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6話 シオウとの再会編

6-1「再会するときは唐突に起こる」

 そしこれはいつのことやら俺が能力ファイトに明け暮れていて、そんな今夜で夜の街を徘徊していた日だ。

 俺はここぞという時も闘い続けては連勝の日々を送ったのである。

 相手はほとんどがレベル1の能力者ファイターだったので、俺でも大したことなかったのである。俺もレベル1だけどな……

 しかも一度攻撃を当てさえすれば後は時間ぎりぎりまで逃げ続けることができるので
 こんな美味いことないと勝てる勝負ばかりしてきた俺は

 内心に俺って卑怯だな……と悲壮感を込めて戒めるが、かなりの勝率を挙げていたのでこれはこれでOKだと思い、夜の街の徘徊を続けていた。

 ふと…ある薄暗い店を見つける、その店はネオンがチカチカと点滅してほんのりと暗いし、正面からは入りずらい雰囲気であった。

 まるで別の世界の扉がそこにあるかもと思わせるアウトローな空間がその建物から感じられた……なお廃墟のもよう。

 この時は恐いもの知らずの俺はいつもの平常心を忘れていたので、すんなりとその薄気味悪いおんぼろな建物に足を運んでしまったのである。

 そこでは不良っぽいグループ達が3人?いや4人居た。
 どうやら不良のたまり場であるようだ……いかついな、そしてその不良たちはこう愚痴を言っている。

「俺たち……いつまであの人を探せばいいのかな……なんであの人は俺たちを捨てたんだろう……」
 人を探しているのか?不良なのに……実はいい奴なのか?

「言うな! あの人は自由だろ……もう俺たちも自由になるときなんだよ……だからそんなこと言ってないでお前ら! さっさと能力アイテムの転売でもしてきやがれ!」

「リーダーきついっすよ……もう俺たちが仕入れてきた普通の能力アイテムなんか買いませんよ誰も……リアル店舗よりかは安いですけど、ネットよりかは高いですし……」

 アイテムの転売……?何を言っているんだ……まさかこの不良たちは今時転売なんかで小遣い稼ぎしているのかよ!? これは酷いな……まだそれなら能力ファイトしてたほうがましだろうに。転売なんて中古の飽きたゲームを売るのに一回ネットで使ったぐらいだ。

 俺は気配を空気と同化させ、まるでその辺に落ちている薄汚れたちり紙のように自分の存在感のレベルを下げていた……もう少し不良グループの話を聞いてみることにした。

「それでリーダー……いや暫定リーダー? どうしたらシオウさんを呼び戻せますかね? あの人これでもかなり自由人ですよね……? どこに居るか見当もつきません」

「わかってるよ……俺たちにはシオウさんが必要なんだというのは暫定リーダーであるおれでも知っている……俺たちはもう限界なんだよ……」

「でも暫定リーダー……シオウさんのやりたいようにやらせるという自由を奪うことになりますよね……呼び戻したりしたら」

「どうしたらいいのやら……」

 シオウって俺が初めて闘った、能力ファイトした不良のことだよな……

 飛ぶデコピン使いの……あいつか……それであいつはこいつらの元リーダーというわけか……なるほどだいたい分かったぞ、さてそろそろばれたら面倒なことになりそうだし
 退散させてもらいますか……俺は取り合えずその場を後にした。
 暗い夜道は歩きなれている、俺の能力「逃げること」は足音を出さずに逃げるにも使えることが最近判明した……

 まるで忍者みたいだなと自惚れするが……そんなことよりなんとも色々と俺以外のやつも大変なんだなと感じた……

 不良には不良の世界があるのではないかと俺はこのとき感じた、そして明くる日いつもの会社帰りに最近できたばかりの受験生専門の塾の前を通る。

 ここは確か最近できたばかりなんだっけ……そして俺はその塾の扉の前で良く知った顔の少年とすれ違う……

 似合わない四角い黒縁の眼鏡をしていて、髪色はそのままだがツンツン頭だったのが普通の髪型になっている不良であるはずのシオウが塾生のような恰好で塾に入る直前で俺と目があった…………

