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第8話 四人目の仲間

天中殺の件で晴華に釘をさされていた美奈代は二人を呼んで全てを打ち明けた。
真由美はただ驚いていただけだったが晴華は不機嫌そうだった。
「へえ!」
「そう!」
もともと晴華と美奈代は解り合えないタイプ同士。
それでも晴華は美奈代の為に尽力したし。
美奈代も少しずつ変わりつつある。
ポジティブな晴華とネガティブな美奈代。
二人の攻防戦は晴華のペースで進んでいるかの様に見えた。
でも、ここにきて完全なネガティブな人格が形成されてしまったという。
しかも、早々には納得出来難い別人格というオマケ付きで。

「とりあえず!」
「そのネガティブな方の美奈代さんとお話がしたいです!」
「二人きりにさせてもらってよろしいですか?」

「あっちゃー!」
「怒ってる、怒ってる!」
晴華は必要とあらば丁寧に喋るし、親しくもない相手とはくだけて話さない。
だから今更仲間内だけにもかかわらず丁寧に話し出すというのは怒っているに他ならない。

「まあまあ!」
真由美は宥めようとするが。
「よろしいでしょうか、真由美さん?」
と、取り付く島もない。
「うん、解ったから!」
「席外すね!」
真由美は諦めて出ていく。
「さて!」
「まぎらわしいので!」
「ネガティブな方の美奈代さんだけ発言をお願いします!」
美奈代は小さく頷いた。


「はいはーい!」
「私がネガティブ代表の死奈代でっす!」
死奈代は大きく手をあげて答えた。

ピクリ。
晴華の顔が強張る。
晴華の怒りゲージが順調に上がっていくのが感じられた。

「死奈代さん?」
「そそ、良い名前だと思わない?」

「いえ!」
「全然そうは思えませんけど!」

「そんなら名前付けてよ!」
「良い名前!」

「では!」
「美奈代だからミーナ!」

「あはははは!」
「何それ?」
「安直っ!」
「でもそれ採用!」
「私の名前は朽木ミーナ!」
「ミーナって呼んで!」

「解ったわミーナ!」

「あっ!」
「機嫌が直ってる!」
「そんなに死が入ってる名前は嫌だった?」

「普通、人の名前に否定や縁起の悪い言葉は入れないわ!」
「そんなの誰だって面白くないし、反対するに決まってる!」

「でも、美奈代は何も言わなかったわよ!」

「それは自分の意見でもあるから!」
「自分とは対立しないスタンス?」

「でも晴華は違うよね?」

「もちろん!」

「美奈代は人とも自分とも対立しないし!」
「私は人とも自分の別人格だって!」
「意見が違えば対立するわ!」

「でも自分の意見は意見として!」
「他人に強制は出来ないけど!」

二人の話し合いが終わったとのことで戻ってきた真由美。
「ヘーイ真由美!」
「私の名前は朽木ミーナでーす!」

「えええええ?」
大げんかもかくやと思い。
戻ってきた真由美が目にしたのは。
髪を金髪に染め、目に青いカラーコンタクトを入れ。
片言の日本語を喋る美奈代の姿であった。
「酷い!」
「何をしてんのよ?」

「大丈夫よ!」
「水性だから洗えば落ちるわ!」
「特殊着色料だから視界が青く見えることもないし!」
「視力に影響も出ないわ!」
「紛らわしいから徹底的に変えてみました!」

「ミーナはリアクションも大きいし!」
「英語もペラペラだからかなりの出来栄えだと思うけど?」

------------------------- 第10部分開始 ---------

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