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1話


俺は 私立手塚山学園中学校1年
名前は 天野 祐貴。
中学受験に失敗して、
滑り止めのこの学校に来ました。
でも、まぁこの学校でもトップなら
京杜大学にいけるでしょう。

何よりもこの学校の売りは
女子生徒が圧倒的に多い。
しかも、お嬢様!
今日は入学式、壇上で校長や生徒会長の
挨拶が終わると新入生代表が出てきた。

イギリスから帰って来た帰国子女で
ケンブリッジのトリニティを
10歳で首席卒業したらしい。
数学ミレミアム懸賞問題を解いて、
フィールズ賞の受賞も決まっているようだ。
オマケにお金持ち。
アーニャ・アンマリー・ハートシルトというらしい。
長くてプラチナブロンドの髪で
身長も高くモデルのようだ。

まぁ、あれは少し高望みが過ぎるか。
だが、成績優秀者はクラスが固まっているため
同じクラスになりそうだ。

「そこのあなた!」
流暢な日本語でなぜかそのハートシルト嬢に
声をかけられた。

いきなり女子便所に連れ込まれた俺は
混乱していた。

第一声はきちがいかと思った。

「私は あなたよ。」

はい?この人は何をおっしゃっておられるのですか?

「あ、あいあむ あ ぺん。」

日本語が理解できないのかと思い

小学校でたばかりで英語のわからない俺は
同じくらいむちゃくちゃなことを言っていた。

「私は ペンです。」

「私って、そういうジョーク言うタイプだったかしら?」
ハートシルト嬢はそう言って少し考え込んだ。

「あなた誕生日は2月22日?朝の5時に、
仮死状態で生まれた?赤ん坊のときに2回腸重積にかかってる?」

さすがの俺も驚いた。すべて当たっている。
どこまでリサーチしているんだとも思ったが、
世界有数の財閥の後継者が俺のことをそれほど
調べる理由が見当たらない。

俺の家は、どちらかといえば貧乏な一般家庭だ。
有名人などいない。
こいつの家は、ハックフェラーとならぶ
世界一の大富豪、英国の貴族だ。
騎士爵などではなく、本物のロード。

「学校には私から言っておくから、
これからちょっと私に付き合って。」

そうお嬢様はおっしゃられると、
自家用のベントレーを呼び出して
彼女の自宅へと向かった。

高級マンションだった。
10階建てで、ホテルのようなラウンジがあり
50人近い人が働いている。
目の前には緑地のような公園があり
ヘリポートや大きな湖があった。

「すごく高そうなマンションですね。」
俺は何気なくそういった。

「そうよマンションよ。あなたの言うマンションは
高層アパートのことだけど、ここは本物のマンション、
一軒家、大邸宅よ。」

「いっけんやー まじですかー。」
驚きのあまり、素でしゃべっていた。

昼食をご馳走になった俺は、
意外に純和食なのには驚いた。

「俺に何か用ですか?」

「私ね、未来から来たの。」
「もともとは 御門 祐貴という男性。
つまりあなたね。」

「絶望的な未来を変えるため、
ジョイ・ハックフェラーや
エブリン・ハートシルトと一緒に
この世界にやってきたの。」

「未来の知識があって、株や為替で常勝して
2京円儲けたとしても、大物と知り合いじゃないと
保身は出来ない。殺されるだけね。
タイムトラベラーなんてそんなものよ。」