 信じられない顔で驚いているうえに……顔面蒼白だ、あってはいけない人にあったかのような顔をしている。眼鏡がずり落ちそうだ……。

 そしてすぐに顔の表情を真面目君な勉強できますな感じの優等生みたいな表情に直し、塾に急いで入ることにしたとシオウは決めたようだ。

 しかし俺はシオウの腕をつかむ、そして一番聞きたいことを聞く。

「お前……あの時の不良のシオウか…………?」

 シオウらしきというかまんま本人は冷や汗交じりで返した、眼が泳いでいる中で。

「人違いちゃいます……俺は……ここの塾生の指場志道(さしばしどう)と申すものです」

 とか言い訳してるがどう見てもあの時のシオウである。名前も似ている。
 なんで誤魔化すんだ……ちょっと大人びているけどまさか高校生だとは思わなかったぜ……

 俺は初戦の強敵である人物の一番知られたくない秘密を得たかと思い、調子に乗っていたので昨日の不良たちのことを話してみた。

「でもな、確か昨日の晩にお前のことを連れ戻したいとか話していた不良グループがいたぞ……おまえがいないともう……お終いだ、悪いことでもなんだってしてやるとかいってたと思うぞ」

 多少盛って話した。さあどういう反応を見せるか……俺は自分の中の悪戯心を暴れさせて、完全に悪役ですな感じで楽しんでいた。

 たまにはストレス解消しないとな……今日も部長に怒られたし。

 そしてシオウ本人は「なんやて……」と完全に地の関西弁が出ていたらと思ったら急に走り出した。俺は追いかけてみる。わけも聞いてみた。

「どうしたんだよ……シオウであることは認めるのか?」

「うっせえな、そんなことはもういいんだよ……あいつらは俺のかわいい後輩なんやぞ……悪いことだけは俺が止めなくてはいかんのや!」

「それで?どうやって、止めるんだ俺はあの確か暗いネオンのある裏口からしか入れない廃墟のような建物であいつらの話を聞いたぞ」

「俺はあいつらを止める……しかしタケオ……お前もよくそないなところに入ろうと思たな……怖いもの知らずなとこもあるんやな、やはりお前は凄いな……俺を倒しただけある」

 俺たちは例の廃墟のような建物を目指していた。

 ここからそんなに遠くない小走れば5分もかからないとこだったはず。
 そして例の場所についた。まだ夕方なので昨日の晩よりかは薄気味悪い感じはしないが、それでも怪しさ抜群だった。

 そこに俺たちは乗り込むどこかの特殊部隊のようにだ……

 そしてそこには一人の不良少年がいた見た目がどうみても悪そうな目つきで、ピアスをしている坊主頭のシオウより下の年齢に見えた。

 マサトと名乗る俺に。シオウのことを見つけると最初は戸惑っていたがすぐにボロボロと涙を流しながら、シオウに熱い男通しの抱擁を要求している。シオウは断る最速で。

 「なんでですか」と食い下がるマサト君……なんだが熱い奴だな……ついていけない。
 俺たちはマサト君に今俺たちのグループで何が起きているかを話してくれた。

 マサト、タケシ、アツシ、そして暫定リーダーの雪野(ゆきの)つとむ
 こいつら4人が今のノーススノーと言う名のグループで、どうやらただの集まりで犯罪活動はしてないらしい。

 ようするにただの不良たちが寄せ集まってつるんでいるだけらしい。
 煙草もご法度だとか……それで、いったい何があったかと思われるかは
 この後に説明がされるらしい。まさに後半に続くとナレーションが出てきそうな感じで


