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「あっくんもだよ?」
一花がそいうと亜金が思わず声が出る。
「え?」
「あっくんも誰かを好きになったりしていいんだよ?
だってそれは誰もが許された権利なんだから」
一花の声が震える。
「でも、僕は愛されない呪いだから」
亜金の声も震える。
「そんなの吹き飛ばしちゃえばいいんだよ!」
イリアが思わず声を出す。
「吹き飛ばせたらいいのにな。
僕は、不幸も食べてしまう。
だからその分、呪いは重いんだ」
亜金の言葉にボクはいまいちわからない。
「呪い、キサラギでもとけないの?」
プレゲトンがキサラギに尋ねる。
「難しいですね。
呪いは呪いでも亜金くんのは呪縛。
呪いを解いても一瞬でまた同じ呪いがかかってしまいます」
「そっか」
キサラギの言葉に亜金は、小さく笑った。
するとピロシキが、小さくボクに耳打ちをする。
「話ってなんすか?」
「あなたの本当の名前……」
「ピロシキっすよ」
「あなたのギャグ知ってます。
その芸人の名前は……」
「ピロシキですね。
あっしは、自分の名前がわかんないっすよ。
そして、あっしは笑顔を食べて力を得るんっす。
だから、芸の道を極めようと思ったんス。
でも、話が下手だから笑ってくれる人は少ない。
難しいもんですね」
ピロシキが、そういうとボクの方を見る。
「ボクさんは、強くなれるっす」
「え?」
「これからどんどん強くなれるっす。
強くなった先。なにが見えるかはボクさん次第っす」
ボクは、その言葉の意味をまだ理解しないでいた。