「あなたいったいいくら資産あるのですか?」
俺は思わず聞いてしまっていた。

「株だけで4000兆円 世界の株式市場の
75%を支配しているわ。日本の土地バブルでも
儲けたし、プラザ合意もよかったわね。
220兆ドルくらいは持ってるわ。」

「ちなみに、世界の総資産っていくらくらいですか?」

「う~ん、現物に限っての地球の価値なら
430兆ドルくらいね。レヴァレッジ無しの。」
ハートシルト嬢は即答した。

「え~とつまりあなたは一個人で
世界の半分以上を保有していると?」

「そうよ、そして、ハートシルト家の娘として生まれ
育った。ちなみに220兆ドルは個人資産。」
「実家のハートシルトも50兆ドルくらいは持っているわ。」

「旧4大財閥と芙蓉グループも系列会社よ。」

「あのう、タイムトラベラーといわれましたよね?
つまり他人の実績とかを盗用している可能性も
あるのですか?」
俺は失礼だとは思っても聞いてしまった。

「そうね、私の論文 ホワンカレ予想は
ロシアの科学者がもっと後に書いたものだし、
フォルマーの最終定理も盗作よ。」

「あんた泥棒かよ。」
俺は憤慨した。

「少なくとも論文を書いて理解して議論できるだけの頭脳を
持ってから言って欲しいわね。君には。」
ハートシルト嬢は物でも見るような目で俺を見ていた。

「私のことは アーニャでいいわ。本名はグラツィアやハンナ
だけど、自分自身に苗字で呼ばれるのは、妙に不愉快だわ。」

「あんたが俺なんて信じられるかよ!」

「ふ~ん、私の立場であなたを騙す理由なんてないと思うけど、
ちなみに処女でも奪ってみる?」

「いえ、いいです。ほんとに自分自身だと気持ちが悪いので。」

「あ、っそう、まあ、いずれはあなたと子作りしないと
いけない理由があるけどね。私としても
人工授精と代理母出産を希望するわ。」

「男にまったく興味ないし。」

彼女はその後の世界がどうなったかを語ってくれた。
ハックフェラーもハートシルトも協力する理由があった。

そして、未来の俺、彼女以外は過去へのタイムトラベルを
コントロールできない理由も。

理解した、理解してしまった。
B 

次の日 学校では噂になっていた。
ハートシルトさんがチビでヨワムシな俺など
眼中にない、そういう噂だった。

「だいじょうぶ~だった~。」
同じ小学校出身で、登下校も一緒にしている
中村 美穂が話しかけてきた。

俺の家は母親が入院中で、
弁当も作る技術ないから、
学食で済ませるつもりだったのだが、
こいつの母親が気を利かせ、

「1人分も2人分も同じよ。」と
無償提供してくれている。

そういう負い目はあるものの、
ハートシルトが、俺自身でなければ
恋愛対象外だろう。
直接的に言えば、顔面偏差値だ。

帰りに、ハートシルトが送っていったことを
知っているため、なにやら心配しているようだ。

学力が、楽南レベルで、楽星なら
確実に合格といわれていた、
奈良で北大寺学園、出来立ての将来伸びるであろう
北大和学園、に次ぐ名門手塚山学園、
ちなみに北大和学園は無試験特待生でのオファーがあったが
母親が馬鹿にしていたため、蹴った。
ちなみに銅志社大学は白痴のいくところだと
親は本気で信じていた。

手塚山には入れたのが奇跡とも言える、美穂
とはスタート位置が違うのだ。

ハートシルトはどうやら、生後半年で日本語と英語がぺらぺら
3歳で高校レベルの学力はあったらしい。
そりゃ、時間遡行者だからね。
10歳でケンブリッジ首席とか、すごいけど
卒業したのは実質、中身は大人、
試験内容も予測できるいんちきだし。

フィールズ賞確実、IPSを泥棒してノーベル賞候補とか
まだ芽が出てない川中伸弥さんに謝れといいたい。
10歳でノーベル賞候補、フィールズ賞受賞とか
そりゃ、ケンブリッジも首席にするしかないだろう。