6-2「裏切り者は意外に身近にいるもんなんだな」

 俺たちは今、マサト達に今何が……ノーススノー(シオウがもともと率いていた不良グループ名)で何が起きているかをマサトが説明してくれた。

「シオウさんと舎弟? のタケオさん……今俺たちのノーススノーである問題が起きているんです」

「問題とはいったいなんだ……マサト…いったい何が起きたというんや」

「シオウさん……実は俺たちの中に裏切り者がいるんです」

「何だと……誰や……その裏切り者は……? 確証はあるのか?」

「ちょっと待ってくださいよ……部外者である俺が口出しするのもなんですが、何を裏切ったのか聞かないのですか? シオウさん」

 俺はシオウのことをとりあえず年上から失礼が無いようにさん付けで呼ぶ。こんな不良でもだ。
 自分の会社員としての良い癖なんだけど、この時はさん付けで呼んでみたかった。

 そして裏切りの内容を知りたそうな俺にアイコンタクトしているシオウが説明してくれた。

「それはだな、タケオ……俺たちのノーススノーの掟の1つ、敵に仲間を売るべからずに決まっている。これは引退したメンバーでも守らないといけないんや……」

 つまりはこういうことだ、どうやらアツシは最近他の不良グループに暴行を受けたのである。しかし身に覚えがない……その時暴行を働いている別の不良の1人がこう言ったらしい――

――「おまえを蛸殴りにしたら3万くれるって言われたんだよ(笑)だから3万ぶんボコボコにしてやんからよ……おりゃおりゃおりゃあ!!」――

――俺は戦慄を感じた……不良の世界は恐ろしすぎる……金で暴行の依頼とか……恐ろしいにもほどがある。

 しかしその内容がなぜに仲間の中に裏切り物がいるとわかったのか……
 シオウに聞くところ俺たちは他の不良グループにトラブルを持ち込まないように生きていたからだと言う。つまり仲間に裏切り物がいるしかいないという結論になったのだ

 それでどうする犯人は誰なんだ容疑者は3人に絞り込まれるぞ……
 タケシ、アツシ、そして暫定リーダーのつとむしかいないからな。

 そこで話の途中でタケシとアツシが戻ってきたシオウを見ると……泣いて喜んでいた。
 そしてどうやらちょっと前にタケシとアツシも同じ目にあったみたいだ……

 俺たちは推理した……直ぐに結論がでたが、まだつとむが戻ってこない。
 そこまでやるかと俺は妄想を繰り広げていた。犯人はつとむに違いないと俺は断定した。

 そして約10分後につとむが戻ってきた。俺は問い詰めてみた。

「お前が犯人なんだろ!」と問い詰めてみたら、あっさり白状した……あっさりすぎるだろ……

「俺が裏切り者だと良く分かったなシオウの舎弟のサラリーマンか?俺の目的はな新しい世界を作ることなんだよ……壮大な計画にはお前らみたいな雑魚はいらないんだよ……」

 なんとも身勝手な奴だな……こいつは。俺はもといシオウも理由を聞いて、堪忍袋の緒が
 キレましたな状態になる。シオウは発言する、怒りの表情で睨みつけながらつとむにこう話しかける。

「お前それをやってただで済むと思っているのか、元リーダーだと言え俺は許さないぞ!! つとむ! 俺と能力ファイトしろ!! お前にけじめをつけてやる!!」

「最初からそのつもりでいたんですけどね……賭けをしましょう俺が勝ったら新生ノーススノーを作りますことを許してもらいましょうか、そっちが勝てたら、俺は素直に引退しましょう……これでどうですか?」

「よっしゃっそれでいいぞ俺がお前に引導を渡してやる……」

 話が勝手に進んでいく……「俺は部外者だから帰りますよ」と言う。するとシオウがお前がいてくれたほうがいいとぬかす。なんでかって?どうやらつとむのほうにはまだ助っ人がいるようだ。つとむが助っ人の存在を暴露する。

