32
「そうだね」
裕也が小さく笑う。
「そうじゃのぅ。
ワシらの味方になるのなら、この場にいるすべてのものの命の補償はするぞ?」
フィサフィーがそう言った。
裕也が、フィサフィーを睨む。
「へぇ、脅すんだ?」
「そうじゃよ。
それほど主は、モトフミさまには脅威なのじゃ」
「関係ないね」
「そうかのう?
主も勇者じゃろう?」
裕也がため息をつく。
「そうだね、だからフィサフィーさんの味方にはなれないや」
「そうか?
女は子供だろうがなんだろうが男に犯させたっぷり苦しめてから殺す。
そんなことも可能じゃが?」
「そのときは全力で貴方を殺します」
「無理じゃな。
主の能力は傷などを別の対象に変換する能力。
息を止めて殺すなどの方法なら主にそれを変換することはできぬのじゃろう?」
「さぁ?」
裕也は、そう言ってカッターを取り出す。
「銃刀法違反じゃな」
フィサフィーが余裕の笑みを浮かべる。
「生憎勇者にもある程度の法律は適応外なんだ」
「そうか……
そうじゃのぅ。
で、そんなカッターナイフでワシが倒せるとでも?」
「やってみないとわからないよ」
裕也がそういうとカッターナイフを空に投げる。
「何のつもりじゃ……?」
「空がナイフに切られたね」
「ん?」
フィサフィーにはなんのことかわからない。
「痛かったね。
その痛み、あの人へ届け。
ヘルカッター」
フィサフィーに向かって空から斬撃が降り注ぐ。
「そうくるか……」
フィサフィーは、それを避けようとした。
しかし足が動かない。
「その足、ロックさせてもらったよ」
そう言ったのはセロだった。
「ほういつの間に?」
フィサフィーがセロを睨む。
そして、フィサフィーは斬撃を浴びる。
「勇者ってひとりじゃないんだ」
裕也がそういうと裕也の後ろから虎のマスクを被った青年が現れる。
「フィサフィー!貴方の罪は何色かな?」
虎マスクの青年は、大きな大剣でフィサフィーを斬った。