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平家最強の藤原氏

南淡(なんたん)高校で待つ?あの野郎)
 周は赤鸞で緩重力高速道路を飛び、姉妹校へ向かっている。
 周は、ゆるやかで長大な下り坂に差し掛かり、南淡地区の市街地を見下ろしながら継翔する。
「周君!」
「あん?」
 (ひびき)彼方(かなた)が髪を乱しながら、周を目掛けて中央分離帯上を大股に駆け寄って来る。
「早目にきちゃったよ。風が気持ちいいね」
(今、百キロ出してるんだぞ!?)
「おう、忍者!なんの用だ!?」
(ベルサーチのモノ・ラップアラウンドのグラサンなんぞ掛けやがって)
「えっ!ばれてた?」
「知るか!早く済ませろよ」
「じゃあ、手っ取り早く、あらためて自己紹介から」
(これも光忍法の術中。ふふふ。話が早いよね)
 周の姿を、陽光に目を透かすサングラスに映しながら、大声で響が告げる。
「ぼくは響彼方!光の忍者ホワイトアウト!」
「お前、どっちの名前も抽象的だな」
(忍者だってよ!こいつ!おいおいおい。ていうか、今、平坦路だぞ!?)
「早速だけど、来るよ!」
「何が!?」
「敵が!」
「敵い!?」
 周は甲高くさせながら疑問の強声を挙げ、歯を剝いて笑う。
「そういうの待ってたぜ。ただし、あくまでもお前の喧嘩だろ!お前、体張れよ!」
「勿論!来た!」
 周達の両脇に、合流車線と反対車線から飛び込んで乱入して来た単車が迫る。
「おらっ!」
 周が赤鸞の車側を敵車へ激突させて体勢を崩させ、操舵を撹乱させて蹴り上げ、道路外へ弾き飛ばす。
(赤鸞の車体は、金属とセルロースナノファイバー混練ポリカルボナイトとの傾斜濃度配材合板。ユンボの腕をまとめて振り下ろされても、平然と弾き返すぜ!)
「さっすが!」
「おう!こいつら何者(なにもん)だ!?」
「彼らは」

 南淡高校。
「総長」
「続けろ」
 年若い巫女が、薪の炎に平置して()べられている亀甲を見つめている。
「・・・・・・」
「総長。何者かが殴り込みに」
「お前らで片付けろ。力尽くでな!」
「はっ!」

平家(へいけ)一門!?お前何言ってんだ?」
(いやいやしかし、こいつも想像以上の事をしているしな)
 周に続いて、響が金色に光る飛び道具で昴球を破壊して、敵車を全て路外へ吹き飛ばした。
「やるな!」
「でしょ?周君に助太刀して貰って戦いたい相手は!南淡高校の三年生で総番長、伊藤七郎。仇名(あだな)悪七兵衛(あくしちびょうえ)一名(いちめい)(たいらの)景清(かげきよ)信濃守(しなののかみ)。平家の侍大将(さむらいだいしょう)にして聖剣『あざ丸』の使い手。その名は、藤原(ふじわらの)景清(かげきよ)!」
(伊藤?伊勢(いせ)藤原氏?信濃?どっちにしても俺の縄張りの外だった奴だな)
「長えな、おい。強いのか!?」
源平(げんぺい)合戦(かっせん)最強の侍!」
「おお!?ならやってやるぜ!」
(うまく導入できたかな?ふふふ)

 灼熱の亀甲が燃える破片を跳ばして、ひびを入らせる。
 巫女が亀甲のひびの意味を看読している。
「どう占う?」
「・・・兵衛(ひょうえ)殿の身は(あや)うくとも・・・」
「ふっ。危うく、とも、か。我が身次第よの」
 景清が立ち上がって、燃える亀甲を手に握る。
「運命など、わが力で打ち壊すのみ!」
 景清は、一息に亀甲を握り割った。
「くくく。『原初の女王』。待って居るが良い!」

「おっしゃ行くぞ!」
 周は、夕景に変わりつつある新生淡路の大空の果てを目指して飛翔する。
(あいつの夕飯、まだだったな。とっとと片付けるか)
(ふふふ)

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