「実はですね、今日は俺一人だと不安なんで、新生ノーススノーのグループのメンバーに既に内定している彼をつれてきましたよ……入っていいぞ佐藤……」

 佐藤と呼ばれるつとむの不良仲間が入ってきた。どうやら能力ファイトの助っ人らしい
 えっ?つまり二対一になるじゃないか……つとむもどうやら能力ファイターらしいし
 これではシオウは不利じゃないか、別にルール上複数対1人の能力ファイトは認められている。同意があればだがな……
 だが圧倒的不利な状況であるはずなのにシオウは同意した。

 俺はなんの因果かシオウの助っ人を名乗り出た。アツシは「流石シオウさんの一番の舎弟! やるうううう」と叫んでいた。

 俺たちは二対二のタッグ能力ファイトを行うことになった。俺は本当に怖いもの知らずだなと自分の観照をしていた。

 最近までは……ビビりに入る部類だったのに……端末の賭け能力ファイトの認証ボタンが空間に表示される。

 今回はシオウだけが承認するだけみたいだ……俺はサブキャラ扱いのようだ。

 端末の画面には俺の名前タケオの横にサブと表示されている。シオウはメインだ。
 どうやらルールではメインがやられたら負けのようだ。いやといってもサブがやられても時間に決着が付かない場合でも合計体力が高いほうが勝ち扱いなので、(能力使用度判定勝ちは狙いづらい)結局俺も負けるわけにはいけない。

 いつも通りの試合の開始を告げる電子音声が鳴り響く……

『タッグ能力ファイト開始します』

『メインの選手が負けたらそこで試合終了です』

『レディーーーーーゴーー!』

 無機質な機械音声が木霊する中、俺たちはこの最低のクズ野郎つとむを倒すために超能力を最大限に使用するのであった……

6-3「激闘の末に……」

 俺は自分の能力「逃げること」を最大限まで使用している。

 どこから攻撃が飛んできてもいいように常に逃げまくる準備をしている。

 シオウはお得意のデコピンで飛ばしている何かを……空気なのかな……?相手に当たると奴の体力が1パーセント下がる、そんなに痛くないのかよ……と思ったが、じゃあ俺はあのとき避けなくてもよかったのか安全装置も働いていたから余計に意味なく避けていたようだ。

 そして相手も真っ白い学ランをいつの間にか着ている雪野つとむは
 自身の能力を使用し始めた。白銀の世界……それは吹雪なる世界……空気が凍る…
 もうすっかり日も落ちていた真っ暗な路地裏は雪景色に染まっていた。

 どうやら雪野だけに……雪を作り出す?能力者らしいなまんまじゃないか……もう少し捻れと言いたい。

 そんなことは置いといて、俺はあまり厚着をして来なかったので、寒さに弱い。
 体質的にも弱い……なので俺の動きは鈍くなった……そこでもう一人の佐藤とかいうやつが俺に近づいて来た。そしてどこからか用意したのかわからないバケツを俺に向かってブン投げて来た。

 俺はすんでのところで逃げることに成功した……と思われた。

 足に少しその変な群青色のした液体がかかったしまった、気持ち悪いなあ。

 化学薬品かなにかか?しかし俺はそんな疑問を打ち消すぐらい変な気持ちになった。

「あれ……なんだか逃げるのやめたくなったなあ……やる気が出ないなあ~~」

 どうしたことか……俺は逃げる気が起きなくなった。どうも鬱みたいな症状なのかただやる気が出ない怠け者なのかまでかは分からないが、とにかく逃げようという俺の能力の実行が阻害されてしまっている。

 シオウが超速の反射神経で奴の能力を見抜いたのか……俺に助言してきた。

「あかんぞ……あいつのバケツの中の液体を浴びたら何か良くない作用が起きるかもしれないぞ……とにかく当たるな……逃げ続けろタケオ……」

「これ水で落とせないんですかシオウさん……どうすればいいんだ……なんだかそういうのも面倒になってきた……あれ? 俺なんで闘っているんだっけ? 早く家に帰りたいな……」

