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01

 ――学校の屋上

「まじだっさー」

 女子高生Aがそういってひとりの男子生徒、結弦に石をぶつける。
 結弦が小さく震える。
 ただ震えるしか出来ない。
 仕返しをすればその倍になって返ってくる。

 女子高生Bが、手を叩いてなにかを思いついたように笑う。

「ねぇ、人って飛び降りたらトマトケチャップのように潰れるらしいんだけど。
 本当かどうか確かめたくない?」

「それいい!」

 女子高生Cが、そういって嬉しそうに手を叩く。
 そして、男子高生Aが結弦を恫喝する。

「飛び降りろよ」

 男子高生Aは、結弦を飛び降りさせることができたら自分はかっこいいと思ったからだ。

「飛び降りたら死んじゃうじゃないか!」

 結弦が、目に涙を浮かべてそういった。

「死ねば?
 お前に行きている価値あるか?
 あったとしてもゴキブリ並みだろ?」

 その言葉を聞いて結弦は男子高生に殴りかかる。

「うわあぁぁぁぁぁ!!」

 しかし、すぐに返り討ちに合う。
 それもこれ以上ないほど殴られた。

「もうさー
 早くトマトケチャップみたいんだけど?」

 女子高生Aがそういいながらスマホをいじる。

「だってよ!
 飛び降りろよ」

 男子高生Aがそういって横たわる結弦の腹部を力強く踏みつけた。

「早く早く早く!」

 女子高生Cが興味津々の目でそういった。

「死にたくない」

 結弦は声を絞り出すように言った。

「死ぬんだよ!
 死ねばいいんだよ!!
 ってか死ねや!」

 男子生徒Aがそういって結弦の顔を蹴った。

「ひっ……」

 結弦は涙をボロボロとこぼす。
 死にたくない。
 死にたくない。
 死にたくない。

 ただ、それだけ。
 それだったけど。

 終わりにしたい。
 死ねば終わるんだ……

 そう思った。

「君なんて死ねばいいのに」

 すると小柄な少年が現れる。

「だれだ?」

 男子高生Aがその少年を睨む。

「僕は13。それ以上でもそれ以下でもないよ」

「サーティン?」

「そう、13」

「お前も結弦が死ぬところを見たいのか?」

 男子高生Aが嬉しそうに笑う。

「んー、僕さ。
 こう見えて殺し屋なんだ」

「ああん?」

 男子高生Aの表情が一瞬固まる。

「そんなの今の日本にあるわけないじゃない」

 女子高生Cが、そういって笑う。

「別にいいんだ。
 信じなくても、君たち4人は死ぬから」

「え?」

 結弦が驚く。

「誰が死ぬってああん?」

「結弦くんと僕以外のこの場にいる不良4人」

「……言ってろ!ガキが!俺がお前なんかに殺されるわけが――」

 すると13が男子高生Aの左腕に激痛が走る。
 熱さと捩れたような痛み。
 そして左腕が動かない。

「ひとおもいで殺してあげない。
 恐怖と絶望を感じながら死ぬんだ」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 男子高生Aは、涙を浮かべてその場から逃げ去る。
 女子高生ABCは、腰を抜かして動けない。

 13は、銃弾で男子高生Aの足を貫く。

「あああああ。
 なんなんだよ!なんで俺が殺されなきゃなんな――」

 男子生徒Aは、そこまでいったところで13の銃弾で額を撃ち抜かれ命を落とした。

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