美穂がハートシルトに話しかけると
意外に好意的だ。
まあ、中身が俺なら、好意的なのも頷ける。

数十年ぶりの再会だろうしな。

「おかし~、たべる~。」
美穂はハートシルトにお菓子を勧めていた。

意外に単純だな2人とも、そう思い、
親のように見守る俺に美穂は、
「ちっ、」と舌打ちし、
太ればいいのに。などと呟いていた。

こいつは天然キャラではなく、演じているだけ?
しかし、お菓子を食べさせて太らせるというのは
かなり知能が低い発想だぞ。。。

知能は天然だろう。
演技でこの知能は怖いが、
なぜこの学校には入れたのかも謎だ。

「ハートシルトさんは帰らないんですか?」
俺はそう言うと、部活やる気いっぱいの
ハートシルトさんの帰りが遅くならないか聞いてみた。

「ぁあ、ヘ リ コ プ タ ーあるから、大丈夫。
それと昨日言ったけど、私はハートシルトじゃなく
アーニャね。」

寝小便漏らしてた時期、ばらすぞと
ありえない圧力をかけるアーニャに
美穂があんぐりと口をあけていた。

「えぇーっ、いつまでおねしょしてたんですか。
私も知らない。。。」

「ふ、ふたりは そういうご関係なのですか。」

どうやらこいつは本当に天然らしい。
うたがってすみませんでしたっ。

「あぁ、私、 男に興味ないから。」
爆弾発言やめてください。
実質の女子高で百合とか生きにくいですよ。









俺が子供達とアーニャが住んでいるマンションに
この場合、「一軒家の豪邸」の意味だが、
訪ねていくと、ドアを入ってすぐ、

「ぴっぴー。」
そう言うと3歳児らしい、
白い肌に、金髪碧眼の女の子が飛びついてきた。
あぁ、母親にそっくりなのですぐに気がついた。
アーニャの娘だ。
「おとーちゃん、どうしたですか?」
そう言うと女の子は、
俺のほっぺたに「チュッ」とキスをした。

俺の口は虫歯菌の巣窟らしく、
キスをしたくないようだ。
もう何を聞いても驚かないが、
小学4年生のときに
有能な人物の精液を集める
精子バンクに、精液を要求された原因は
これだったのか。

「どうした?セラピッピ。」
本名はセラフィーナだ。
苗字は聞くな。

セラピはお誕生日なのです!
プレゼントを要求するのです!

「いったい何歳になったのでちゅか?」
ほほえましい言葉を期待して聞くと、

セラピは真顔になって聞いてかえしてきた。
「精神的な年齢でちゅか?肉体的な年齢でちゅか?」

肉体的には3歳だよねたしか、精神的にはいくつなの?
つい興味本位で聞いたのだがすぐに後悔した。

「そうでちゅね、100億歳は生きています。」
ああ、君にとってはこの地球さんは、
まだまだ、若いのだね。うんうん。

おそらくこれは、子供特有の思い込みや、
冗談ではなく、事実を言っているのだろう。
母親であるアーニャも100億歳は生きていると
言っていた。どれだけ年寄りなのだろうか。。。

「にるにる~」
また子供の声が聞こえたので振り返ると、
にるにるがいた。
名前は「ニルヴァーナ。」

4男8女もいると、文字での書き分けが難しいので
おかしな鳴き声で話しかけてくるのだろう。

こちらは、白い肌で、銀髪碧眼の女の子。
アーニャから聞いた話では、子供はみんな
同じ年齢なので、やはり3歳だろう。

音楽とダンスをやっているらしいが、
人間の可能性を限界まで引き出したといわれる
踊りの神「マイカル・シャクソン」よりも
ダンスがうまい。

100億年以上練習する存在には
ダンスの神でも勝てないようだ。

しかも未来の天才の振り付けや楽曲を
盗作しているので、すごいレベルだ。

「りんりん~」
この子は頭脳も3歳でケンブリッジのトリニティー
を卒業しているレベルなのだが、
驚くべきは、その身体能力だ。

無論、3歳なので制約はあるのだろうが、
反射神経や動体視力は人間のものとは思えない。

しかも体力的にも、3歳にして平均的な小学6年生より
上だ。50メートルを7秒台で走る。
転移する前は、100メートル10秒前半だったらしい。
100m・200m・400m・800m・1500m
のオリンピックのメダリストだ。
800mと1500mは世界記録を保持していたらしい。
未来の世界でのだが。

あだ名は「みのりん」本名は「実乃梨」だ。
赤髪・赤目のアルビノ種だ。

「えりりぃ~」
この子は「絵梨」、あだ名も「エ リ ィ」だ。
得意分野は特にないが、
オールマイティーに何でもこなす。

華道や茶道で、教授になっていたりする。
本来この年齢ではなれないのだが、
未来では100億歳以上の年齢だったので
コ ネ もあって、なっていたりする。


気が弱いのか、遠目から泣きそうな目で
こちらをじっと見ていることがおおい。
栗毛で、瞳は茶色、髪は腰辺りまである。
肌は透き通るように白い。
なぜか夏でも厚着だ。
姉妹の中で最も性格の良い女の子だ。

「・・・・・」
無言で立つ、武士のような女の子がいた。
流れるような黒髪で、目も黒い。
どうやら、日本人の俺の血が濃く出たようだ。

100億年、剣道を主に武術をやっているらしく
同じ道場の、練成大会の優勝者を、
三歳で完封したらしい。

おそらく小学一年生になれば、
中学三年の体格でも剣道の経験が10年くらいの
若輩にはまず、負けないだろう。

名前は「桃華・ももか」どこかの五摂家のような名前だ。

ほかの女の子3人は外出中だ。















男4人は、サ ッ カ ー と野球をやっていて、
その世代の日本代表になっている。
個人のスキルはすごいのだが、
練習しないと肉体になじめないらしく、
我が子供達は全員非常な努力家だ。

