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 むかしむかし。
 あなたがおもうよりはるかむかし。
 そんなむかしのあるところに。
 おじいさんとおばあさんがいました。
 おじいさんは畑に出て種をまいていました。

「一粒は千粒に。
 千粒の道は一粒に」

 と歌いながら……
 それをみたたぬきはおじいさんが帰ると畑にやってきました。

「ひとつぶはひとつぶさ」

 そういって種が芽になったモノを少し食べました。

 おじいさんは、まいた種の数芽の数が違うことを不思議に思っていました。
 そして、それがたぬきの仕業だとわかりました。
 そこでおじいさんは帰ったふりをしてたぬきが出てくるのを待ち用意をしていた縄で捕まえました。

 おじいさんは、つかまえたたぬきを家に帰り。

「悪いたぬきだ。
 つかまえてたぬき汁にして食おう」

 そういってまた畑に戻りました。

 家ではおばあさんがたぬき汁を作る準備をはじめました。
 たぬき食べられたくないのでなんとか逃げようと考えました。

「おばあさん。
 縄がきつい、少し緩めてほしいな」

「そんなことをしたらお前は逃げるだろう?
 そうなったら私はおじいさんに殺される」

 おばあさんは、たぬきの言葉を無視して作業を続けます。

「どうして殺すの?
 あのおじいさんは、そんなに悪い人なの?」

 たぬきはそういいました。
 そしておばあさんの愚痴をずっと聞きました。

「そうだよ。
 あの人はものすごく怖い」

 するとおじいさんが帰ってきました。

「お前!なにを無駄口を叩いているんだ!」

 おじいさんは、おばあさんの木の棒で叩きました。

「ああ。
 なんてことを……」

 たぬきはおばあさんに少し同情しました。
 おじいさんは言います。

「だまれクズたぬき。
 さっさと殺してたぬき汁にしてやる」

 そう言ってたぬきを木の棒で叩きます。

「痛い。痛いよ」

 たぬきは、目に涙を浮かべて言いました。

「肉はストレスを与えたほうが美味いらしい。
 お前で実験してやろう」

 そういっておじいさんは、何度も何度もたぬきを叩きます。
 もうたぬきは言葉をいうのを諦めました。


 ――30分後


「さて疲れたな。少し休憩する。
 そうだなあと3時間叩いたら殺してやる」

 おじいさんは、そういって部屋を出ました。

「たぬきや。
 お逃げ」

 おばあさんが優しい口調でたぬきの縄をほどきました。

「でも、そんなことをしたらおばあさんが……」

「いいのよ。
 私はもう十分すぎるほど生きた」

「でも……」

「いいからお逃げ」

「そうかい?
 ありがとう」

 たぬきはボコボコになった顔を抑えながらその場を逃げました。

 でも、おばあさんのことが気になったたぬきは、顔を冷やすとすぐに戻って様子をみようとしました。

「ちょっと肉がかたいな。
 やっぱり、ばばあの肉は不味い」

 そういっておじいさんは文句を言いながらその汁を食べます。

「そんな……
 あんなに優しいおばあさんを?」

 たぬきは、悲しみの声を上げました。

 たぬきは、そっとその場を離れたものの。
 ショックのあまり寝込んでしまいました。

 おばあさんを殺されただけでなく。
 その肉を食べられた。

 たぬきが力なくないているとウサギがやってきました。
 するとうさぎがやってきました。

「たぬきや、たぬき。
 どうしたのだ?」

 たぬきは、うさぎにすべてを話しました。
 するとうさぎは「ひどいひとだな。よし仕返ししよう」といって飛び出していきました。

 うさぎはおじいさんがよく行く山でたきぎをひろいはじめました。

「おや?お嬢さん。
 なにをしているんだい?」

「今年の冬は寒いらしいから、おじいさんも拾ったほうがいいぞ?」

 そこでおじいさんもうさぎと一緒にたきぎを拾いました。
 おじいさんは、内心ではうさぎをどうやって抱こうか。
 そればかり考えていました。

 うさぎはおじいさんを先に歩かせ。
 おじいさんの背中の荷物のそばで火打ち石を打ちました。

<カチ、カチ>

「うさぎ、このカチカチという音はなんだ?」

「これはカチカチ山のカチカチ鳥が鳴いているのだ」

 と誤魔化そうとしました。
 しかし、おじいさんに気づかれました。

「そんなわけなかろうが!」

 おじいさんは、うさぎの手を押さえつけ。
 うさぎに乱暴をしました。

 そして、最後には火をつけました。
 うさぎは、<ボー、ボー>と燃えます。
 でも、その火をすぐにたぬきが消しました。

「たぬき。また邪魔をするか」

「あなたはどうしてこんなにひどいことが出来るのだい?」

「なにをいうか。
 この美しいうさぎを犯したら腹が減った。
 腹が減ったら食う。
 それだけだろう?」

「なんてひどい人だ!」とたぬきは怒ります。

 しかしおじいさんは「弱肉強食の世界だ」と開き直りました。

「そんな……」

 たぬきは絶句しました。

「だがやはり殺すにはまだ惜しいな」

 そういってうさぎに【永久の治癒と不老】の魔法をかけました。
 うさぎの傷はあっという間に癒え美しいうさぎにもどりました。

「お前は永遠にワシの奴隷だ。
 この呪いはもう永遠に解けぬ。
 このワシにもな!」

 おじいさんがケラケラと笑います。
 そして、おじいさんはたぬきにも呪いをかけます。

「たぬきには【永遠の命と永遠の苦しみ】の呪いをかけてやる。
 お前も永遠に奴隷だ」

 たぬきとうさぎは永遠に永遠におじいさんの奴隷になって暮らしたとさ。

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