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「痛そうだね」

 少年がそういうと老人が笑う。

「そうじゃな。
 かわいそうだから殺してしまおうか」

 老人の言葉など無視して少年は女子高生に近づき足に触れる。

「いや!!!殺さないで」

 女子高生が、大きな声を出す。
 周りもそれに気づき少しパニックになる。

「大丈夫だよ」

 少年が笑う。

「え?」

 少年の声に少女は少し安らぐ。
 怖いはずだった、だけどなぜか安心感が湧いてきた。

「痛いの痛いの飛んでけ」

 少年はそう言って少女の足をなでた。
 痛みが消えた。
 それと同時に足が治った。

 女子高生は、驚いていた。
 足だけじゃない、靴下や靴まできれいに治っている。

「何度見てもその能力は凄いのう」

「うん」

 少年はうなずく。

 少年の名前は、木村 裕也。
 17歳、現在無職である。

「ってか、フィサフィーさんもしつこいよ」

 そして、老人の名前はフィサフィー。
 アインの中の組織。テオスの幹部である。

「主の力があれば、世界を我が物にできるからなぁ……
 その女子高生を好きにしていいから我が物にならぬか?」

 フィサフィーが笑う。
 笑っているはずなのに怖い。
 女子高生は、恐怖した。
 ただただ恐怖した。

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