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 私は、嬉しくてママに飛びついた。
 ママは、何処か疲れた様子だったけど、私の体を抱き上げてくれた。

「遅かったな。
 昨日、理香のヤツ泣いてたんだぞ?
 『ママがいない』って……」

「ごめん、終電に乗り遅れて友達とカラオケで、オールしちゃった……」

「そんなことだろうと思った」

 パパは、そう言うとニッコリと笑った。
 だけどママは、笑わない。
 本当に疲れた様子で私をパパに預けた。

「ごめん。
 少し寝るね」

 ママが、部屋の奥へと向かう。

「ママ?」

 私が、ママの名前を呼んでもママは、返事をしてくれなかった。

「ママは、お疲れみたいだ……」

 パパが、そう言うと私は、首を傾げた。

「今は、ゆっくり眠って貰って明日いっぱい遊んでもらいな!」

「うん!」

 私は、頷いた。
 ここで、駄々をこねても意味は無いと感じたから……

 だから、私は何も言わないことにした。
 だって、聞きわけの良い子供の方が愛される。
 そんな、気がしたから……

 ママは、隣の部屋で眠っている。
 パパは、何処か不機嫌。

 ヤダな。
 ヤダな。
 ヤダな。

 でも、どうする事も出来ない。
 あぁ、私って無力だ。

 無力だ。
 無力だ。

 私にもっと力があれば……

 私は、ゆっくりとテレビのチャンネルを変え、アニメを見た。
 パパは、その私に気付くと私を膝の上に置いてくれた。

「パパ?」

「理香は、何も気にしなくていいからな?」

「……うん」

「ママ、疲れてるみたいだから今日もパパと遊ぼうな」

 そう言ってパパがニッコリと笑う。
 でも、どこか寂しそう。

 ママ、早く元気になったらいいな……
 そしたら、パパも元気になる。
 そんな気がするから……
 パパは、くしゃくしゃと私の頭を撫でる。
 私は、ニッコリと笑い、そして大きく頷いた。

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