第4話 人魚の姫さま日本に! (6)
う~ん、何か二人が、揉めているみたいだね?
床拭きをしている僕の耳に、二人の会話が入ってきたよ。
プロポーズの言葉を『貰った? 貰っていない?』で二人が揉めているみたいだから。僕はかなりショック……。
だってラフィーネさんだけでも、僕の嫁に出来ないかと思って、色々と策を練っていたから。本当に涙が零れそうだよ。『はぁ……』と、溜息しかでないし。ううう……。やっぱり僕は死のうかな……。
思いっきり失恋したから。
……でもまあ、お二人あれだけ綺麗なんだから、彼氏もいるだろうし、|許嫁《・》もいるだろうからね。
あああ、でも本当にショックだよ……。
でもね、わざわざ、僕の話しを聞いてくれる為に日本に来てくれたのだから。ちゃんと御持て成しをしないといけないね。
だから僕は、汚れた雑巾を持ちながらキッチンへと移動──それでね、姫様とラフィーネさんに声を掛けたんだよ。こんな感じで口を開いた。
「……姫様とラフィーネさん、何か飲み物飲まれますか?」
僕がね、二人に声を掛けると。
「……ん? 新太、飲み物は何がありますか?」
と、姫様が答えてきたから、僕は。
「……えぇ~っと? ……お茶、ジュース……。それとお酒がありますけど? 何がよいですか?」
再度尋ね返したよ。お二人に何が良いかと。
「う~ん、では夜なので、寝酒も兼ねて……。|私《わたくし》はお酒をもらえますか?」
「ん? はっ、はい、分かりました姫様……。ラフィーネさんは何がよいですか?」
「えぇ~っと、あっ、あの……。姫様がお酒なら、私も寝酒用に、お酒でお願いします」