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37話 最近の若者はパン派が多いそうです


「これはハンバーグなのか? 肉は無かったんじゃないのか?」

 テーブルを囲み4人で夕食の時間である、瑠偉は疲れた様子で少しずつ食材を口に運んでいる、麻衣と美憂は嬉しそうに笑顔で食べている。
 麻衣と目線があうとニッコリ笑顔をこちらに向けてきた、頼むから関係がバレない様にしてくれよ?

「お肉欲しいって言ったら、テナさんが用意してくれたよ?」
「なんの肉なんだ? 気になるぞ」
「鶏肉じゃないかな? 触った感触がそんなんだったし、おいしいから問題なくない?」

 聞けよ美憂、問題あるだろ? 食材も知らずに料理しているのか? 俺は爬虫類の肉は嫌だぞ。いや、この星に生き物居ないって言ってたけどなんの肉だ?
 後ろを向き球体に触る。

「リヴァララよ、これは何の肉だ?」
『植物性タンパク質を科学の力で肉に変えております、脂肪分は少ないですが味は保証します』
「そうか、ならいい・・・」

 この人工知能は味が解るのか? 疑問だらけなわけだが
 ハンバーグを口に入れ隣にある緑色のジャガイモ風の物体を食べる、そろそろ日本食が食いたい、俺は慣れ親しんだ味が無いと落ち着かない。

 テーブルを見渡すが彼女達は特に不満そうな表情は無い、こいつらは日本食が恋しくなってきてないのか? 全種類とは言わないが最低でも味噌汁が欲しい、味噌を作る為の発酵期間を考えるとすぐには作れないはずだが、そこは科学の力とやらでなんとかしてくれないだろうか?

「なあ、そろそろ日本食が食いたいと思わないか?」

「私はパン派です」と瑠偉は目線を俺に向けずにそっけなく答える
「私もパンだよー」と麻衣は俺を見ながらニコニコしている。
「私もパンだな、でもおかずの種類は多めかな朝練があるしタンパク質を取らないと筋肉つかないからね」

 全員パン派なのか・・・これが現代っ子なのか? せめて美憂はスポーツマンらしく御飯派だと思ったがパンなのか。

「残念ですね、多数決で日本食は却下です」と瑠偉が俺を見る、口元が若干笑っていてイラっときた。

「美優さん、なんとかならないですか?」
「そこ、なんで敬語になるわけ? 美憂、聞かなくていいですよ」

 瑠偉は過剰にイライラし過ぎだな。

「怒ってませよ? あと、セクハラ発言したら潰しますからね?」
「まだ、何も言ってないだろ!」

 なんだよ、今朝の3日目発言と通話のお願いしますを根に持ってるのか?
 まぁいい、今夜は女子3人と温泉に一緒に入れるからな、何年ぶりだろうな若い女性と混浴は…思い出せないな・・・楽しくなってきたぞ。

「なに、ニヤついているんですか? キモいんですけど・・・」
「若き乙女3人と一緒に温泉に入れると思うと楽しくなってきて、つい笑顔が」

「あ・・・ありえなんですけど・・・一緒なわけないでしょう、バカなの?」
「うん、ないない、絶対ない」

 瑠偉と美憂が激しく否定してきた、否定発言に乗り遅れた麻衣を見ると俺からそっと視線を外す。

「どうやって温泉の場所に行くつもりだ? 歩いては無理だぞ」

 ちょうど食事を終えた瑠偉が立ち上がり俺の後ろにある銀の球体に触れた。

「リヴァララさん、私たちが乗っていた飛行機をここに移動させたみたいな事は可能ですか?」
『可能です、温泉の場所まで転移が可能です』

「では、ではお願いします。あと兼次がここから動かない様に監視をお願いします、兼次に言われても映像の録画も禁止でお願いします」
『了解しました』

 一気につまらなくなったな、男女の共同生活なのに今日から一人で入浴か・・・と麻衣を見ると少し申し訳なさそうな顔を見せた。


 ……
 …

 食事を終え寛いでいると例の青髪の少年が入ってくる。

『それでは出発しましょう、私の体に触れてください』

 少年は発言するが音声はリヴァララそのものである、本当にどういう仕組みなんだろうな。
 瑠偉達は少年の体に触れると3人は姿を消した。

「なあ映像見れない?」と銀の球体に触れ話しかける。
『却下されております、辛抱してください』

 リヴァララさん誰の味方なのか? 昼間は俺に親身に接してくれていたのにな。
 椅子から立ち上がりトイレに向かう、扉を開けると・・・

「なんだこれ? ずいぶん先進的なデザインだな」

 男性用便器の下部に蓋の無い洋式便器がのかっている、便座を持ち上げようと手をかけるが動かない、どうやら固定されているようである。
 このまま立ってすると絶対便座にかかる、そして女性陣から苦情が来る展開だ、不本意だが座ってするしかないな。

 部屋に戻りベットで横になる、相変わらず上には銀の球体が浮かんでいる。

「映像を・・・」
『却下です』

 しかたない明日は麻衣で満たすか・・・

 ……
 …

「うぁぁぁっ」と温泉に浸かっている麻衣は突然声を上げる。
「どうした麻衣?」と美憂は心配そうに声をかける。
「なんか背筋に寒気が走った、これは何か嫌な予感が?」

 瑠偉は近くにいる青髪の少年に話しかける。

「リヴァララさん、兼次に「映像を」って頼まれましたよね?」
『ご安心ください、却下しました』
「上出来です、ありがとうございます」

 ……
 …

 ベットに横になっているといつの間にか寝てしまったようだ「兼次ちゃん、終わったよぉ」と麻衣が俺の体に触り起こしてくれた。

「ふー、退屈だったぞ?」
「私達に言われても困るんだけど?」と美憂は俺を見て困った表情をしている。

 そういえば夕食後にテナと話をするんだったな、色々と聞かないといけない、生命の事とか惑星の現状を含めて詳しく聞くぞ。

「リヴァララ、テナを読んでくれ例の話をしたい」
『了解しました、お呼びします』

「例の話って?」
「この惑星についてだ・・・まぁ、お前達も聞いておくといい今後の勉強のためにな」

 しばらくすると部屋の扉が開きテナが入ってきた。

「お待たせしました、始めましょうか」

 テーブルにあった4つの椅子の間に5つ目の椅子が床からせりあがりテナが腰かけ俺達も座った、4人用テーブルに5人は狭いのか若干窮屈である。

 テーブルを見渡すとテナと女子3人は密着しているが俺の両脇には隙間が空いている。

「若干突っ込みたい事があるが・・・まぁいい、始めようか」

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