たのが皆んなの励みになったようで皆んな奮起した。
「よぉし!回収するか!ふっん!」
イリヤはナイフを手にしてトロールの胸を思い切り刺した。
気合い入ってるな…。
「オホホ…貴様の魔核は赤なのか?真っ赤なのか?見せてくれ♪きゃははは~♪」
イリヤは欲深い顔で僕の真似をした。
「お姉ちゃん…」
リリヤは見てられなく顔を逸らしてしまった。
「赤だ…赤だよ!」
「えーーー!!」
連続レア獲得!イリヤは正真正銘な強運の持ち主だった。
「ハルトぉ!これ運が上がる魔法の儀式か何かか?ちょっと楽しくて癖になりそう!」
イリヤは凄く楽しそうに燥ぎ出した。
「でーしょー?何気に楽しくなるよね!」
「だよね!!リリヤもやって見てよ!」
「お姉ちゃゃゃん!」
私に振らないでぇーっと小さい声で呟いてのを僕には聞こえた。
嬉しいそうな顔の姉に勧められ、断り辛いリリヤ…姉に弱いリリヤもやるハメになる。
「イヒ……ヒ 貴、貴様の魔咳は…な…もうだめ恥ずかしくて無理だよー!!」
恥ずかしくて続けられなかったリリヤはそのまま魔核を取り出した。
「リリヤ……赤だよ…」
「えっ?」
3連続レアゲット!
「ハルトぉ!」
「イェス!マム!」
僕と双子は頑張った!
力尽きるまで狩り続けた!
楽しそうに魔核を取り出し続けた!一人除く…。
ついに赤い核5個を手に入れた!
「はぁはぁ…やったわ…リリヤ…ハルトぉ」
「お姉ちゃん…ハルトさん…」
二人は僕に抱きつき泣きながら感謝の言葉を言い続けた。
これで奴隷にならずに済む二人…僕も嬉しくて胸が熱くなった。
「皆んな帰ろう…」
「うん!」
「はい!」