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06

 私を抱きかかえるとママが、明るい部屋に連れて来てくれた。
 テレビは、ついていない。
 パパが、冷蔵庫からケーキを持ってきた。
 私は、ケーキが大好き。
 甘くてふわふわして、美味しいから!

 ママは、私を椅子に座らせてくれた。。
 そして、パパが私の前にケーキを置く。

 パパ?
 私、ケーキは、大好きだけど1人でこんなに食べれないよ?
 そんなことを思っていると、パパがロウソクを2本ケーキの上に刺す。

 何をしているの?
 私は、ワクワクした表情でケーキを見つめる。
 パパが、ロウソクに火をつける。

 え?ケーキを焼くの?
 焼きケーキ?
 それって、美味しいの?
 私のワクワクは、最高潮にまで達した。

 ママが、電気のスイッチに手を当てる。
 すると暗くなる。

 ロウソクの光だけが、そこに残る。
 怖い気持と不安な気持ちがぐちゃぐちゃに入り込む。

「ハッピーバースディ、トゥーユー」

 ママが、歌う。
 パパが、続けて歌う。

 なんか楽しい気持ちになって来た。

「ハッピーバースディ。
 ディア、理香。
 ハッピバースディートゥーユー」

 歌が、そこで終わる。
 あれ?
 私は、どうしたらいいの?
 私は、不安な表情でママを見る。

「ふーっとロウソクに息を吹きかけて……」

 ママが、そう言うので私は息を吹きかけた。
 ロウソクの火が消える。

「上手だぞ」

 パパのその一言と共に闇が訪れる。

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