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第3話 異世界(故郷?)へときました! (17)

〈ドン、ドン、ドン……〉

「姫様~? 姫様~?」

〈ドン! ドン! ドォ~ン!〉

〈ガン、ガン、ガン……〉

 う~ん、おかしいですね? 姫様の反応がないようですね?

 もう少し扉を叩いてみましょうか?

 只単に、奥の寝室にいるから。私の声と扉を叩く音とが、聞こえないだけかも知れませんから?

 そう思うと私は再度──『ドンドンドン! ドンドンドン!』と、扉を叩き始めましたよ。

 まあ、その後は、扉に向かって、こう叫ぶのでした。

「ひっ、姫様ー!姫様!ひ・め・さまー! 返事が全く無いですが。寝ているのですか、 姫様ー?」
と、大きな声で叫んだのですが。これといって反応も無く、ただ私の声が止めば、『シーン』と静まり返った廊下の通路と、部屋があるのみなのですよ。

 特に今の我が主の財政は、大変に厳しくて。奉公人やメイド達の給金を出すのも厳しい状態なので。奉公人の人数の方も整理をしたばかりなのです。

 だから只今は私達は少数精鋭で、この城の中を切り盛りしているのですが。

 と、まあ、そんな訳ありですから。本来ならばここに警備兵を置くのが正解なのかも知れませんが。そんな余裕はありません、いつ他の領主や野党等が攻めてくるかも解らない状態ですから、この領地は。

 だから普通の兵や、それを束ねる騎士などは、領地警備と治安用に割り当てるのが精一杯で。この部屋の前までは人数を割けきれない状態の、貧乏な我が領主様なのでよ。

 まあ、そんな感じの我が主のお城ですから。この廊下にしても、夕刻過ぎれば誰も通らなくなります。だから大変に不用心な訳でして。先ず侵入者が忍び込んだとしても、多分誰も気づかないと、思うぐらい? 不用心なお城なのです。

「ラフィーネさま、姫様の反応がないようですが?」

「えっ? あああ、そうですね、エル──姫様、もしかして寝ているのかも知れませんね? 貴方達本当に、姫様の部屋から男性の声がしたのですか?」

 だって先程と、いうか、まあ、お時間の方は幾度か経ちましたけれど。私は姫様と部屋で一緒にいました。
それに退室後も幾度も私が警備兵の代わりに、この廊下何度も歩き、警護していたので。曲者が侵入する事はまず無理だと思うのですが?

 特に先程も述べましたけれど。我が主は大変に貧乏で、借金地獄なのですよ。姫様本人の体も差し押さえられているくらい貧乏な訳でして。

 だからこの真っ直ぐな廊下には、昔のような飾りの花瓶や飾り鎧。彫刻等も差し押さえでなくなりましたから。ここまでくるにも、隠れる場所も無く。侵入者が歩いていても、私が直ぐに気づくと思うのですが。

 まあ、そんな訳ですから。夜間勤務のメイド長代理をしてもらっている。エルに尋ねたのですよ。

「本当に姫様の部屋から男性の声がしたのか?」

「はい、間違いないと思いますよ、ラフィーネさま。つい先ほどまでは確かにしていました。私以外の者達にも聞いてみるといいですよ?」

「う~ん、そうですか……じゃ、他の者達も聞いていたのですね、男性の声を?」

「はい、エルだけではなく。私や玉も聞きました。男性の声を」

「はいにゃん、聞こえたから。エルをここに置いて。あたしと、ミルフィとで慌てて、ラフィーネさまを呼びにいったにゃん」

「そ、そうですか……じゃ、私達がここに来るまでの間に。ドアを開けて逃げるといった事は出来ませんね……ではやはり、この部屋の中には、男性がいるのかも知れませんね?」

「はっ、はい。たぶん……?」

「ええ……」

「う~ん? う~ん? う~ん……あっ?もしかして、姫様。男を連れ込んで。逢引きをしているのかも、知れないにゃん?」

「「「あ、あっ、逢引き──!」」」

まあ、こんな会話をして、姫様の部屋に、男性がいる? いない? を話し合っていた私達ですが。
最後には、言い出しっぺの玉以外の女性達──私も含めてですけど、声がそろってしまいました。余りにもビックリして。

 だって、た、玉が、姫様が逢引きしてるとか述べるのですよ。
それも年上の私でさえ、そ、そんな経験など、まだ無い状態で。
特に私は姫様とは母が違うだけの姉妹なので、小さい頃よりお世話をしてきました。

 まあ、そんな複雑というか、貴族社会には良くある話しですから気にはしませんが。
取り敢えずは、そんな事情も含めて、妹の姫様に良い人出来たら分かりますし。それに姉の私には姫様も内緒で教えてくれると思うのですよ?

 だ、だから何かの間違え?

 男の声は気のせいですよ、多分?

 異母姉妹ですけど。私の方が本当ならば姉です!

 だから妹に殿方を先越されるのは流石に辛いです……

「わっ、はははははは……(笑)」

「あ、あの~どうかなされましたか、ラフィーネさま? 」

「えっ? い、いや、なんでもない、なんでもないよ。うん。私は大丈夫だ! それよりもどうした、エル? 浮かない顔をしているが。他にも何かあるのか?」

 と、とにかく、姫様の逢引きの件を考えると。私は口惜しさの余り、笑って誤魔化すしかないのですよ。

 だって先程も述べましたけど。

 異母姉妹なのです。私と姫様は。

 本来ならば私が姉で、歳の方もかなり離れているのですよ、姫様とはね。なのに姉が歳の離れた妹に男性の恋愛などで、先越されると本当にで辛いです……

「い、いや、あのですね、ラフィーネさま……先程までは、何度か姫様の憤怒した怒りの声が聞こえてきてたのに。今は妙に静かですから、もしかして中で口論になって、もう姫様のお命がないから、静なのではないですよね?」

「えっ? 口論していたのですか、姫様は?」

「はい……その時は、男性の声も聞こえてました……」

「う、うそ、それを早くいいなさい!貴方達は……」

「あっ、あああ、すいません。ラフィーネさま……ついついと言いそびれて……本当に申し訳ございません……」

 ど、どうしよう? まだ間に合うかしら?

 エルも、もう少し早く教えてくれれば良かったのだけど……

 まあ、人に自分の落ち度を押し付けてもダメですよね。ついついと、玉の夜這いの言葉で、気が動転した私もいけなかったのだから。

『よ~し! 』気を落ち着かせよう。私はこの領地の武の要なのだから。

これぐらいの事で気が動転してどうするのよ!

 それに姫様……

 いやいや、妹のシルフィールは、魔法が得意だから。そう簡単には死にはしない筈。だから中で生きているはずよ。

『よ~し!このまま扉を破り中に突入するわ。私はいざ行かん──!』と、心の中で気合を入れました。

「貴方達は後ろに下がっていなさい。ドアを剣の魔法弾で破りますから!」

「「「はっ、はい。分かりました!」」」

 三人の声、聞きお終えると。私剣に気を貯めます!

 その後は私は、剣に貯めた気を放出して、扉へと突進して破りますよ。

 どうか私の可愛い妹よ、生きててくださいねと、願を込めて……


 ◇◇◇◇◇

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