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5話 メンタリスト

「では織田、最初の質問はこれから言うルールを守って返答してください。
 いいですね?」

 城島瑠偉は腕を組みながら、若干頭を右向きにしながら言った。
 しかし、呼び捨てと敬語の組み合わせは何とかしてほしいな、イラっと来るんだが。

「わ、わかった」
「まず、返答は私の目をしっかり見て答えてください。そして返答は、すこしの間も開けず即答でお願いします、この2点だけなので、とても簡単です。
 よろしいですか?」

「わかった、何でも聞くがよい」

「飛行機で私達がパニック状態のとき、周りの状況を確認したと言われました、目を見て即答で答えてください! 私のパンツの柄は何?」

「水玉柄だな・・・」
 っち、思わず答えてしまったな。

「やっぱり、見てたんだ」
「所詮は男だな、おっさんだし、カスだな」

 出雲麻衣と佐久間美憂は軽蔑の眼差しで俺を見ている、そうスカートの中身ごときで…

 心の狭い奴らだ。

「おいおい、スカートの出雲は分るが佐久間はズボンだろ、ついでで俺を煽るなよ、あと、おっさん、おっさん言うなよ、気分は20代の俺の心が凹むから」

「なんだ織田さんは打たれ弱いのか、あと美憂と呼んでくれない?
 佐久間と呼ばれるの嫌いなんだ」

「私もー! 麻衣って呼んでね。
 あと、二つ名<深淵の>を付けてくれるとキュンキュンします」

 深淵の麻衣、危険な香りのする性格だな、まぁ胸と見た目は好みだが…

「付けるわけねーだろ」
「えー、付けて読んでくれると、私と貴方の心の距離が少し縮んだのにねぇ~、残念ですねぇ~?」

 麻衣と美憂との問答の切れ目を見計らい、城島瑠偉が次の質問を始めた。

「織田、次の質問です」
「お、おう・・・」

「物理法則の壁は越えられない、と言いましたね。では、瞬間移動の原理はどういった理論を使ってますか?」
「光の速度で移動してるだけだな…」
「そうですか・・・光の速度で進んでいるだけですか・・・」

 城島瑠偉はそれから何も言わず、こちらを見ている。

 見ている。
 見ている。
 見ている。

「わかたったよ、城島瑠偉! ご察しの通り地球の時間は進んでいるよ。12年な!」

「「じゅうにねーーんーー!」」
 麻衣と美憂が大声で驚いている。

「そう12年だ、つまり君たちの地球での戸籍は、30歳のアラサーだ!
 三十路デビューおめでとう!」と、俺は拍手をしながら煽ってやった。

 城島瑠偉は胸ポケットに刺さっているペンを握りしめ、俺の太ももめがけて振りかざした。

「うおぉぉおい……な、なにすうんだおっ」
 と俺は素早く後方に移動し回避する、驚きのあまり噛んじまったな、かっこ悪い…

「冗談ですよ、次、煽った発言したら本当に太ももに突き刺します」
 城島瑠偉はペンを胸ポケットに差し込み再び腕組をする。

「冗談って・・・刺される寸前だったぞ?」
「あと、なぜ私達が18歳と分かったんですか?」

「なんでって、飛行機の中で高校生活の話とかしてただろ? 決定したのは卒業旅行ってキーワードだな、高校卒業イコール、18歳だ」

「操縦席って客席の声聞こえるんですか?」
「なに言ってるんだ? 後ろに座っていただろ視界に入ってなかったのか?」

「そういえば一人座っていましたね、それでパイロットさんは今どこに?」
「俺が見た時には居なかったな、たぶん最初の方で宇宙に放り出されたと思う」
「なるほど、わかりました」

 なんだろうな? なんか喋ってしまったな。
 しかし意外と大事にならなかったな、だが人が死んでるのに冷静だな、城島瑠偉、恐ろしい子だ。

「では最後の質問です。私達は、なぜか飛行機の中じゃなく外に寝かせられていました、普通は座席に寝かせて介抱しませんか?」
「新鮮な空気を吸わせてあげたくてな、外に出した」

「つまり、私達で呼吸できるかどうか、実験したわけですね?」
「そういうことになるな・・・・」

 本当に何だろうな、目を見てたら何故か喋ってしまった。

「ふふふふふっ、貴方って隠しごとができないタイプですね? 皆には黙っておきます、貸し一つですよ?」
「黙ってるって、聞かれてるだろ? ってあれ居ない」
「彼女たちは先ほど、お花を摘みに行きました」

 いつの間に行ったんだ、気づかなかったな、しかし変な奴に借りを作ってしまったな。

「城島瑠偉、お前何者なの? 探偵なの? 心理学者なの?」

「数日前に高校を卒業した、ごく普通の元JKですよ? あと、フルネームで呼ばないでいただけますか? 気持ち悪いです」

「じゃぁ、城島」
「名字で呼ばれるのも嫌いです、しかも呼び捨てだし」
「なら瑠偉」
「気安く下の名前で呼ばないでもえます?」
「じゃぁ、どするんだよ、おい」
「冗談ですよ、好きに呼んでください」

 っく、もてあそばれた・・・・

「しかし、麻衣と美憂は遅くないか? ……これは大だな」
「下品・・・太ももにペン刺しますよ?」
「す、すまん・・・」

 しばらくすると、木々の間から麻衣と美憂が出てきた。
 麻衣が右手を上げ大きく手を振っている
「おーーーーーーーーーい」

「なにか、あったのか?」
「さあ? なんでしょう?」

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