バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

24話 炎上事件

 中条も去り、5人に戻った。勝手に話を進めたが、学校編入は美優が新入生からで、瑠偉が2年生からになる。そこで、テナのサポートをしてもらう事になっている、さすがに本人の前では嫌とは言えないだろう。

「学校の事だが、美憂はテナと新入生で、瑠偉は2年生に編入だな。美憂はもう一回1年生をやることになるが、テナのために我慢してくれ。テナには、なるべく長い学校生活を、楽しんで貰いたいからな」
「そう言う事なら、仕方ないな・・・」

 美憂はテナの方を見ながら、何かを確認する様に了承してくれた。美憂と目が合ったテナの表情からは、いつも通り何も感じられなかった。

「私は、皆さんにお任せします」
「じゃあテナよ、早速体を作るかな」

 俺は立ち上がり部屋から立ち去ろうとすると、横で麻衣が袖を引っ張る。会話の最中は横に居て気づかなかったが、上から麻衣を見下ろすと胸部の頂点が若干盛り上がっていた。
 これはもしかして、ノーブラなのか? サイズが合わなくなったのか・・・
 少しだけ責任を感じるので、後でナノマシンの服を与えてやろう。

「あの~、その前に私は、どうして謹慎なの?」
「麻衣は、顔バレしているだろ? この浮遊都市の内部情報は秘匿にするからな」

 戦闘の前に報告を聞いただけだったので、麻衣の炎上ブログの内容を見てなかった。公開されていた時間で、浮遊都市の内部情報が、どの程度漏れているか確認しておくか
 場合によっては関係者に、記憶操作をしなくてはいけない。

「ララ、麻衣のブログ炎上の内容が知りたい」
「46年前に行方不明になった、飛行機墜落現場の写真が掲載されておりました。そこに麻衣様も映っております。47年前のある事件で、炎上を起こした人物と顔及び胸の大きさが、似ている為、同一人物ではないか? と言う憶測が飛び交っております。現在は、ネットで未来人では? と言う話題で、お祭り騒ぎです」

 47年前のある事件が気になるが、浮遊都市の情報は漏れていないようで安心した。隣で「えへへ、有名人」と言う小声が聞こえた。やっぱり反省と言う言葉を、何処かに忘れてきたようである。夜にきっちり教育をしておこう。

「どうせ日本人なら、1年も経てば忘れるだろう? と言う訳で麻衣は1年後に美憂と同じ学年な?」
「えぇ~、いまいち納得いかないだけど・・・」
「麻衣は、少し反省した方がいいぞ。交通事故現場でピースサインと・・・あとは、火事の家の前でもしていたな」

 美優が麻衣の発言を遮る様に話しかけた、座高の高さもあって、かなり上から目線だ。

「謹慎でいいんじゃないですか? 歳も取らないことですしね!」

 どうやら瑠偉も賛成の様である、しかし冷たいな、過去になんかあったのか?
 しかし、事故現場でピースサインか・・・なるほど、これがバカッターってやつか。
 今後はここの情報が漏れない様に、こっそり通信監視をしておく必要がある、あとでララに頼んでおこう。

「それじゃあララ、そういう感じで戸籍を作って、中条に連絡しておいてくれ」
「了解しました。あと、住宅等の資金はどう致しましょうか?」

「中条から討伐の報酬を、貰う事になっていたはずなので、中条から適度に頂いてくれ。
 それを元手に投資とか、その他の何かで効率的に増やしてくれ」
「その他の方法ですが、仮想通貨のクラックを終えております。最悪それで増やせますが?」

「え、もうそこまでやってるの?」
「地球上のスパコンを含む、全てのコンピューターの能力を足しても、その処理能力は私には遠く及びません。もう、なんていうか余裕です」

 そうだったな、地球とは4万年ほどの科学力の差がある。24時間休みなく稼働し続ける自我のあるAIそして、その計算能力は、もう埋められない差になるだろうな。

「よし、資金面は任せた。但し、地上の連中に感づかれっるなよ? ほどほどにな」
「了解しました、ほどほどで辞めておきます」

 ではテナの体を作るか、まずは麻衣、瑠偉、美憂のDNAデータを参考にして、俺の中にある地球人の構成データから合成しよう。

「「「痛いっ!」」」

 3人から同時に髪の毛1本を頂くと、声が揃ったハモニーが聞けた。そして一斉に俺を睨んでくる、絶対に俺がやったとは限らないのに、直ぐに俺を疑うのは辞めてほしいなホントに。

「では君たちのDNAデータを元に体を作ってくるから、テナは準備しておいてくれ」
「それって・・・」

 瑠偉が何やら不満気味の表情をしている、ここは何か言われる前に押し切るか・・・

「君たちのDNAデータを元にすると言う事は、姉妹も同然ってことだ。姉妹なら、助け合うのは当然だよな? お前ら頼んだぞ!」
「なんか、うまい事まとめたわね」

 俺は立ち上がり、なにやら言いたそうな3人の顔を拝みながら、テレポートで姿を消すのであった。

しおり