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第18話 二次試験

 午前9時、一次試験合格者が広場に集まっていた。総勢24人。この中から4人が王国祭へ警備人員として行くことが出来るのである。

「集まっているようだな。では、これより二次試験を行う。二次試験の試験内容はいたって単純。東に広がる森。そのどこかに小さな祠がある。その祠にある、札を取ってくるのだ」

 東に広がる森とは、イクトが倒れていた森である。
 今回の試験は簡単なようにみえて、かなり難易度が高い。それは、木々が鬱蒼と生い茂っており、一度足を踏み入れれば下手をしたら二度と出てこれない森だからである。

「仮にこの試験を諦めるのならば、これを使いなさい」

 そういってシルバーが渡してきたのは、信号弾であった。

「制限時間はなしとする。この試験の合格者は先着で二組。4人のうち誰か一人でも欠けている場合、ゴールしても合格とはしないので注意するように」

 シルバーが札を用意して、その札を取るように指示された。
 シルバー曰く、一見簡単即に見えるこの試験だが、森には魔獣やらモンスターやらが住み着いているので気を付けるように、とのことである。

「モンスターに会ってしまったらどうするんですか?」
「各自に任せる。では、そろそろ時間だ。始めるとしよう」
「負けねーぞ」
「ふんっ」
「では、二次試験開始!」

 シルバーの声と信号弾の合図により、試験が始まった。
 二次試験へ参加しているのは一次試験合格者の24人。1チーム4人の計6チームが参加している。
 各チームにはそれぞれ、司令塔となるリーダーが一人いる。イクトたちのチームはイクト、メイビス、ローグ、アスカのいつもの4人組である。リーダーはイクトが務めることとなった。
 一斉に6チームは森に駆け込んだ。この試験に合格するには3つの条件をクリアしなければならない。
 1. 札を取って帰還すること
 2. 全員揃った状態で帰還すること
 3. 先着2チーム以内であること
この3つである。
 この試験は、森にはいる際、6つある入り口から入る。どこに出るのかはわからないため、完全に運となる。
 試験開始とともに配られるものがある。それは、地図と信号弾である。地図は簡易的なもので、チームメンバーの位置と出口と札の位置が描かれている。

「暗いなぁ」
「陽の光がここまで届かないみたいね」
「ここまで真っ暗だと、迷子になりそう」
「初めてこの森入ったけど、ここまでとはなー」

 イクトを含む4人は、三者三様の感想を漏らしていた。
 この、暗い森の中ではいつモンスターや敵チームと当たるかわからないため、慎重に進む必要があった。しかし、それと同時に迅速に進んでいかなければならない。

「誰にも会わないことを祈るしかないね」
「しかし、この地図。大体の方向しかわからないんだね」

 参加者に渡されている地図は、魔法の地図の一種で、札の位置は地図中央に固定され、ゴールは地図の端で固定され、チームメンバーだけリアルタイムで反映される。むろん他の参加者は地図に反映されない。さらにこの地図は地形を考慮されていないため、地図通りに直線距離で進んでも必ずしも札のある場所に辿り着けるとは限らない。

「どう? ローグ」
「ダメだ。上が高すぎる。魔力のコントロール範囲を超えてしまう」

 魔道士が発動させる魔法にはコントロール出来る距離というものがある。魔道士は近距離で戦闘を行うことがほとんどなため、あまり知られていないが、主にコントロールを必要とする魔法、例えば、属性人形(ゴーレム)やローグの使う土の鷲(ランドイーグル)などは範囲を超えるとコントロールが出来なくなり、その場で動作を停止する。範囲内に入れば再び動かすことは可能である。ただし、例外も存在する。
 それに対して、魔方陣を用いて発動させる魔法にはコントロールの有効範囲というものは存在しない。これは、そもそも魔方陣魔法そのものにコントロールを必要とする魔法がないからである。ちなみにだが、自分自身や他者に作用する魔法、付加魔法(エンチャントスペル)は、有効範囲から出ても問題はない。

「上からなら道がわかるかと思ったんだがなぁ」
「焔で木々を薙ぎ倒して行くってのは?」
「火事になったらどうする。普通に怒られると思うぞ」

 アスカの魔法は、焔の魔法である。自称焔の錬金術師(フレイムアルケミスト)であるが、錬金術の腕はメイビスの次くらいに下手。

「ん? 止まれ!」
「ど、どうしたの?」

 ローグが足元に足跡を見つけた。人のそれとは明らかに異なるその巨大な足跡は、イクトたちが進もうとしていた方向に延びていた。

「でかいな。メイビスの身長と同じくらいあるんじゃないか?」
「誰が小さいって?」
「いや、言ってないし!?」

 メイビスが頬を膨らませながら涙目でこちらを睨んでいた。

「しかし、困ったな」
「ああ」
「進行方向にモンスターがいる可能性があるのか」
「ま、迂回するしかないよね」
「だな」

 足跡を追って進むのではなく、足跡から右の方へずれてから再び中心へ進むルートを選択した。

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