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「ふぉっふぉっふぉふぉ」

 薄暗い部屋に老人の笑い声が響く。
 フィサフィーが嬉しそうに笑っている。

「なにがおかしいですますか?」

 両手両足を拘束され吊るされたオトネがそういった。

「旋律者をふたりも手に入れたのじゃ。
 これほど嬉しいことはないじゃろう?」

「旋律者なんでたくさんいるだろう?
 僕たちを開放してくれないか?」

 そういった男の名前は、空知 登。
 空の旋律者だ。

「なにをいっている?
 ワシは、旋律者を更に増やそうと思っておるのじゃ」

「なにを言って……」

 登るは戸惑う。
 その言葉の意味を理解したから……

「オトネは登の子を宿すのじゃ。
 そして、その子どもにも子を宿させる。
 旋律者同士の子どもは、旋律者になりやすいらしいからのぅ」

「そんなゲームみたいなこと、出来ると思っているのですますか?」

「できる!」

「大体、子どもが子どもを宿させるのには時間がかかるだろう?」

 登のその言葉にフィサフィーは、更に嬉しそうな顔をした。

「我がテオスのリーダー、モトフミさまは時間の流れを支配することが出来る。
 子どもの時間もあっというまに大人に変えることができるのじゃぞ?」

「それは怖いな」

 そういって現れたのは、セロ。

「ほう、どうやってここにきた?」

「聞いちゃう?そんなこと……」

 秋夫も現れる。

「主の力か……
 颯爽に処分しとけばよかったかのぅ」

 フィサフィーの声が低く響く。

「怖いね」

 吾郎たちも現れる。

「……主らも来たか」

「あれ?どうしてここにセロさんがいるんだ?
 ってかオトネさんが縛られてる!?」

 百道にはなにがおきたかわからない。

「状況を深く考えろ。
 これはピンチってやつだ」

 健太がそういった。

「なにがピンチなんだ?
 こっちのほうが人数が多いんだから、なんとかならないのか?」

 百道の言葉にフィサフィーが答える。

「なると思うかい?」

「みんなでやれば爺さんひとりくらい拘束できるだろう?」

 すると灰児が言葉を放つ。

「ひとり……か?」

 灰児の言葉にキサラギがため息をつく。

「やっぱり登場した瞬間に首をはねておいたほうがよかったですかね?」

 キサラギの言葉に百道がいった。

「そんなのヒーローじゃないだろう?」

「僕は、ヒーローじゃないけどね。
 さて、そろそろ襲い掛かってくるよ。
 彼らが……」

 セロが、指先をキリキリとまわる。
 開戦の合図だ。

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