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大勢の中の一匹。
倒せば経験値が1入る。
たった1の経験値。
成人男性がレベル1からレベル2になるまでに必要とされる経験値が平均10とされている。

「スライムを倒してレベル99を目指そう」

そんな本がベストセラーになる時代。

ボクは、その1匹になるべく殺された。
大人ではない。
4歳の少女に……
少女は覚えたての魔法で。
「はじめてのスライム」というテレビの取材の元。
ボクは殺された。

その中継は全国放送にお茶の間に流れた。

ボク。
スライム。
享年4歳。

レベル3。
経験値1。

「さぁ、続いてスライムBを倒してみよう!」

ボクは案内人がそういったことだけ知っている。
そのあとのことはわからない。

ただ少女の顔は緊張し強張っていた。

スライムを一匹でも倒せば経験値が1入る。
なのでスライムを倒して経験値を稼ぎ魔王を倒す。
そんな現象が起きている。
当たり前のように起きている。

スライムの数は多い。
だから、1億や2億減っても。
あっというまに3億増える。
増殖するスライムを倒すことは自然にとってもいいということが論文で発表され認められつつある。
だからこんな企画が生まれボクは殺された。
視聴率のため、ボクは死んだ。

スライムと呼ばれること。
それは死ぬということ。
ボクは、父の顔も。母の声も知らない。
知る前に両親は死んだ。
野良スライムとしてボクは生まれ。
野良スライムとしてボクは死んだ。

たった1の経験値のために。

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