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6話 筒状の物体ってなんだろう?

 翌日の夜、僕らは事務室のソファーに腰掛けて、訪れた海堂警部と対面していた。
「タカヒロさんの肩の件だけどね、本当だったよ。診察した医師に話を聞いて、カルテとレントゲンを見せてもらったんだけどね。確かに第二の事件時の夜に診察を受けてるよ」
 海堂警部は大きな背中を丸めながら厳しい顔で語る。
「怪我は本物だったんですね」
 ユリは両手を膝の上で重ねながら、海堂警部の顔を直視していた。
「そうなると、問題は何時頃どこで怪我をしたかよね」
 マリは腕組みをしながら俯いていた。
「その通りだね。犯行中、永田と格闘になった際に痛めた。それを否定する材料は今の所ないんだよ。だから、犯行を否定する証拠にはならないね」
 そういうことか。タカヒロさんの肩の怪我は仮病ではなく、本当に痛めていた。
 だけど、犯行前に痛めた証拠も無い訳だ。
「それと事件と関係あるかどうか分からないけどね。不審者の目撃情報が寄せられたよ」
「不審者?」
「どんな人なの?」
「身長は高い方。体格は細身。日付は1月15日。時間は午後9時過ぎ。場所は現場から10キロ程、離れた田舎の山奥。何か筒状の物を肩に掛けて、山に入っていく所を見たらしいんだ。滅多に人が寄りつかないような場所だから、目撃者の男性も不審に思ったらしくてね」
海堂警部は胸ポケットから警察手帳を出して開く。
 メモが書いてあるらしく、手帳を見ながら喋る。
 ユリは左手の人差し指を顎に当てながら考え込んでいた。
 何か思いついたのか、海堂警部を見上げた。
「警部さん、15日って昨日ですよね?」
「そうなんだよ。だから、もしかしたら関係があるかもしれないと思ってね」
「筒状の物って何かは分かってないんですか?」
「そうだね。筒状の物としか言ってなかったからね」
「材質も分かりませんか? 鉄とかプラスチックとか布とか」
「それも分かってないね」
「うーん、筒状の物体か」
 相変わらずユリは左手の拳を口元に当てながら考え込んでいた。
 筒状の物体か。
 筒状の物体ってどんな物だろう?
 この目撃証言はこの死神事件と関係あるのかな?
 山へ入っていった不審人物は何者なんだろう?

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