幼馴染みの少年
シスターとの話を終えて部屋を出た私は自分の部屋に戻った。
部屋と言っても5、6人の集団生活。
因みに男女は分かれている。
「リリィ、何の話だったの?」
声をかけてきたのは『アンヌ』、同い年の友人だ。
「養子の話が来たんだけど断っちゃった。」
「えぇ~ッ!! 勿体無いじゃないっ!!」
「良いのよ。相手は貴族様よ。私には不似合いよ。」
「貴族だったら余計に勿体無いよっ!! 綺麗なドレス着て美味しい食事を食べて素敵な王子様と恋に落ちて・・・・・・。」
「私はそういうの興味ないから。」
私もアンヌみたいに夢見ていた事もあった。
まぁ実際そういう経験もした。
その結果が処刑という最悪の事態だったんだから、もうそんな夢はみない。
早速、私は行動を開始した。
やって来たのは『図書室』だ。
まずは知識を頭に叩き込まなきゃいけない。
私は王妃教育を受けたが途中でギブアップした、という苦い経験がある。
今からだったら遅くはないはず。
国の事について勉強しよう。
後、魔法が使えるのなら魔法も覚えないとダメだ。
これも全ては私の未来の為だ。
「あれ? リリィじゃないか。」
その声に私はビクッとなった。
「ジ、ジャン・・・・・・。」
「どうしたんだよ、人の顔を見て。」
「う、うぅん・・・・・・、なんでもないの。」
声の主は『ジャン』、同い年の少年だ。
「ジャンこそどうしたの?」
「剣術の本を探しに来たんだ。自己流だとやっぱり限界があるからな。」
ジャンの夢は騎士だ。
剣一つで大成したいそうだけど、私は知っている。
ジャンの夢は叶う。
反乱軍の騎士として・・・・・・。
私はジャンの手により処刑されたのだ。
あの時の憎しみやら悲しみがこもった瞳は今でも忘れられない。
「リリィこそどうしたんだよ? 普段はこんな所に来ないのに。」
「うん・・・・・・、勉強しようと思って。」
「えっ!? リリィがっ!? 嘘だろっ!?」
この瞬間ジャンの顔面にグーパンチをお見舞いした私は悪くないはずだ。