しかし、おれは怠け者で、能力も低いのに
この子供達の中身は、俺、「天野 祐貴」と
同じ人物なのになぜこうも性質が違うのだろう。
別世界での「俺の人格」をこの世界に連れてきたのが
子供達の精神だ。

つまりおれ自身ともいえる。
時間遡行の法則上、おれ以外のコ ピ ーは
複製できないからだ。

なぜなら、タイムマシンの理論提唱者が「卵」で
宇宙創世が「鶏」だ。
卵を消すと、宇宙が存在できない。
故にそういった改変は受け付けないのだ。
もちろん理論提唱後に殺すことはできる。
その場合、俺、「天野 祐貴」が生まれた時点より
前の時空間には移動できなくなる。
因果律というやつだ。

ア ー ニ ャ ・ ア ン マ リ ー・ハ ー ト シ ル ト の祖父は
ガ ー ・ ハ ッ チ ル ドと言って、
ナ チ ス と戦った、軍歴があり、
テ ロ リ ス ト に息子が人質に取られたとき、
自分と入れ替わることを提案し、
見事御用にしたことがある人物だ。

ジ ョ イ ・ ハ ッ ク フ ェ ラ ー や ジ ョ ー ジ ・ プ ッ シ ュ シ ニ ア との
仲は良くないが、英国 ハ ー ト シ ル ト の ジ ョ イ コ ブ などは
デ イ ビ ッ ド ・ ハ ッ ク フ ェ ラ ー とは交流があるらしい。

ちなみに、デ イ ビ ッ ド ・ ハ ッ ク フ ェ ラ ー は
未来では死んでおり、息子を連れてきて
生き返った事情を、説明しまくったらしい。

ジ ョ イ ・ ハ ッ ク フ ェ ラ ー や プ ッ シ ュ シ ニ ア、
ス テ フ ァ ン ・ ベ ク ト ル 、エ ル ザ ベ ス 女王、
ア ー ニ ャ の 親戚の ジ ョ イ コ ブ ・ ハ ー ト シ ル ト や
ア ー ニ ャ の実父の ダ ビ ド ・ ハ ッ チ ル ド は
時間遡行を知っているらしく、
協力関係にある。
言ってしまえば、未来人だ。

おれ、「天野 祐貴」は不老不死理論の
提唱者であり、特許庁やネイチャーのデータベースに
掲載されている。

「褐色脂肪は人間の電池である。」と言うことだ。

この家は、豪邸で、第1種住宅専用地域にも関わらず、
地上10階地下3階の構造物が中央にあり
、面積も皇居より広い。

強化ガラス張りの屋内に、帝国ホテルのような配置で
家具がおいてある。
なぜか、80年代において、
各部屋にインターネットが完備だ。

祖父の「ガー」は ミ ッ テ ラ ン 政権時代、
かなりの財産的損失を喰らっており、
アーニャが220兆ドルのプラス資産を
持っていることを知ると、
金を貸してくれとうるさいらしい。
当然、一般人である俺との結婚には反対だが、
子供が4男8女いると知ったら
あきらめたようだ。

アーニャはプラザ合意の直前に、
100兆ドルを日本円に変えており
ひたすら土地に投資しまくっていた。
そして、1988年になったら全て売却した。
バブル崩壊で日本企業が資産を円に変えて、
資本強化したため、急激に円高になったが、
アーニャが円を売りまくり相殺した。

隣の大韓民国では、小さな家電メーカー
四星という企業に買収を仕掛けたようだ。
信じ難いが、将来、巨大な世界的企業になるらしい。

ネット産業は独占状態だ。

ドライブスルースーパーマーケットなども
経営している。
コールセンターに電話し、倉庫型店舗に
商品を用意し、自動車で来て積んでもらい、
カードで自動決済するシステムだ。
万引きや強盗もできず、
陳列、清掃、接客、レジが不要で、
初期費用が安いため、コンビニのように、
フランチャイズにできる代物だ。