 シオウはこれはアカンと思ったのか、俺の首筋の襟をつかみ、グイっと後ろに引っ張る。
 そして俺を後退させる。首が閉まる~!イテテッ……そしてシオウがこう言った。

「お前は佐藤のその謎の液体の効果が消えるまで後ろにいろ! 俺が奴らを食い止めてやる」

「お言葉に甘えますよ……ああ早く家で美知とゲームしたい……」

 俺はいつもよりやる気のない自分の精神が内心腹立つがなぜか逆らえないので黙って見ていた。

 シオウは飛ぶデコピンを連打している。超烈なスピードのまるでマシンガンのような攻撃だ。しかしすべては当たってないのであまりつとむ達はダメージを受けてない。

「こちらから攻めますよ、【ジャブ・クライ・スノー】……」

 雪野つとむは雪をジャブのような軽い連弾の雪玉を放つ……シオウに命中した。
 ゲージは96パーセントになっている。

 次にもう1人の敵の佐藤が技名を叫ぶ……

「いっけえええええええ【スネーク・ボトム・シロップ】!!」

 まるで蛇のように液体が踊り狂う……勢いもかなりある。上から来るぞ……かわす気になれない。

 それが俺めがけて飛んでくる。シオウはとっさに俺を突き飛ばして身代わりになった。

「ぐわああああああああ……糞が喰らっちまったぜどうすりゃいいんだこれは……」

 ゲージを見るとなぜか体力は減っていない……ダメージはないのか?ならば特殊効果付きの液体なだけなのか……

 そして雪野つとむと佐藤が動き出して一気に勝負を仕掛けてきた。

「行きますよ……僕の必殺技!【ジャイアント・アイススノー】!!」

「相手は僕の巨大な雪玉に潰れて圧死はしないが……気絶するよさあどうするんだい(嘲笑)」

「俺も行きますぜつとむリーダー……【ブラック・シロップ・ストレート】!!」

「黒い液体を一気に放出する俺の技を浴びたやつは悪の心に染まる。俺たちの仲間の完成ですぜ(黒い笑顔)」

 えーーいどっちも喰らうわけにはいかないぞ……

 俺の体うごけえええええええええええええええええええええええええええええっ……

 動いた!そして俺はシオウを抱えて逃げることを最大限に活用した。

 すべての必殺技から逃げることに成功した……

 そして俺の十八番。脳天頭突きを不意打ちのように背後から行ったら佐藤のほうが一発ダウン……残りはメインの雪野つとむだけになった……

「佐藤のやつめ……簡単にやられやがって今度お仕置きしてやる。それではまだ僕はこの必殺技を超える超必殺技を見せていなかったよ……喰らいやがれ!【ツンドラ・チェーン・ウイップ】!!」

