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絆の修復

カオルたちは警察署に連行されると親を呼ばれた。

事情を3時間ほど聞かれると親と警察官からこっぴどく叱られた。

親同士が警察官に謝って、なんとかこの事は学校に連絡しないでいただけた。

しかし、2人は当分家で謹慎処分となった。

逃げたバイクの男は捕まらずに逃走したようだ。

レイプ魔たちは救急車を呼ばれて入院したが、
犯罪がばれて回復すると同時に警察署に連行されて
質問された。

すると、どうやらこのおろか者たちはこの辺りで他にも犯罪をしていたらしく、重罪のけいにさせられて捕まった。
裁判所はこの連中の罪を重罪として懲役20年として
異例の処罰をかけていた。

事件から次の朝、カオルは12時過ぎに起きた。

朝から機嫌が悪かった。

カオルはベットの下に隠してあるライターとたばこを取り出して吸った。

髪をかきあげながらボーっとしていた。

そのうちベットから起き上がるとカーテンを開けて、
窓を開けた。

暖かい陽光と涼しい風が部屋に入ってくる。

外を眺めると道路のところに近所のおばさんたちが
笑いながらしやべっていた。

カオルは昨日、ベットの横の台に置いてあったケータイがなくなっているのに気がつくと部屋をあちこち探したが見つからなかった。

カオルは凄い形相をすると、部屋のドアを勢いよく開けて、バタンと閉めた。
ゆっくりと階段をおりて父親のいるリビングに向かった。


恭介はリビングのベットに座りながら、今までの自分の事や昨日の事を考えて、何時間も寝ないでいた。

すると、カオルがリビングのドアを勢いよく開けてきた。

カオルは冷酷な顔をしながら父親に言う。

(あんたさ、私のケータイ持ち出しただろう······)

恭介はカオルを見ると(ああっ、ここにある、だが、今は返せないぞ······)

と言った。

カオルは怒号の声を出していった。

(ああっ、ふざけんな、テメー人のものを勝手に持っていきやがってよ、ナメてんじゃ、ねーぞ····)

と言う。

だが、恭介はそんなカオルの態度にもまったく怯みもせず、冷酷になりながら言う。

(カオル······ケータイは今は返さない、取り敢えずそこに座れ······)

と言って、ソファーを指で指した。

カオルは部屋の棚に置いてあった花瓶を手にもって

下に落とした。

ガチャンという高い音を出しながら花瓶は床に割れてばらまかれた。

恭介はなおも強い口調で言う。

(カオル、とりあえずここに座りなさい······)

カオルは文句を言いながらソファーに座った。

カオル

(それで······なに······)

恭介は少し考えて喋った。

(カオル······お前が俺の事をよく思っていないことはわかる······)

カオルは首を横にふって目を会わせないでいた。

恭介

(俺は不器用な男だ······、カオル······、俺は今までの事を考えて、どんなにお前や母さんに迷惑をかけていたのかやっとわかったよ······だから素直に
お前や母さんに謝りたい······)

カオルは言う。

(はっ、母さんはもういないだろ······)

恭介は席をたって、カオルの前で土下座して言った。

(カオル······いままで本当に悪かった、このとうりだ、許してくれ······)

それを見たカオルは驚愕しながら言う。

(······いまさら······いまさらそんなことしたって許してもらえると思ってんの······)

何故か自然に涙があふれでた。

カオルも恭介もなにも言わすに40分が経過した。

カオルは父親の土下座する姿を見ているのがもうできなかった。

カオルは泣きながら言う。

(もう······もういいよ······頭をあげてよ······お父さん······)

恭介は土下座したまま言う。

(本当にすまなかった、許してくれるか······)

カオルは大泣きをしながら言う。

(許すもなにも······もういいから······お願いだからもうやめてよ·······許すから······許すから

頭をあげて······)

恭介は土下座しながら泣いていた。

2分もすると立ち上がりソファーに座った。

もう、泣いてはいなかった。

カオルはしばらく両手を顔にあてて泣いていた。

恭介はなにも言わずに黙ってカオルが泣き止むのを待っていた。

10分もするとカオルが落ち着いてきて言う。

(お父さん······さっきはごめんね······花瓶、

割っちゃった······)

恭介は冷静に言う。

(ああっ、後で吹かなきゃな······)

カオルは手で涙を吹いて、笑顔になりながら照れ臭そうに言う。

(ぞうきんとってくるね、私が掃除するから·····)

恭介は(わかった)と言った。

カオルは立ち上がるとリビングを出ていった。

恭介は(フッー)とため息をついて落ち着いた。

カオルが掃除道具を持ってくると花瓶の回りを掃除し始める。

恭介は(花瓶の破片にきおつけろ)と言う。

カオルは素直に(ウンっ、大丈夫だよ)と言った。

掃除が終わると片付けて、カオルが言う。

(今度、花瓶と花を買ってくるね)

恭介は(そうだな······少し高くてもいい花瓶を買うか······)

と言ってくれた。

恭介は時計を見た。

時刻はとうに1時30分を過ぎていた。

恭介

(カオル······お腹減ったな、今日は俺が作るから一緒に食べよう······)

と言う。

カオルは驚きながら言った。

(えっ、嘘、お父さん御飯作れるの······)

カオルの家は不仲であったがゆえにコンビニのお弁当ばかりを食べていてろくなものを食してはいなかった。

恭介は言う。

(ああっ、最近な·····いろいろかんがえて今度から時間のあるときだけだが俺も作ることにした、
これを見てみろ······)

と言って、恭介はポケットから自分のケータイを取り出して、アプリを見せた。

カオルがアプリを見ると驚いた。

料理のアプリが入ってあり、カオルが見るとそのアプリは料理の作り方を動画で教えてくれた。

カオル

(なにこれ······お父さん、こんなもの見てたの、
なんか、このアプリ凄いね······)

恭介は自身満々に言う。

(そうだろう、凄いだろう·····これを見れば俺でも作れるんだ······)

カオル大笑いをした。

時間はかかったが、二人の関係は修復された。

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