著作権はこの作品の著者が持っているため
そのまま書いた。当然引用元は自分だ。



アーニャの大豪邸はここらでも有名なのだが、
遠くから見に来る人までいる。

料亭や有名ステーキ店キャットギャングから
調理人を招いている。
ラトールとかは有名な高級店だが、
味はいまいちらしい。

俺なのだから当然だが、
アーニャは俺の兄弟を招いて
一緒に食事をしている。

正直、母親が入院中なので
非常に助かっている。

残りの3人の女の子の一人は、
非合法活動に従事しており、
ペルシャのフリーメーソンのメンバーだ、
ダイレクトに表現すればアサシンギルドだ。

これは仕方のない自衛行為で、
中国の八龍やコーサノストラを支配しているのが
フリーメーソンで、
アーニャが異常に金を儲けるかたわら、
敵も多く作っている。

ボスの胡金濤とは知り合いなのだが、
内部に娘を入れて、監視しているようだ。
まだ3歳だから、怪しまれてはいない。

日焼けした褐色の肌で、髪の毛はプラチナだ。

名前は「佳奈」という。


アーニャの学術研究を手伝って、
大学の研究所で勤務しているのが、
「真奈」と言う娘だ。

褐色の肌で、髪の毛はブロンドのツインテールだ。



もう一人は漫画家で、アナログ全盛の時代において
フリップスタジオを開発し、
実質的には盗作行為で有名になっている。
代表作は「ハンピース」と「名探偵カナン」、
「ピカットモンスター」だ。

部屋は広いので、アシスタントを入れられるだろうが
他人が家に入るのは禁止に近いので
ネットでデータを共有して、作画作業をしているようだ。

髪は黒いが、いつも頭にタオルを巻いているため
ぺたっとなっている。
娘は全員、家に毎日来るヘ アス タイリストが
いるので、その人に髪型は任せているのだが、
こいつだけはいつもタオル頭だ。

名前は「彩華」という。


家が建っているところが、やや坂になっているので、
食事をするラウンジは、地上2階部分に当たる。
全面強化ガラスで覆われ、4人掛けの、
テーブルと椅子が複数ある。

そばには、針葉樹が植えてあり、
土を焼いているのと、農薬のせいで、
虫とかはいない。

天井は高く、地上5階部分に相当する位置で、
10メートル以上ある。

テレビやパソコンは各部屋にあるため
ラウンジにはない。

ジャグジーやトイレも各部屋についている。
部屋の大きさは一部屋1000坪、
3300平方メートルだ。
家の敷地に対して、かなり狭い様子だ。


子供達は、全員がケンブリッジ大学トリニティ卒業で、
大学院卒相当だ。
小中学校は日本では義務教育なので行くしかないが、
学歴的な意味は特にないだろう。


紅茶に、コニャックを入れて飲んでいると、
「あばあちゃんだ~。」と娘たちが、
きゃっきゃっ、と寄っていく。
アーニャの母親でも来たのかと思ったが、
フランスに実家があるので、事前に連絡があるはずだ。

案の定、おれのお袋だった。
子供たちは、100億年分の経験を蓄積した
おれ自身なので何の問題もない。
アーニャも同じだ。

心の動揺が最も激しいのはおれだろう。
アーニャからは、以前の世界では母は死んでいたと
聞かされていたからだ。
それ以来、親子関係が少しぎこちない。

さすがに俺の家でも、10歳で子供を作って、
中学1年生で4男8女の父親だと言う事実は
すぐには受け入れられず。
DNA検査などを経て今に到っている。

一般人であるおれの家族は、ハートシルト財閥の
令嬢だから金持ちなのだと思っているが、
なぜおれに惚れたのだろうかと、
非常に不思議に思っている。

子供はいるものの、13歳では結婚できないので
非嫡出子となるはずだが、
ハートシルト家の威光で、きちんと戸籍は
作られていた。


セラピがいつものように磁石にくっつく砂鉄のように
近寄ってくる。これはこれでうれしいのだが、しかし、、
「ぱぴー、あいしているでちゅ@ぴっぴはおとしごろなのです。
おなかがきゅんきゅんいうのです。」

「いや身体は三歳だから、それはないと思うよ。」

「まみーは 今度タイムトラベルしたら、
ぱぴーは「アンドルー・コーブルグ・ゴーダさん」の身体に入って、
まみーのニャーニャ・ハートシルトと結婚して、
生粋のイギリスっ子を産むのです。」

