02
両手を伸ばせるようになった代わりに、私は安心感を失った。
ただ怖かった。
とにかく怖かった。
だから泣いた。
いっぱい泣いた。
一生懸命泣いた。
でも、この時、私にはわからなかった。
生きることは死ぬことであり。
死ぬことは苦しい事を……
それから2年が過ぎた。
幸せな生活。
幸せな時間。
パパもママもとっても優しい。
私は、とっても幸せだった。
「ママー」
私は、ママの元に走った。
ここは、公園。
私とママとパパが暮らすマンションの公園。
「理香、上手に走れたね」
ママは、そう言って私の体を抱き上げる。
「うん!」
私が、うなずくとママは、私の頭を撫でた。
ただ、それだけで、私は、幸せだった。
「今日はね、パパ、早く帰ってくるんだよ?」
「ホントに?」
「うん。
お仕事早く終わるんだって。
帰りにケーキを買って来てくれるんだって!」
「ケーキ?」
「そう!あまくてふわふわするケーキ」
私は、それを聞いて笑った。
ニッコリと笑った。
なぜなら私は、ケーキが大好きだったから。