7話 その3
村を出てから一時間程歩くと森が見えて来た。
黄色葉、黄色葉、中々見つからんな
隅々探しても、おじさんから借りた袋の半分程度しか集まらなかった。
今日は野宿決定か?日が暮れる時間になって来たから村に帰る事にした。
「帰還!ナーズラ村!」
ゲームみたいに叫んで見た…無論、何も起きない。
恥ずかしくて死にそう!誰も居ないから良かった!
沢山歩いたが以外と疲れはなかった…げど歩くのって時間勿体ないなっと思った。
うん、無職、引き篭もりだったのに、成長したな…
今は仮だが、冒険者になった!無職ではない。
森から出口が見えた。
暗くなる前に村に戻ろうと急ぐと変な視線とぞくっと殺気のような感じがした。
気配がした方に体を振り向けると黒い大きい影が飛び込んで来て、焦った僕は反射的にハエを叩くように手を振り払った。
「キャッン!……………」
見た事ない黒犬の形をして…頭が潰れて即死している。
これってもしかして魔物?!これ何処から飛んで来た?こ、怖っ!それより魔物って素材売れるよね!宿代ゲット?ラッキー!
まだどこかにいるか分からない魔物を警戒しながら、その魔物を持って走った。
不思議と図体によらず軽かった。
無事に村に着き冒険者ギルドに戻った。
「ただいま!おじさん!袋ありがとうございました」
「なんだ…それは?」
おじさんは持って来た魔物を見て驚く表情だった
「森から飛んで来たんですよ!ビックリしましたよ」
「そいつは…ガルムル…こんなものが何故」
「危険な魔物ですか?」
魔物の状況を詳しく見ながら語るおじさん。
「地獄の監視犬ガルムの亜種だ、退化してガルムに比べれられる程ではないが…危険な魔物には違いない」
怖っ!さすが異世界…今後から注意しよ。
「頭が一撃で潰されてるな……オーガ…いやもっと大型の…サイクロプス!!おい!ギルド専属戦闘員は村周辺に警戒態勢だ!私はこの事村長と相談して来る」
慌てておじさんは村長の所に急いで行った。
あっ!行っちゃうし…これ、お金になるか聞きたかったのに。
機嫌が悪そうな受付の女性を切実な目で見つめると分かってくれたように手を振ってくれた。
「依頼報告とその魔物の買い取りですね」
今は貴女が私のメシアです!!!
「その袋…」
「はい、依頼された物ですが…これぐらいしか」
袋から痔の薬材料を取り出した時、彼女の不機嫌そうな表情が歓喜に変わった。
「こんなに!!貴重とまでは言えないですが見つけ難く、この時期は特に枯れてほぼ取れないのに……凄いです!」
「そうですか!なんか今日ついてますね!」
「全部買い取り致します!!こんなにあればもう…」
あ、それか、なった事ないから分かりませんが、ご愁傷様です。
「何でもないです…うふふ」
冷たく怖ーい笑顔…それ以上聞かないようにしますから!理由は分かってますよ?
「シィリーの葉とガルムル…全部金貨一枚と銀貨六枚です」
「あの?これで宿代一泊できますか?」
僕はこの世界の物価や貨幣とか無知だ。
「………そんな高級宿なとこの村には存在しませんよ?」
ん…その話しだと、何とかなりそうだ
「そうですか…ありがとうございます」
「待って下さいな」
彼女は僕が金銭感覚が疎いの気づいてたか色々教えてくれた。
銅貨10枚が銀貨1枚、銀貨10枚が金貨1枚、あまり目にする事はないがその上、白金貨があるらしい…
銅貨8枚なら宿一泊出来る…それに、ギルド内の鍛冶屋から見習い限定で武器や防具は金貨1枚あればセットでいい物が出に入ると聞いた。
でも、もう定時になって皆んな帰ってしまった…装備一式は明日手に入れる事にした。
この世界も定時即退散が好みらしい。
しかし…さすがシィリーの葉…人を変える偉大な葉だ!宿に戻ろうと…まず飯だな…
仮と言え冒険者として初仕事の成果は上々で少し自信が付いて何とかやって行けそうな気がして来た。