「たぶん、人工授精と代理母出産で。」

「そしたら、セラピは、パピーと結婚できるのです!」

「はやく、死ぬのです。ぱぴー。」

幼児顔をした、アーニャのミニチュアはなかなか蠱惑的だ。
実の娘でなければ、変なことをしそうになっただろう。

「せらぴ、パピー以外の素敵な男性を見つけるのでちゅ!」
俺はそう言ってセラピを説得していた。

「奴のような奴はダメでちゅ!」せらぴは弟である「しぐま」
を差していった。
外見は、チャーリー天使にでて来る「ジャック・シェイダ」
そっくりの外見で、というより未来の遺伝子操作で
無理やり作ったのであろう。
滅茶苦茶、美形な男の子だ。
俺の遺伝子をどう改変すればこうなるのかマジで知りたい。

「やあ、とうさん。」

どう見ても人形にしか見えない。
検索サイトのゴーグルで「美少年」で検索するとトップに出てくる、
ジャック・シェイダに瓜二つだ。
しかもこいつは髪型も適当、メイクもしていない、
なのにそう見える。

「おまえ、3歳でいったい何人の女を泣かしたんだ?」
おれは冗談半分でからかってみた。

するとシグマは真顔で、「おれは女の子を泣かしたことなんて無いよ。」
「喜ばせているだけさ。」
ラバー・フェニックスという俳優が子供時代ピーなことを
していたらしいがこいつもか?と思った。

父親であるおれが、○貞なのに。。くっ。

おれは敗北感を感じていた。

「パピーのチェリーはぴっぴがもらうです。」
セラピはそういうがおれはそんな変態趣味は無い。
というか娘なのを身体も感じるのか、何の欲望もわかない。
やはり、ニャーニャとやるしかない。
完全レズで、中身おっさんなあいつを攻略するのは
火星の最高峰オリンポス山を登りきる以上に困難だろう。
だが息子に負けていてはいけない。
しかも、ニャーニャは浮気したら、半殺し以上は確実だろう。
命がけだ。

「ふう、今日も走った走った。」
3歳なのに毎日ハーフマラソンと筋トレを欠かさない
赤髪の少女は3女 みのりだ。セキュリティーパーソンの顔は
青ざめているというより、土色だ。
スーツと防弾チョッキを着ているとはいえ、
30才前後の元軍人がこれほどへばるとは、
いったいどんな走り方をしているんだ。
おそろしい。さすが元世界記録保持者だ。

「みのりんは、おとおさんにあまりなつかないんだね。」
遠慮がちに俺がそう言うとみのりはこう返してきた。

「う~ん、私は走るのが好きだし。お父さんも好き。
私は走ることぐらいしか能が無いから、走ることを極めようと思うし
それがみんなを元気にできたらいいな。」

いい子だ。まっすぐだ。ある意味走っているから、煩悩が無いのか。
佳奈と真奈は日焼けするようだけど、みのりの肌は赤くなっている。

「日焼け止めローションとか塗ったほうがいいぞ。
皮膚がんになったら大変だからな。」
と俺は言った。

「そだねー。明日から塗るよ。お父さんありがとう。」
みのりは、はにかみながら少し恥ずかしそうに去っていった。

いい子だー、まっすぐだー。

「お父上、おはようございます。」
そう土下座しながら挨拶をしてきたのは、
5女 桃華だ。

どうみても、日本のお辞儀ではなく、土下座なのだが、
繊細な子なのでそれには触れずにおく。

「どうしたんだ、ももか」
そう問いかけると、
「京の伏見で、美味しいお菓子を手に入れましたので、
一緒に食べませんか?」
桃華は言った。

「それなら、えりぃ に頼んで お茶でも点ててもらおうか。」
桃華がそれに同意すると、おれはメイドに えりぃを呼んでもらい
3歳で唐物になった実力を見てみることにした。
ちなみの建物の一角に嵐山のような竹林と茶室がある。
ニャーニャは日本庭園を造りたかったが、えりぃが固辞したようだ。
わびさび というやつだろうか。

「えりぃ、おいでー」

「おとうさまー、おとうさまー」

昨日あったばかりなのに、数ヶ月振りにあったような反応だ。
兄弟姉妹が多いと逆にさびしいのだろうか。
ああそうか、家は狭いからスペースを取り合って
喧嘩になるくらいだけど、娘たちの家は大型ホテル並みの広さがあるから
部屋が、高級マンション並みなのだ。磁気カードで施錠もできる。

