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第7話 自分と自分

「死にたがりが生きたがりを助けるのよ!」
「面白くない?」
周囲には美奈代以外には誰もいない。
そして聞きなれた声、動く口。
喋っているのは美奈代だった。
二重人格?
人は耐え難い出来事に直面した時、自衛の為にもう一つの人格を作り出すという。
でも、人格が入れ替わってはいないし。
「あなたは誰?」

「私は朽木美奈代!」

「うそ!」
「それは私!」

「うそじゃないわ!」
「あなたも私、私も私!」

「いいわ!」
「話してあげる!」
「私はあたなのもう一つの人格!」
「でもよく言う二重人格とはちょっと違うみたい!」
「別人格を理解してるし!」
「コミニュケーションも取れてる!」
「だから!」
「体は一つで心が二つかな?」

「きっかけは!」
「死にたがりが生きたがりになった時!」
「死にたがりの人格が消えた!」
「かに見えたわ!」
「でも、今まで生きてきた中で!」
「朽木美奈代は死にたがりこそが全人格で私そのものだった!」
「だから消えたはずの人格が蘇って!」
「朽木美奈代には死にたがりと生きたがりの二つの人格が出来たのよ!」
「だから!」
「私の事は死奈代と呼んでちょうだい!」

「じゃあ!」
「死奈代さん!」
「私は自分が生きたがりになれた自覚はありません!」
「でも、以前の私とは変われた気がします!」
「それは死奈代さんも同じだと思います!」
「だから私は死奈代さんを信じます!」
「お医者さんを目指しましょう!」

こうして美奈代は自分だけで進路を決めた。


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