 氷の塊のチェーン状のものを操ってやがる。しかもしずくと闘った時の巨大なカッターナイフのような感じで禍禍しいオーラを放っている。

 あれは喰らったらタダでは済まないぞ……確実に致命傷を喰らうので、安全装置があるとは言え切り傷は避けられない……

 俺はシオウを抱えて後退した……とりあえずシオウを下した。

 シオウは納得しているような表情で俺に言った。

「お前は……やはり俺が見込んだだけある…ほんま凄いやつだ。ほんとに最近能力ファイト始めたんか? 相手の必殺技かわしたやろ? 本当に何もん何やタケオ……」

「大したことないですよ……俺の唯一の能力“逃げること”が凄いだけですよ……これでも始めたころからより強化されてますよかなり……まだレベルは1ですけど……」

「いやそれでいい、あんましレベルだけ高くなって実戦が弱かったら洒落にならんしな。じゃあいくぞ……あいつに引導を決めてやれ……俺も手伝うぞ? できるか? タケオ」

「いけます、逃げながら突っ込むのは慣れてます」

「おお……なら俺の必殺技シオウ砲弾を打つぞ。その隙にあいつに……つとむに全力でぶつかってこい……」

 俺はその後、シオウ砲弾を放つシオウを後にして、雪野つとむにもうカーブからダッシュする、そして俊足の足捌きで音も鳴くこっそり背後に回り攻撃を仕掛ける。

 まさに忍者は汚いばりの精神で俺は奴を捕まえてやった。腕力では俺のほうが上のようだ……そして後ろの位置から蹴る、蹴る何度も蹴る。


 そして地面に転ばせる。下は雪がもう積もっているこいつの能力のせいである。
 なんという自業自得……雪のせいで立ち上がるのも困難だ。

 そのまま顔面の頬を何度も殴る叩くの繰り返しだ……顔面がボコボコになるまで殴る蹴るを繰り返したいが、そうもいかない。

 安全装置がこの端末機に搭載されているので外傷はほぼない、ただし痛みは喰らうみたいだが。

 そしてついにつとむの体力ゲージが無くなった。俺たちの勝利だ。

 雪野つとむと佐藤はどこかに追放された。もう戻ってくるなよとシオウは言う……どこか悲しげである……。

 そしてノーススノー改めシドーシャドーとグループ名を一新してシオウは

「結局俺がリーダーになるのか、それはちょっと嫌やな……勉強のこともあるしな……」

「シオウ!その勉強のことって結局なんで隠していたんだ?」

「不良が勉強するとかおかしいやろ! 俺は普段は不良っぽくしてないんだよ! 能力ファイトの時とかこいつらに会う時だけで普段は普通の勉強ばかりしてる学生なんや……」

「そうなのか……お前もいろいろと大変なんだな……」

 俺たち2人だけで聞こえるところで会話していた。

 それで今後は一応リーダーをやるがほとんどマサト、タケシ、アツシたちに自由にやれと言うらしい。

 これで一件落着なんだよな……?なんだがまだ少し引っ掛かりがあるが……




















Extra Stage 3

「ボスっなんだかすごい強いやつが現れました……タケオとかいうサラリーマンらしき男です!!」

 佐藤がボスと言われている男に話しかけている……カーテン越しだ。ボスの姿はシルエットではっきりは分からない。そしてボスはこう語りかける。

「ほお~偶然だな、俺もそいつのことをある人物にマークさせていたが……力を付けているか……これはもしかしたらあれの可能性が出て来たぞ……」

「あれってまさか……あれですか……? 噂でしか聞いたことないし、実際会ったわけではないのでわかりませんが……」

「まだ確証はないがな……それになると何が起こるかまではわかってないからな……委員会のほうには既に何人かその力を保持している奴らがいるようだが、
 そこまでは俺の情報網の範疇ではないからな……誰があれなのかまではわからない。奴らに気が付かれる前に動くか……」

 ボスはふとあることを思い出して佐藤に問う。

「おい! 佐藤、雪野はどうした! 一緒じゃないじゃないか……こっちに引き入れることに成功したんじゃないのか! どうなんだ……」

「それが……やられたショックか自分を鍛えなおす武者修行の旅に出ると言って……すみません」

「な~~~に~~~~? 何だと……? 旅に……あいつは結構即戦力になるやつなのに……端末のアドレス交換は?」

「まだしてなかったです……マジすいません」

「まあ……いい、我らの組織にはまだ使える駒などいくらでもいる……むしろ戻ってきたときにレベルが上がっているかもしれないしな……」

 そうしてボスは姿を消した。
 年はよくわからない。色々と着々と陰謀に巻き込まれていく竹男の今後は大丈夫なのか?
 超がんばれば次のステップにすすめるかもしれないのがこれからのタケオの人生なのかもしれない……

しおり