なるほど、一人暮らしをしているようなものか。

おれは一人納得しつつ、下を見てみると、
えりぃ が少し離れたところに立っていた。

「えーと、このお菓子珍しいですね。見たことがありません。
どこで購入されたのですか、桃華?」

「・・・・」

いちおう、えりぃは桃華の姉である。
10日違うだけだが。
何度も言うが、人工授精と代理母出産だ。

「こ」

「えっ?」耳を澄ませていると桃華がボソッと言った。

「京の伏見のコンビニ。」
「それは珍しいですね。」

おれは内心突っ込んでいた。
きっちょむ や まやとや のほうが珍しいんだ。
コンビニは普通だ!

こいつらは ルセールやマキシモをファミレスと間違えている類だ。
子供時代からこれでいいのかと思う父親なのだが、
精神的には、数億歳だし、
母親のニャーニャは俺の言葉など、ゴキブリのかさかさする音としか
思っていない。殴られるだけだ。

「にるにる~。」
みんなが集まっているので不思議思ったのか、
にるにるが 裸で駆けて来た。

「なんで裸なんだ?」

おれは自宅とはいえ、意味も無く全裸で走る実の娘は見たくない。

「グラビアの撮影です。」
マネージャーと思しき女性が申し訳なさそうに頭を下げた。

ボーグという雑誌の撮影らしい。
3歳とはいえ女の子だぞ。いいのか。
おれはそれとなしに聞いてみると、
ニャーニャの許可は得ているとのことだ。

どうやら、にるにるの天使のような美しさを
自慢したいらしい。プラチナの髪は子供特有で、
欧米人でも大人にはまずいない。
ましてや、プラチナ髪の美女は奇跡だ。
まあ、にるにるは遺伝子操作されているだろうから、
大人になっても外見はさほど変わらないだろうけど。

ダンスと音楽をやっていると思いきや、アイドルなのか?
チャイドルという奴だろうか。
ボーグという雑誌は聞いたことはあるけど、何の雑誌だ?
それなりに権威はあるらしいが。




ここで疑問に思うだろう、
未来のおれは、なぜこのような行為に出ているのか?
宇宙の最後とは何なのか?
それをお見せしよう。

よく、空間が広がり続ける宇宙、と言う表現がある。
ある学者は言った、宇宙はやがて縮みだし、
時間の矢が反対になり過去に向かうと。。。

これは間違っているのだ。

空間と時間は、対となるプラスとマイナスで
空間の拡大とは時間の収縮であり、
宇宙空間が加速膨張すると言うことは、
秒速10万キロメートルで、宇宙の時空が
均衡化し、

それ以上に加速して膨張すると、
宇宙が大きくなるにつれ、過去へ時間が戻るのだ。

これが、単に映像の逆回しならばよいのだが、
エントロピーは増大するのに、
過去の世界の容量は縮小する。
これが宇宙の破綻であり終わりだ。

不可逆に ぐちゃぐちゃな ミンチ状態の情報になる。









ぴっぴ~っ!!!

中身は100億年生きているが
1988年生まれの天才児、
セラフィーナ・ハートシルトは、
オンラインゲームをしていた。
1991年で非課金プレイヤーの多い中、
ひとつのゲームに10億円以上課金していた。

ゲーム内で10億円課金していることを
自慢してみるのだが、
誰も信じない。

しかし、装備が異常に強く、
外見アバターも全種類持っているので、
同じギルドのメンバーは信じていた。

ギルメンの「めるしぃ」さんは、
収入が少なく、楽しみもないので、
基本無料のこのゲームをやっているらしい。

ゲーム内夫婦で一生懸命、ペットを育てている。
このゲーム、一定レベル以下でペットが死ぬと
リアルロストするので、必死だ。

ぴっぴはゲーム会社を買収することも可能だ。
と言うよりこの会社、系列会社の子会社な
気がしないでもない。

母親のアーニャは現実世界でマネポリーをしているので
あまりゲームはしない。
最近また財産が増えたらしく、
世界資産400兆ドルのうち270兆ドル
くらい持っているらしい。

セラピは、正直、母親のアーニャと
生まれた環境は同じコピーの存在だが、
その意図や思想は読めなくなってきている。

遺伝子の同じ双子でも、時間経過と共に
違いが生まれるように、
精神の双子である、アーニャの一家も
「天野 祐貴」であった頃を忘れ、
別の「個」として存在できている気がする。

