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08 遭逢

 先生の元を去った俺は、あてもなく道を彷徨っていた。すれ違う人達は、そんな俺に怪訝そうな目を向けたが、そんなの知ったことじゃなかった。

「あれ? ビル君、こんなとこで何してるの?」

 聞き覚えのある声に顔を上げると、そこにはマリアが立っていた。そうか、今日が帰省の日だったのか。

「ちょっと付き合ってくれないか?」

「つつつ付き合う?! 私そんなはしたない子にビル君を育てた覚えはありません!」

「……育てられた覚えなんか無いけどな? まあ、ちょっと、元気出たよ、ありがとうな」

「ちょっとどうしたのよ、ビル君。何かあったんなら、言ってね?」

 そうか、今帰ってきたばかりで、俺が冒険者になったことすら、マリアは知らないんだ。

「ほらよ」

 俺が冒険者カードを出すと、マリアはびっくりしていた。

「冒険者カード? しかももうC級?!」

 曰く付きの俺ではあるが、既存のシステムの中での評価だと、俺は高い部類に入る。前回マリアが帰ってきた時はE級どころか登録すらしてなかったから、長くても一ヶ月そこらで二階級特進だ。冒険者の昇給制度を良く理解している者ならば、それは驚くだろう。

「ところでマリアは何級なんだ?」

「私もCきゅ……なんで私が冒険者になってるって知ってるの?」

「まあまあ、そこら辺はゆっくり話そうぜ。依頼でも受けながらな」

「え? でも先生に挨拶したいし……」

「先生は大丈夫だよ。先生が、マリアがそろそろ帰ってくるって言ってたから、待ち伏せしてたんだしな」


「お土産も孤児院(うち)の子に渡したいし……」

「良いから付いて来てくれよ。先生なら買い物に行ったから、うちに帰るより遭遇率は高いかもだしな。土産は依頼が終わってからでも遅くねぇだろ?」

「あ、ちょっと!」

 俺はマリアの手を取って、半ば強引に市へと繰り出した。

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