03
クマノコ見ていた隠れんぼ。
目があったら即死亡。
ボクは窮地に立っていた。
凶悪で凶暴なモンスター、クマノコ。
そのモンスターに村が襲われた。
ボクは、そのショックで前世の記憶が甦った。
戸惑うボクと逃げ惑う村人。
クマノコがボクに襲いかかろうとしたそのとき。
ひとつの火球がクマノコにぶつかる。
「ぐぎゃぁぁぁぁぁ」
クマノコが悲鳴を上げながらのたうちまわる。
ボクは火球が飛んできた場所を見る。
そこにはセーラー服を着た少女がいた。
「誰?」
ボクは尋ねる。
「私か?私は|詩空《しそら》|清空《きよら》。
どこにでもいる先生さ」
「先生?」
ボクが首を傾げる。
その風格はどう見ても生徒っぽい。
「人を見かけで判断しないように!」
清空がそういって笑う。
「この人こう見えて大人だよ」
顔に痣がある少年がそういった。
「|亜金《あきん》、余計なことをいうな!
さっさとクマノコ倒せ!」
「その人が倒すの?」
ボクがそういうと亜金がうなずく。
「うん。
倒すんだ、経験値にする」
ボクの心のどこかが傷つく。
「そっか」
「なにか変なこと言っているかい?
モンスターなんだからそんなもんでしょ?」
亜金が首をかしげている。
「そうだね」
ボクは頷くしか出来ない。
そういうものなのだ。
なんとなくわかる。
「君の名前は?」
「僕の名前はボクだよ」
「ボクはどうしてそんなに悲しい顔をしているの?」
「え?」
亜金の質問にボクは戸惑う。
頬が温かい。
そっとそこに手を触れるとボクは涙を流していたことに気づいた。
「たくさん仲間が殺されたんだ。
仕方がないと思うが……」
清空がそういうと亜金は一瞬だけ空を見上げ、そしてボクの方を見る。
「そんなもん?」
「多分」
ボクはそういって誤魔化した。
「じゃ、倒すね」
亜金は、そういってクマノコの首を吹き飛ばした。
ボクの中で何かが消える。
でも、何が消えたかわからない。
ただ、何かが消えた。