セラピは 「天野 祐貴」が好きだ。
客観的に見れば ナルシシズムなのだが、
遺伝的に見れば、肉親愛なのだろうか。
父親としてでなく、異性として好きだ。

今回は娘として生まれているが、
次回の移転先はアーニャが1960年に転移して、
時空障壁を緩和する。

セラピたちは、「天野 祐貴」と同学年の、
1978年に生まれるはずだ。
遺伝的には、「赤の他人」になる。
そうすれば、恋愛してもいいのだろうかと、
思ってしまう。

ゲームの中でオフ会をしましょうと、
めるしぃさんが、ギルメンを誘っているので、
セラピも参加することにしました。

未成年者がいることも考えて、時間と場所は
昼間の一般的なファミリーレストランです。

皆さん、ほとんどが成人です。
学生は普通にお金がないので、
あまり参加していません。

ゲーム内での名前「ぴっぴ」を名乗る前に
セラピの外見を見て、店員に声をかけられました。
「お父さんかお母さんはいる?」

ゲームのオフ会に参加するのだと言うと、
ギルメンがセラピを見て、
「信じられねー。」という顔をしています。

めるしぃさんは、実家はお金持ちなのですが、
最近事業に失敗して、ギルメンであるアップルさん
との結婚話に暗雲が立ち込めているらしいです。

アップルさんは、いじめにあって小学校4年から
家に引きこもり、ゲームばかりしているらしいです。
とうぜん中卒です。
ヒキニートのアップルさんが事業をまともに
やっていける保証が無く、
別れるように両親、特に母親に言われたようです。

めるしぃさんは名門の一族で、
会社はアーニャと比べればゴミですが、
それなりの中堅企業で、年に100億程度の
売り上げがあるらしいです。

3歳児のセラピに向かって、めるしぃさんは、
急に土下座をして、お金を貸してくださいと
言い出しました。

バブル崩壊で、銀行が貸しはがしにかかり、
会社が危機的な状況らしいです。

この状況でも表情を変えないアップルさんは
ある意味すごいなと感じました。

セラピはこの時代あまり普及していない、
ケータイ電話を取り出すと、
アーニャに電話をしました。

「○○と言う会社に50億円の融資できませんか?」
アーニャと話す時は赤ちゃん言葉ではないです。

「だめだよ、セラピ。」

「お母さんが、背任になりかねないでしょ。
ちゃんと断りなさい。」
そう言うとニャーニャは、電話を切ってしまいました。
ニャーニャというのはアーニャの愛称です。

アップルさんは、ゲーム内では、タンク役で
頼りになる、ウォリアーなのですが、
現実世界では、ただのバカに見えます。

3歳児にしか見えないため、大人は油断しています。

「このままじゃ、ソープに売られちゃうよ。
どうしよう、林君。」

どうもアップルさん、林だから 林檎と
名乗っていたらしいです。
林檎の「檎」と言う字、猛禽の(木禽)と
掛けてるのかな、などと思いつつ、
林さんを観察していると、
3歳児を誘拐する算段をしているようです。

この時代、GPSの存在は一般には知られておらず、
セラピのケータイには当然、GPSがついています。

殺される可能性はまずないと思いましたが、
相手が馬鹿なので一応言っておきます。

「強盗殺人は、2回目で死刑だけど、
身代金目的の幼児誘拐殺人と
警察官から拳銃強奪目的の殺人は、
一発で死刑になるよ。」

めるしぃさんは涙目でセラピを見ると
「殺すわけないでしょ、ぴっぴちゃん。」

ある意味精神的に不安定な人ほど
信用してはいけない人はいない。
刺激を与えないようにおとなしくしていた。

しばらくして、場所を変えるべく、
自動車で移動しようとしたがそれはできなかった。

セラピの家は、皇族と同じで セキュリティーパーソンが
3人は、常についている。
別の車両に乗せられそうになったので
阻止したのだ。

にゃーにゃは忙しそうなので、
おとーちゃんに連絡すると、
中学校を早退して迎えに来てくれた。

「おとーちゃーん、セラピこわかったよ。」
泣きながらおとーちゃんに抱きつくと、
よしよしと頭を撫でてくれた。

ギルメンの皆さんは未遂と言うことで、
警察に留置されたあと、
不起訴になった。

ネットでの出会いは怖いものだと、
ネット黎明期に知ったセラピであった。













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