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13話 謎スキルの真価

「メッサーさんっ!」

 金髪オークに向かって構えたあたしは、急いでメッサーさんに駆け寄り怪我の状態を見る。打撲に裂傷、もしかしたら骨折もかな。内臓までは……ちょっと分からないけど。
 キッと金髪オークを睨み付けるといつでも殺れるという余裕なのか、ニタニタと薄汚い笑みを浮かべている。それならちょっと治させて(・・・・)貰おう。

(オークと戦う前の状態まで元通りになあれ!)

 あたしがそう念じると、みるみる内に外傷が治癒されて行くのが分かる。恐らく骨折や内臓なんかも損傷が有れば治癒している筈。でも失った意識までは元に戻せないのかな? メッサーさんはまだ気を失っている。
 ぐったりと脱力しているメッサーさんを担ぎ上げ、囚われていた女の人の横に寝かせて、ついでに女の人にも治癒を施した。さて、後は。

「モウイイノカ? ゲフフフ……」
「あら? あんた豚のクセに喋れるんだ?」
「ククク、気ノ強イ女ダ。我ハおーくノ王。今マデノ雑魚トハ違ウ。精々我ニ組ミ敷カレテ泣キ喚キ、ソシテ苗床トシテ生キルガイイ!」

 ぐぬぬぬ……なんて気色の悪い事を! しかもコイツ、オークの王って言ってたわね。ってやっぱりオークキングって事かしら? 通りで他のオークとは桁違いのプレッシャーを放っている訳だわ。
 確か、オークキングと言えばかなりヤバいヤツだった気がするけど、まあ、なんでもいいわ。コイツを倒さなきゃあたし達三人仲良く性奴隷にされちゃうからね。最後まで粘って見せる!
 コイツ、剣と盾を装備してるトコを見るとやっぱり他のオークとは違うのよね。他のオークは丸太を削ったような粗末な棍棒だったもの。
 その時、オークキングの左腕の腕輪が光ったように見えた。
 同時にオークキングが剣を構え突進してきた。横薙ぎに振るってくる剣を盾で受ける。

「ぐうっ!」

 さすがキング、凄い圧。あたしは受け止めた姿勢のまま《ズザザザーッ》と地面をズラされる。

「ホウ? 今ノ一撃ヲ受ケキルカ? ナラバコウダ!!」

 オークキングはそこから跳躍し、上段から叩き潰す様に剣を振り下ろして来る。でもそれも盾で受ける。

「く、重いッ!」

 その破壊力を吸収しきれず膝を着くあたしのお腹に、オークキングの蹴りが飛んで来た。
 あまりの衝撃に声も出ず、宙を舞って背中から地面に叩き付けられた。肺の空気が全て吐き出される。

「ガ、ガハッ!……ヒュー、コフッ!」

 おかしな呼吸音。そして吐血。内臓や呼吸器官、折れた肋骨が刺さったのかな……でも! 命があって、意識がある限りあたしは負けないっ!

「……た、頼んだよ、謎スキルちゃん……お願い! 元通りになあれ!」

 体全体が光に包まれあたしの体から痛みが消えていく。呼吸は正常。身体も動く。凄いな、謎スキル!
 勝負あったと思ったか、オークキングは無防備にこちらに近付いて来る。剣と盾を投げ捨てあたしの頭を掴んで持ち上げた目線の高さはあたしと同じ。目の前には金髪豚の醜い顔面。

「汚い顔を近付けるじゃないのよぉっ!」

 あたしは渾身の力を込めて、オークキングの顔面にモーニングスターの一撃を放つ。

《ガギンッ!》

 え? 
 何だろう、今の手応え。まるで鉄の塊でも殴ったみたい。それでも不意打ちは多少効いたみたいであたしを手放したオークキングは顔面を押さえて後ずさる。

「グッ……キサマ、何故動ケル? 何故生キテイル!?」

 今はコイツの問答に付き合ってる暇はないわね。殴って殴って殴りまくるわ!
 何故か、ホントに何故かフットワークが軽い今日のあたし。さっと間合いを詰めて殴りに行くけど、相手の身長はあたしの約二倍。当然目の前にあるのは狂暴なアレ。うう、こんなの殴りたくないけどごめんねあたしのモーニングスター!!

「えいっ」

《キンッ》

「……は?」

 まただよ。何でこんなに金属的な手応えなの?

「えいえい!」

《キンキンッ》

「ブファハハハハ!! 無駄無駄ァ! 我ノコノ腕輪ハ、我ノ体を鉄ノヨウニ固クスル。残念ダッタナ、小娘」

 ……なるほど。腕輪の力による防御力上昇って訳ね。だからメッサーさんの魔法も通らなかったのか。でもタネが分かった所でどうしよう? 救いは今のオークキングは素手だって事だけど……

「えい!」

《キンッ》

 せめて身体強化する前ならダメージ通ったかも知れないのに……

 ……ん? 強化する前?

「えい!」

《キンッ》

 思考を巡らせながらもあたしは殴り続けている。アレを。オークキングは腰に手を当て踏ん反り返りながら高笑いして殴らせている。う~む。
 あ! 
 今ぴこーんって閃いた! 何かがあたしの頭の中に降臨したのよ!

(強化前の状態まで元通りになあれ!)

 直接触れたくないから念じただけだけど……

「えい!」

《グシャッ!!》

「ブモオオオオオオッ!?」

 やっぱりだ! あたしの謎スキルは単に人やモノを直す(治す)能力じゃない!?
 なんか良く分からないけど、ダメージが通ったオークキングは内股で股間を押さえて涙目で前屈み。まだまだよ! 下がった顔面目掛けてモーニングスターをアッパースイング!!

「食らうのよ! 変態豚ぁ!!」

《ギュムッ》

 顔面にめり込む星球。これでも潰れないのは流石はオークキングと言ったところかしら。

「シルト! 下がって!」

 え? メッサーさん?
 まだ立ち上がれないメッサーさんの掌から何かが放出された。見えないけどそう感じたんだ。

「ブモモオオオ!」

 直後、オークキングの左肩から先が千切れ飛んだ。
 そうか! メッサーさんは腕輪が強化の種明かしなのは見抜いてたんだね! よおーし、ここから先はワンサイドゲーム! 一方的に殴りまくるのよ!

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