28
その日、私はいつものようにご飯を食べる。
すると、武さんが私の前に立つ。
「お前さ……
パパのところに行きたいと思わないの?」
「パパとママの由香の4人がいい……」
「ふーん」
武さんは、そう言うとパパが使っていた部屋に戻った。
パパが使っていた部屋は、何故だか武さんが今使っている。
パパが、帰って来た時、パパの居場所がなくなる……
でも、わかっていた。
パパは、もう二度と戻ってこないって。
そう思うと涙が出た。
悲しい涙が出た。
「なに泣いているんだ?
うざいなぁー」
武さんは、タバコを取り出しタバコに火をつけた。
煙たい。
私は、ゆっくりと武さんの方を見た。
「なんか文句ある?」
私は、首を横に振った。
「なんか、俺、お前の顔を見ているとイラつくんだよね」
武さんは、そう言うとタバコを私に近付けた。
そして……
それを私の右手に押し当てた。
「あつい!」
私は、思わず叫んでしまった。
「うるさいな!」
武さんは、私の頬を叩いた。