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第85話

 敵が撤退して銃声が止むと、倉庫にいる澄人から通信が入った。

「(ナオ、終わった……?)」
「(おそらく。ですが、まだ倉庫から出ないでください。敵がまだ潜んでいる可能性がありますから)」

 ナオは他のアーティナル・レイス達と連絡をとりながら、警戒を続ける。

 索敵用の武装を装備したアーティナル・レイス達が、三ツ山島を調べ、敵が残っていないという連絡を受けてから、ようやくナオは肩の力を抜き、04に通信を送った。

「(04。29は……?)」
「(……AI-visのメインコアが、完全に破壊されています)」
「29……」

 ナオは空を見上げ、目を閉じて願う。

 もし、天国というものが、本当にあるのならば――そこが安息の場ならば――すべての魂がそこへ至るのなら、どうか29の魂も天国へ……と。

 一〇秒ほど続け、目を開けてすぐ。04から通信が入る。

「(ナオ。岩崎司令から指示が送られてきました。アーティナル・レイスは全員、補給と修理を行い、次の襲撃に備えよとのことです)」
「(わかりました。補給と修理をしつつ、二枚翼のアーティナル・レイスについての情報を共有してください。無論、29のデータも。それをもとに、次の作戦を立てます)」

 ナオはそう伝えると、澄人がいる倉庫へ戻っていった。

「ナオ!」

 倉庫のドアを開けると、澄人がナオのもとに駆け寄ってきた。

「大丈夫だった? ケガはない?」
「はい。私は今回、戦闘に参加していませんから。ただ、29が……」
「29が、どうかしたの?」
「……敵の攻撃を頭部に受けて、AI-visのメインコアを破壊されました」
「え…………」

 そこへ、04達が29の体を運んできた。

 それを目にした澄人は、呆然とした表情を見せる。

「……申し訳ありません。私のせいです」

 視線を下に向けながら謝る06の肩に、04は手を置いた。

「あなたのせいじゃないわ、06。私があなただったとしても、あの状況はどうしようもなかった」
「04の言う通り、お前のせいじゃない」

 29と同じ、M.Lタイプの25と32が、涙を流す06の側へと行き、声をかけるが、二人も――他の者達の心も、悲しみに満ちていた。そしてそれは、澄人も同様のようだった。

 横にされた、もう動くことのない29を見ながら、彼は口をぎゅっとつぐんでいた。

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