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50話 帰還そして・・・


 眼下には浮遊島が円状に固まって広大な陸地が広がっている、遠方には地平線も見える。
 空には恒星が真上にあるがかなり光量が足りないようで、浮遊島を照らしてはいるが薄暗く夕暮れ時の景色を見ているようだ。
 銀の球体に触れリヴァララに話しかける。

「どうやって移動させよう? アドバイスを求む」
『浮遊島下部にワームホールを作成し浮遊島を下へ移動させる方法がベストな選択です、浮遊島を横へ移動させるより落下させるの方法が移動速度が速いのです』

「よし、アドバイス通りにやってやろう。俺が先に出るから浮遊島の移動を任せる」
『お任せください』

 浮遊島の下側にテレポートする、当然恒星の陰になり暗闇であった。
 リヴァララに現時点での地球の座標の情報を貰いワームホールの作成に取り掛かる、力を集中しまず小さい穴をあけるするとそこから光が入ってきた、どうやら地球側は昼間のようである。

「昼間の場所に移動か・・・これはかなり目立つな、リヴァララよ浮遊島の保護を頼む」
『了解しました、物理防御シールドの展開を行います。戦闘態勢は整えますか?』
「基本はこちらから攻撃はしない、完全防御のみで頼む」

 さらに力を流し込みワームホールを大きくしていく、ワームホールから漏れ出した光は浮遊島の下部を照らし始める、光の穴は徐々に広がるスピードを上げて一気に浮遊島全体を覆いつい尽くすほどに広がる。

 光の穴の先を確認すると白い靄のようなものが見える、どうやら雲の上か中に出る様である。

「リヴァララ、浮遊島の移動を開始してくれ。俺は先に行って出現位置と安全を確認する」
『了解しました、移動を開始します』

 光の方へ飛んでいくが特に嫌な感覚もなくすんなり通過できた、後ろを振り返ると銀の球体はしっかり付いてきている。
 周辺は細かい霧に囲まれている、まずはワームホールの出現向きを確かめるために浮遊している力を切る、すると体は地球の重力に引き寄せられワームホールと反対側に落下を始める、これで地球側に向かってワームホールが開いていることになる。

 ワームホールを見ながら落下していると巨大な浮遊島が黒い穴から徐々に飛び出しているのが見えた、浮遊島はリヴァララに任せ現在位置を確認する。

 そのまま落下し雲を突き抜けると眼下には陸地が見えた、俺達は約6カ月ほどしか経ってないが地球では俺達が消えたから46年経過している。

「景色が激変してければいいのだが・・・」

 さらに降下し景色を確かめと一面茶色の大地にそびえ立つ岩山に巨大な英文字の看板があった、HOLLYWOODと出ている。

「アメリカ上空か……これは厄介な場所に出たな、いきなり攻撃を受けなきゃいいが……
 リヴァララよ移動が完了次第、全速力で西へ移動して陸地の無い海の上で停止だ」
『了解しました。しかし高速で接近してくる物体がありますが、撃墜しますか?』

 こちらからは攻撃しないって言ったはずだが、リヴァララさんは戦争を始めたいのか?
 しかし、アメリカ空軍は行動が速いな・・・と感心してる場合ではない。

「言ったと思うが戦争はしない、完全防御で頼む。では例の調査を早速開始してくれ、俺は部屋に戻る」
『了解しました。ナノマシンの展開を開始します』

 テレポートで部屋に戻るとテーブルに女子3人は集まっていた、テーブルには飛行機から持ってきた鞄が置かれている。

「喜べ地球に着いたぞ、今はアメリカ上空で移動が完了したら西へ移動する、そして太平洋の真ん中あたりで常駐する予定だ」

「そんな事はどうでもいいので、早く戻りましょう」
「そうだな、早く帰ろう」
「はやく、はやく!」

 彼女達は荷物を手に取り立ち上がる、発言と一緒に目でも早く早くと訴えかけている。

「わかったよ、とりあえず戻るか。ほら俺の体を触れ、東京にテレポートするぞ」

 俺は右手を出す、麻衣と美憂は素直に手を乗せるが瑠偉はかなり嫌な顔をしながら人差し指で触れる、まるで汚いものを触れるように……

 触れている部分から力を流し最初に体を浮かし、そのまま東京上空をイメージしテレポートを開始した。

 ……
 …

 テレポートを終え眼下には見慣れた高層ビル群が立ち並ぶ都市が見えるはずだった・・・

『警告します! 高濃度の放射線を検知しました。
 接近は危険です、繰り返します接近は危険です、速やかに都市までお戻りください』

 リヴァララの声を聴きながら下を眺める、窓ガラスが無くなった斜めに傾いたビルに骨組みだけのビル、住宅街はかつて見たような大地震後の大規模火災跡になっていて、道路のアスファルトは変形し割れている、その割れ目からおかしな形の雑草が所々に生えていた。

 電柱についている信号機は動いていない、そして人の気配は全くない。
 陸地の中央にとても大きな円形の更地が見えた、その円の中央は大きく窪んですり鉢状になっていた。

 放射線とこの現状からすると、核ミサイルかな?
 女子3人は呆然と下を無言で眺めている、そして俺を掴んでいる手に力が入るのが伝わった。

「お前ら、浮遊都市に戻るぞ・・・」

 そのままテレポートで浮遊都市の何時もの部屋に戻る、すると部屋全体に警告音がピーピーと高い音で鳴り響いていた。

「なんだ、どうした?」

 俺の後ろに付いてきている銀の球体に触れリヴァララに聞こうとしたが、銀の球体はそこには無かった、それと同時にテナが部屋に入ってきた。

「戻りましたか、リヴァララは休眠モードに入っています。
 緊急事態です、ガイルアのエネルギー反応を検知しました、地球に存在しているようです」

 荒廃した東京の姿を見た後で、この出来事。
 4人は訳も分からず無言でテナを見ていた。

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