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卒業 勇気のない告白

俺はあみのこと好きになった。
避けられた時期もあったけれど、諦めることができなかった。
でも、俺はあみに好きと伝えれぬまま今日、卒業式を迎えてしまった。

~白い光の中に、山並みは萌えて、はるかな空の果てまでも、君は飛び立つ~

俺は、この中学校にきて梨子のこと好きになったけれど、フラれた。

~限りなく青い、空に心ふるわせ、自由をかける鳥よ、振り返ることもせず~

二度と恋をすることないと思っていたが、三年生の時に隣の席の女の子あみに恋をした。

~勇気を翼に込めて、希望の風に乗り、この広い大空に、夢をたくして~

告白しようと何度も思っていた。でも、告白すると今までみたいにいられなく。だから、気持ちを伝えることをしなかった。

~今、別れの時、飛び立とう未来信じて、弾む若い力信じて~

気持ちだけでも伝えるべきなのか。伝えるべきなのか。

でも、もう遅い。だって、今日でもう卒業なのだから。
しかも、卒業後はあみとは別のところに行くこととなる。
告白しても何も変わらない。なのなら、告白しない。

~この広い、この広い、大空に~

卒業式が終わり、在校生の合唱を聞きながら退場していく。
これが終われば、もうあみと会えなくなる。
今までは学校で話すことできた。でも、それがもう終わるんだ。

クラスでのお別れも終わり、みんなで外に出て写真撮影が行われた。

あみは、女友達と写真を撮っている。
その姿を見ていると母である美香ちゃんが

「なあ、おまえの気になってる子ってあの子か?」

と、あみを指差した。そんなに俺って顔に出てるのか?

まあ、卒業最後だけど、一緒に写真なんて撮れるわけないよな、と思っていた。

すると、後ろからトントンと優しくたたかれた。

「どんちゃん」

そこにはあみがいた。

「どうしたの?」

「あのね、一緒に写真撮ろう」

あみがあみのお姉さんを連れてきた。あと優樹菜も。
二人ではなかったけど、一緒に写真撮れたことがすごくうれしかった。

そのあともあみの誘いでみんなで集合写真を撮った。

もう告白しようかと思ったが、美香ちゃんに「昼ごはんがあるから帰るぞ」と言われ、何も言わぬまま帰った。

これでもう最後なんだ。
だけど、一緒に写真を撮れたことが、あみから誘ってくれたことがうれしくて、一番良い思い出となった。

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